「思いを言葉に」
石巻地区中学校生徒弁論大会 最優秀賞カップの贈呈(2012.4.9)

■流された優勝カップ■
石巻市・女川町・東松島市の3つの市町村からなる石巻地区中学校生徒弁論大会は2011年も例年通り開催され、49回目を迎えました。ただ、この大会はいつもと違い、最優秀賞受賞者へのカップが渡せないままだったのです。それは昨年の大震災の折、最優秀賞のカップ2つが、それぞれに津波の被害を受け流失してしまったためでした。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)は大会主催の石巻地区教育研究会からこの相談を受け、その2つの最優秀賞のカップを提供することにしました。

この弁論大会は、石巻市・女川町・東松島市の中学校がAB2つのブロックに分かれ、それぞれ最優秀賞1名を決めます。2011年、Aブロックでは石巻市万石浦中学校3年生の亀山映果さん、Bブロックでは石巻中学校2年生の佐藤梓さんがそれぞれ最優秀賞を受賞しました。
晴天の316日、受賞生徒の一人、佐藤さんへSCJより直接カップを渡す機会をいただき、石巻中学校へ訪問してきました。


訪問した石巻中学校 校門脇にお祝いの横断幕


■石巻中学校 佐藤梓さん■
佐藤さんはまず、夏休みの宿題の弁論原稿を作成。休み明けの学級大会、学年大会で代表の座を勝ち取りました。例年行われる全校大会は、体育館が避難所となっていたため、開催されませんでしたが、全学年を通して聞いた審査員により学校代表として選ばれ、地区大会へと臨み、Bブロックで最優秀賞を受賞するに至りました。
弁論は、震災体験の中で感じた心の痛みのことや、同い年くらいの中学生がボランティアに励む姿を見て衝撃を受けたこと、そして自分もボランティア活動を始めたこと、その中で「ありがとう」という言葉に癒され、勇気づけられたことを伝える内容でした。
佐藤さんは地区の代表の一人として県大会へ出場、そしてついには県大会でも最優秀賞を受賞したのでした。

SCJより、佐藤梓さん(右)へカップをお渡ししました

佐藤さんとお話をすると、弁論の内容通り、力強さと清々しさを感じることができました。そして佐藤さん、文章を書くのは元々好きだという事ですが、将来の夢はなんと警察官。現在は柔道をやっていて、そちらも県大会へ出場する程の腕前なのだそうです。まさに文武両道です。


思いを言葉にして伝えることは、なんとも難しいものです。弁論大会に背中を押されて、より多くの子どもたちが声をあげることを望みます。そして弁論大会のこれからの歴史を、このカップが共に創り、思いを伝える素敵な中学生たちを見つめ続けられることを切に願います。


(報告/仙台事務所 斎藤)
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