ミャンマーのお母さん事情~統計でみる女性たちのライフ・サイクル~(2012.05.10)

ミンガラーバ!


最近、国際社会から注目されているミャンマー。民主化と国民和解が進むにつれ、先進諸国からの支援とともに、外国企業からの投資もますます活発になることでしょう。まさに今、「歴史が動いている」ミャンマー。しかしながら、この国のことはあまりよく知られていないのが事実。513日の「母の日」にちなんで、ミャンマーの女性たちの一般的なライフ・サイクルを、統計資料を基に紹介させていただきます。 




まずは、気になる女性の結婚。ミャンマー女性の平均結婚年齢は、21歳です。若い世代、特に都市部では、自由恋愛が徐々に浸透してきているものの、地方農村では両親が決めた男性と結婚することがまだまだ主流のようです。事業地のお母さんたちに話を聞くと、「結婚式当日になって、自分が結婚する男性と初めて会った」ということもよく耳にします。そして、結婚後は出産。結婚して約1.8年後、22.8歳で最初の子どもを産みます。その後、さらに子どもを産み続け、およそ5人の子どもを産み、大きな家族を支えます。ミャンマーは多民族なので、様々な生活習慣や風習などがありますが、ミャンマー北西部のチン州ではたくさんの子どもを産んだ女性が尊ばれる風習が根強く、「18歳で結婚してから43歳になるまで、13人の子どもを産んだわよ」というお母さんにも出会いました。しかしながら、妊産婦死亡率は316(出生100,000対)ととても高く、女性は出産のたびに大きなリスクを背負っているのです。特に、妊産婦死亡の9割が地方農村で発生。農村部の女性は都市部の女性と比べて、より大きなリスクを抱えています。その後、子育てや家事、農作業などに忙しく働き、およそ66歳でその生涯をとじるのです。(統計データの出所は、20107UNFPA報告書)


このミャンマーの女性と、日本の女性を比較してみます。(日本の統計データの出所は、厚生労働省人口動態統計)






もちろん単純に比較はできないのかもしれませんが、概して、約60年前の1955年(昭和30年)における日本の女性たちのライフサイクルと類似しているようです。ただ、一生のうちに生む子どもの数はミャンマーは2倍多く、また妊産婦死亡率も約1.8倍も高くなっています。つまり、現在のミャンマー女性は、昭和30年の日本の女性と比べて、2倍高い死亡リスクを伴う出産を、2倍経験するということになります。




子どもの健康とお母さんの健康は、密接に関係しています。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、ミャンマーの地方農村における女性と子どもたちの健康と栄養を改善する取り組みを続けています。バゴー地域テゴン・タウンシップにおける子どもの栄養改善事業は、完全母乳育児の促進や栄養不良児への食餌療法などを通して、事業対象地域の5歳未満の子どもの栄養不良率を半減させるという顕著な成果を達成し(活動報告ブログを参照)、現在は第2期事業を実施中(活動報告ブログを参照)。加えて、今年3月からはマグウェ地域、バゴー地域、ヤンゴン地域の6つのタウンシップで「母と子のための地域に根ざした総合的母子保健事業」を開始いたしました(活動報告ブログを参照)。


ミャンマーの子どもと女性の健康リスクは、近隣諸国と比較して極めて高いもの(南アジア諸国における乳幼児死亡率では、アフガニスタンに次いで2番目の高さ)。また、国内においても保健サービスの都市~地方間で、著しい格差が生じています。今後、多くの外国資本や海外援助がミャンマーに投入されることが予想されていますが、その恩恵を受けない地方農村に住む子どもとお母さんの健康のために、少しでも貢献できるような活動を進めてまいりたいと考えています。


引き続き、ミャンマー事業に対するご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。


(報告:ミャンマー 藤野)

 

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