(公開日:2012.06.19)
男性のサポートが重要です!(2012.6.19)
- ミャンマー
6月4日から10日まで、外務省日本NGO連携無償資金協力制度により実施されている地域に根ざした母子保健事業の現地事務所へ出張いたしました。今回の出張地は、事業を実施する6つのタウンシップのうち、マグウェ地域の北部に位置するソー・タウンシップとセドタラ・タウンシップ。両タウンシップは、中部乾燥地域の西部を南北に連なるラカイン山脈のふもとに位置します。マラリアの流行地域でもあるため、2011年1月からグローバル・ファンドの支援によるマラリア対策事業も並行して実施中です。
出張の目的は、本事業に新しく採用された現地職員への事業内容の詳細説明と予算管理の指導です。また、保健行政や医療従事者の能力向上を目的とした支援内容を、現地保健当局と協議すること。主に、助産師の再研修や補助助産師の養成研修、2年目・3年目に予定されている保健所建設に関する実務的な打ち合わせを行うことです。そして、対象村を訪問することも、限られた時間のなかで可能な限り組み込みました。
今回の視察では、各事務所でアウトリーチ・ワーカー8名と初めて対面。アウトリーチ・ワーカーは、対象村のボランティアとともに地域活動を推進していく重要な役割を担う職員。現地の習慣や風習、地理など現地事情に精通していること、そして一部地域では現地の言語を理解していなければならないこと、また現地の人々の人材育成や活動の持続性の観点から、団体の人事規定に則って現地事務所長が中心となって対象地域で採用。セドタラ・タウンシップでは10倍、さらにソー・タウンシップではなんと50倍近い競争率を勝ち抜いた現地の優秀な若者たち。覚えたてのたどたどしい英語で自己紹介してくれ、事業に対するすがすがしい意気込みを感じました。
今回の視察の協議内容のひとつである介入前調査は、彼ら彼女らにとって事実上の最初の仕事。事務所長の指導のもと、真剣な議論を交わしつつ、夜10時すぎまでみんなで協力しながら計画を策定する姿に頼もしく思うとともに、ひとりひとりの職員の人材育成にも事業統括者として全力を尽くして取り組んでいこうと決意を新たにいたしました。
現地保健当局との協議も、予定時間を大幅に超過して議論を重ね、対策を検討いたしました。マグウェ地域内の4つの対象タウンシップでは、母子保健の取り組みニーズが極めて高いものの、私たちの団体が唯一の支援団体ということもあり、事業の実施が歓迎されています。助産師の再研修、補助助産師の養成研修、保健所の建設支援、すべて現地のニーズに則ってデザインされており、今後、人数や対象村などより具体的な支援計画を練り上げていきます。
また、対象村を訪問する最大の目的は、受益者であるお母さんや妊婦さんたちとの直接対話。事業概要の説明や活動参加への依頼のあと、いくつか質問させていただきました。「妊娠中、あるいは出産後、夫君からどんなサポートをいただきましたか?」との質問に、「ほとんどないわね」との回答。会場に集まっていたたくさんのお母さんたちから、同意とも思える爆笑。対照的に、男性はちょっと小さくなって苦笑い。続いて「どんなサポートがあると助かりますか?」との質問には、「食事の準備を手伝ってくれると、とてもうれしいわ」とのこと。しかしすかさず、「何もできなくても、やさしい心づかいだけで十分よ」との女性らしいフォローが続きました。「父親の育児参加」は、ミャンマーでも真剣に取り組む必要があるのかもしれません。
本事業に関わる現地事務所への出張は四半期に一度。通常の事業管理は、現地事務所とヤンゴン事務所との間で、電子メイルや電話を通して行います。得てして、ヤンゴン事務所から現地事務所への「一方通行」の指示伝達になりがちですが、まずは現地側の話を徹して聞くことに努めています。両事務所間の良好な信頼関係なくして、円滑な事業運営はできません。そのため、現地出張中に、自由闊達に意見交換や議論を重ねることにより意思疎通をはかり、信頼関係を深められるように最善を尽くしています。
今月中に、同じくマグウェ地域の他のふたつのタウンシップ(ミンドンとンガペ)、さらに7月中旬にテゴンとクンジャンゴンの両タウンシップへ出張する予定です。出張の様子や事業の進捗などを適宜アップいたします。
引き続きご理解とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
(報告: ミャンマー事務所 藤野)