【ケニア/干ばつ】昨夏の大干ばつと食料危機から1年~子ども参加による減災知識普及への取り組み~(2012.07.10)

昨夏、東アフリカが大干ばつに見舞われてから1年が経過しました。しかし、被災した人々の生活は未だ安定しておらず、食料危機や水不足などの干ばつ被害に今なお苦しんでいます。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは干ばつ発生直後より、ケニア北東州のハバスウェイン県に日本人職員を派遣し、緊急支援を実施しています。

今年の6月下旬にはジャパン・プラットフォーム(JPF)の支援で実施してきた浅井戸の整備、トイレ・手洗い場の設置や減災教育(DRR)などが終了し、支援対象地域で事業終了イベントが開催されました(事業の詳細はこちら)。本イベントには、在ケニア日本大使館から、山田洋一郎公使にもお越しいただきました。


支援対象の一つであるキビライ女子小学校の児童が
歓迎の歌を披露


本事業で形成されたDRRクラブのメンバーが
「Disaster Preparedness(災害への準備)」と題したスキットを披露。
干ばつが子どもにもたらすリスクなどを発表した。


「教育は未来への新しい道を開く」
在ケニア日本大使館の山田洋一郎公使がスピーチ。

イベントの最後にはDRRクラブのメンバーへ表彰式が行われました。



山田公使がトロフィーを贈呈


セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン地域代表(アフリカ・中近東)の
三上職員より記念品を贈呈


ケニアを含む東アフリカ地域は、毎年のように干ばつの被害に見舞われてきました。今回の支援では、子どもたち自身が干ばつ被害に対応できるようDRR活動にも力を入れ、今年2月から4か月間にわたり干ばつが発生するメカニズムや早期に見られる兆候(澄み渡った青空が続く、小さな虫の鳴き声が聞こえるなど)、干ばつへの対応策を学んできました。また、干ばつがもたらすリスクについて子どもたちで話し合うなど、子ども参加による減災知識の普及を図ってきました。

DRRクラブは生徒約15名で構成されており、同クラブのメンバーの一人であるハワ・アリ・モハメドさん(17歳)は「干ばつへの対処法を学び始めた当初は、今までにないアイデアばかりだったので少し難しかったけど、4か月のトレーニングを経て、今ではこのような機会があることを本当に嬉しく思う。今までは干ばつが発生すると、最後の最後で財産である家畜を売らず、何とかして家畜を保ち、干ばつが長期化すると家畜も死に、現金も底を尽くなど、生活するための資産を全て失っていた。でも、DRRクラブのみんなで話し合ったように、これからは早期の段階で家畜を売って現金収入を得て、新たに別のビジネスを始めるなど干ばつとうまく付き合っていきたい。」と語ってくれました。また、干ばつ被害が悪化すると、女子児童が家庭の現金収入のために強制的に早期結婚を強いられるケースもあり、「私の大事な友人も結婚を強いられたわ。現金を得るための手段として、子どもを手放すのではなく家畜を売るよう大人たちに訴えたい」と話してくれました。


ハワさん (写真右端)現地事業統括の道山職員と共に

また、同じくDRRクラブメンバーのアブディカニ・イブラヒムさん(18歳)は「DRRクラブのメンバーに選ばれるまでは干ばつの兆候を見逃していたけど、これからは干ばつがおきるとわかったらすぐに対応したい」と話してくれました。


「今後、干ばつの再発を防ぐために植林を行うよう大人たちに提案したい」と
アブディカニさん


また、今回の事業では小学校に手洗い場を設置したことで子どもたちは遠くの給水ポイントまで行く必要がなくなりました。子どもたちからは「今までは休み時間を利用して、ロバにドラム缶を乗せて水を汲みにいかないといけなかったけど、手洗い場を設置してもらったおかげでその必要がなくなった。とても助かる。」との声が聞かれ、多くの児童が授業に専念できるようになりました。


併せてトイレも建設され、かつて子どもたちは学校近くの草むらで用を足すことも多く、衛生的な学習環境が整備されていませんでしたが、衛生環境の改善とともに子どもたちへの健康被害が軽減されると期待されています。


また、本事業はケニア国内でも以下のように紹介しています。
(こちらよりダウンロードできます。)



セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは引き続き、DRRがコミュニティに定着し、コミュニティの災害適応力が向上するようケニア北東州のハバスウェイン県、ワジール南県で活動していきます。

セーブ・ザ・チルドレンは東アフリカ地域の食料危機に対し、昨年より300万人以上の人々に食料、水、保健医療、教育、生計支援などの分野で支援を届けています。

(c)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン


*本事業はジャパン・プラットフォームの支援により実施されています。





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