(公開日:2012.10.02)
帰還した故郷で安全・安心した生活を送るために(2012.10.02)
- スリランカ
2009年5月に内戦が終了したスリランカの北部地域には、数十年に渡って避難をしていた人々がいます。今回、そのような人々が多く帰ってきたマナール県のムサリ郡において、避難していた人々が故郷に戻り、新しく生活を送るための支援を行いました。
故郷の村は、ずっと避難していたために住居は残っておらず、住むところを建てるところから始めなければいけません。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下SCJ)では、ジャパン・プラットフォームからの支援を受け、帰還後も住む家屋を持たない32世帯を対象に仮設住居および簡易トイレを提供致しました。特に、今回の支援では社会的に弱い立場にあるとされながらも、他機関・他団体の支援対象からは漏れている世帯を対象としました。
また、仮設住居の設置にあたっては、支援対象となる住民の協力も得ました。住民の中から木工・土木などの技能を持った熟練工や労働者を組織して住民自らが住居を設置するような体制を整えました。また住居の建設に必要な資材のうち、現地で調達が出来る砂利などの調達・管理・配布については対象地域の自治組織が担う体制としました。こうすることで、コミュニティを巻き込みながら、帰還したばかりの地域においても住民組織として能力の向上を図ることで、今後もコミュニティが一体となって地域の発展に貢献することができます。
実際に、支援した村の住民組織の代表は、「コミュニティとして仮設住居の支援に携われたことで、組織の能力が上がった。SCJ以外の支援団体の事業でも、組織を運営する今回の経験が役立っている。非常に感謝している」との話をしてくれました。
SCJはまた、同じ北部のムライティブ県でも、帰還して間もない世帯185世帯に対して、帰還地で新しく生活をしていくための生計手段の提供を行いました。対象となるのは仮設住居と同じく、寡婦や高齢者、また障がい者など、収入の機会が限られている世帯が中心です。特にこれらの帰還民は、帰還したばかりで手持ちの現金も少なく、生活していく目途がなかなか立たない状況にあります。そのような人々が今回の支援を通して、現金収入を得ることで一日もはやく独力で生活を営めるように農業、家畜、小間物屋、大工等の支援を行いました。
今回支援を受けた人々の中には、内戦で夫を亡くし、小さな子どものいる寡婦がいました。彼女は弟の家に身を寄せながら、仕事も収入手段もなく、肩身を狭くしてくらしていましたが、今回のSCJからの支援を通して、小間物屋を開くことができました。村に二軒しかないうちの一軒となるお店です。生活用品や缶詰、穀物などを販売しており、1日の売り上げは5,000~6,000ルピー(約3,500~4,000円)ほどになるそうです。「この店であれば自分一人で子どもを見ながらやっていける」と嬉しそうに語ってくれました。
内戦終了から3年が経ち、避難していた人々も大部分が故郷の土地に戻ることが出来ました。しかし、本当の意味で安心・安全な生活が送れるかどうかは、帰還した場所でまともな生活を営むことができるかどうかにかかっています。その意味で、今回の支援は帰還したばかりの人々が生活を立ち上げるために非常に有効なものになりました。これらの世帯が、支援を通して自分たちの力で生活を送っていくことが出来るようになれば、最終的にはスリランカ北部の復興と安定に貢献することになります。SCJは今後もスリランカ北部において特に弱い立場にある人々への支援を続けることで、特に子どもたちが健全に発達できる社会基盤作りに寄与していきます。
(報告:海外事業部 利川)
マナール県で出会った子どもたち
故郷の村は、ずっと避難していたために住居は残っておらず、住むところを建てるところから始めなければいけません。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下SCJ)では、ジャパン・プラットフォームからの支援を受け、帰還後も住む家屋を持たない32世帯を対象に仮設住居および簡易トイレを提供致しました。特に、今回の支援では社会的に弱い立場にあるとされながらも、他機関・他団体の支援対象からは漏れている世帯を対象としました。
出来上がった仮設住居の前で
また、仮設住居の設置にあたっては、支援対象となる住民の協力も得ました。住民の中から木工・土木などの技能を持った熟練工や労働者を組織して住民自らが住居を設置するような体制を整えました。また住居の建設に必要な資材のうち、現地で調達が出来る砂利などの調達・管理・配布については対象地域の自治組織が担う体制としました。こうすることで、コミュニティを巻き込みながら、帰還したばかりの地域においても住民組織として能力の向上を図ることで、今後もコミュニティが一体となって地域の発展に貢献することができます。
コミュニティの代表者との話し合い
実際に、支援した村の住民組織の代表は、「コミュニティとして仮設住居の支援に携われたことで、組織の能力が上がった。SCJ以外の支援団体の事業でも、組織を運営する今回の経験が役立っている。非常に感謝している」との話をしてくれました。
SCJはまた、同じ北部のムライティブ県でも、帰還して間もない世帯185世帯に対して、帰還地で新しく生活をしていくための生計手段の提供を行いました。対象となるのは仮設住居と同じく、寡婦や高齢者、また障がい者など、収入の機会が限られている世帯が中心です。特にこれらの帰還民は、帰還したばかりで手持ちの現金も少なく、生活していく目途がなかなか立たない状況にあります。そのような人々が今回の支援を通して、現金収入を得ることで一日もはやく独力で生活を営めるように農業、家畜、小間物屋、大工等の支援を行いました。
生計支援(農業)を受け、畑で採れた野菜を見せてくれる住民
今回支援を受けた人々の中には、内戦で夫を亡くし、小さな子どものいる寡婦がいました。彼女は弟の家に身を寄せながら、仕事も収入手段もなく、肩身を狭くしてくらしていましたが、今回のSCJからの支援を通して、小間物屋を開くことができました。村に二軒しかないうちの一軒となるお店です。生活用品や缶詰、穀物などを販売しており、1日の売り上げは5,000~6,000ルピー(約3,500~4,000円)ほどになるそうです。「この店であれば自分一人で子どもを見ながらやっていける」と嬉しそうに語ってくれました。
支援を受けて小間物屋を開いた女性
内戦終了から3年が経ち、避難していた人々も大部分が故郷の土地に戻ることが出来ました。しかし、本当の意味で安心・安全な生活が送れるかどうかは、帰還した場所でまともな生活を営むことができるかどうかにかかっています。その意味で、今回の支援は帰還したばかりの人々が生活を立ち上げるために非常に有効なものになりました。これらの世帯が、支援を通して自分たちの力で生活を送っていくことが出来るようになれば、最終的にはスリランカ北部の復興と安定に貢献することになります。SCJは今後もスリランカ北部において特に弱い立場にある人々への支援を続けることで、特に子どもたちが健全に発達できる社会基盤作りに寄与していきます。
(報告:海外事業部 利川)