【幼稚園プロジェクト(6)】モンゴルの幼稚園は、なぜ先生にもやさしくないの?(2012.10.10)

日本の皆様こんにちは。モンゴル事務所の柴田です。シリーズで「子どもにやさしい幼稚園」をつくるため、「先生にやさしい(環境を持つ)幼稚園」を推進する事業を紹介しています。

この事業の特徴の1つに、「多様な機関との連携」があります。その1つがモンゴルで活躍される青年海外協力隊の皆さんとの連携です。この事業が開始してから、特に幼稚園教諭として活躍されている隊員の皆さんと連携を取りましたが、その1人である津瀬美鈴さんの話を聞いてみましたので、今回ご紹介したいと思います。


                                                         (津瀬さん)

「現在、モンゴルのウランバートル市の北東に位置する、第22番幼稚園で幼児教育隊員として活動しています。普段の活動では「遊びを通しての学び」を先生に指導するため、実際に教室に入り、手遊び・うたや製作あそびを現地の幼稚園の先生としたり、昼休みに先生を集めて教材を紹介したりしています。


       (第22番幼稚園で活動する津瀬さん。トイレットペーパーの芯で鳥を作っています。)

元々、子どもに関わる支援をしている団体に興味があり、先輩隊員から紹介されたのがセーブ・ザ・チルドレンでした。「子どもにやさしい幼稚園推進プロジェクト」がスタートし、幼児教育セミナー開催の話が具体的に進みました。私はこの事業の対象幼稚園の先生たちに、「子どもの想像力を育てるには」というテーマで、歌と動き・手遊び・製作あそび・お話などを教材にして、セミナー講師を3回務めました。


           (歌に合わせた動きを紹介をする津瀬さん。左から2番目;第47番幼稚園にて)

モンゴルの先生は歌をたくさん知っています。でも、ただ単に、その歌を子どもに覚えさせることで終わっているように感じていました。本当は、その歌を覚えることが目的ではなく、その歌を通して新しい言葉を知ったり、自分の気持ちを表現したり、想像をふくらませたりすることができるようになることが大切だということを多くの先生にわかってもらいたいな…、と思っていました。ですので、この幼児教育セミナーは、「子どもの創造力を高めるための授業の進め方と、その教材紹介」という構想にし、シリーズ化にしました。


                  (本の読み聞かせ方を説明する津瀬さん。左;第41番幼稚園にて)


                    (紙を使った製作を紹介する津瀬さん。;第104番幼稚園にて)

幼児教育セミナーを通して、たくさんの先生に会うことができました。幼稚園が変われば先生の反応も変わる、今まで受け入れてもらえなかったことが、別の幼稚園の先生には受け入れてもらえる、、そんな発見ができたことが何よりの収穫です。今後、私の伝えたいことに共感し、実際に授業に取り入れてくれている先生がわずかでも増えてくれればいいなぁと思っています。

でも本当に一番大切なのは、先生が楽しんで子どもと関わることだと思っています。今のモンゴルでは、1教室に50人以上もの子どもたちがいて、それをたった1人の先生が見ている状態です。それは、先生にとってもとても難しく、ストレスのたまる仕事です。ですので、子どもたちが一日の大半を過ごす幼稚園が、子どもたちの大好きな場所になるためには、まず先生が楽しい!と思わなくてはなりません。先生たちがそう思えるように、私たち隊員はサポートしたいと思って活動しています。
今後は日本の現場に戻る予定ですが、いずれまた世界の子どもたちに会えるように日々勉強していきたいと思っています。」


今回の津瀬さんの他2人の幼稚園教諭隊員の皆さんによって、幼児教育セミナーが進められました。身近にある素材で、簡単に作成でき、その上、子どもの好奇心を掻き立てる教材をたくさんご紹介いただき、モンゴルの幼稚園の先生に大好評でした。またご帰国後も、日本とモンゴルの幼稚園の子どもたちの懸け橋になっていただけたら、と願わずにはいられません。
(報告;モンゴル事務所 柴田)
 


                                     (動物になって遊ぶ子どもたちと津瀬さん。)

*本事業は、外務省NGO連携無償資金協力の助成と、皆様からのご支援を受けて実施しています。
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