フィリピン台風30号緊急支援【第8報】被災地で生まれる新たな命(2013.11.29)

被災地では毎日800人以上の新たな命が誕生しています。ジョリーさんは、台風30号がフィリピンを襲った翌週に生まれました。


©Evan Schuurman/Save the Children

「ジョリーは奇跡の子なんです。」――体を伸ばしたりあくびをしながら小さな手で顔をこする赤ちゃんの様子を見て、母親のアビゲイルさんはあふれ出す涙をぬぐいます。

アビゲイルさん一家は、パナイ島北部の海岸沿いに建つ竹製の家に住んでいましたが、その家の大部分は台風による大波にさらわれてしまいました。

「家が浸水してきたので、わたしたちは高台にある義母の家に逃げました。子どもたちは泣き叫んでいるし、もしこんな時にお産が始まったらと思うと、怖くて仕方がありませんでした。」

結局、アビゲイルさんはその翌週、助産婦の手を借りてジョリーさんを出産しましたが、まだ一度も医療診断を受けることができていません。その上、アビゲイルさんは母乳が出ない状態が続いており、粉ミルクの在庫も無くなってしまいました。他の島に行って粉ミルクを調達したくても、台風ですべてを失ってしまったアビゲイルさんの家族には、どうすることもできません。

「夫の釣り船も台風で壊されてしまい、今はヘリコプターで運ばれてくる食糧の配給に頼るしか方法がありません。」

アビゲイルさん一家が暮らす地域では、8割近くの家屋が損傷や全壊の被害を受けました。孤立した島の復興の道のりは険しく困難です。


パナイ島北東部海岸の被災状況 支援物資を運ぶ船を迎える住民の姿が見える
©UK-IETR/Save the Children

「この島の住民には支援が必要です。わたしたち家族はこの島の外に親戚もなく、他に行くところがありません。服も、食べ物も、家も、生活の糧もなくなってしまい、子どもたちやこの赤ん坊のことを思うと、とても怖くなります。」

セーブ・ザ・チルドレンは、現在レイテ島とパナイ島において、生活に必要最低限必要な物資の配布、医療支援、子どもを栄養失調や下痢から守るための母乳育児の技術的支援や啓発活動、子どもたちへの社会心理的サポートのための子ども広場の開設などの被災者支援を実施しています。今後も被災者の声を聞きながら、支援を続けてまいります。


パナイ島の孤立した被災地に、海路で支援物資を届けました
©Antony Butts/Save the Children




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