【幼稚園プロジェクト(13)】在モンゴル日本国大使が、「子どもにやさしい」モデル幼稚園を訪問されました(2014.01.29)

  こんにちは。日本の皆様お元気ですか?モンゴル事務所の柴田です。2012年に私たちの事業では、「子どもにやさしい」コンセプトが盛り込まれたモデルトイレを、公立幼稚園に建築したことをブログでも紹介しました。

(以下のリンク参照)
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=1117
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=1123
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=1127

  モデルをより広く普及させることを目指し、2013年には、更にモデルトイレを3つの公立幼稚園に建築しました。そして1月23日、在モンゴル日本国清水大使が、そのうちの1つである第22番幼稚園を視察されましたので、その様子を報告したいと思います。


子どもたちの歌を楽しまれる清水大使(子どもたちの右隣り) © Save the Children Japan

  清水大使はモンゴルとの関わりが長く、ご挨拶の冒頭では、「38年前に、この幼稚園周辺に住んでいたことがあります。その際、こんな大きな幼稚園がここにあったこと知りませんでした。」と、大変流暢なモンゴル語でお話しされました。また、日本国のモンゴルへの支援について触れられ、日本政府は、モンゴルの教育部門、特に就学前教育、初等教育分野に長年力を入れており、これまでに様々なかたちで、幼稚園や小学校の改築・新築工事を支援してきたことを話されました。また、教育の質の向上のために、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが支援していることに感謝の意を述べられ、これらの活動が、モンゴルのメディアを通じて紹介され、市民の関心が更に高まることを期待していると、締めくくられました。

  ご挨拶の後、またこんなこともモンゴル語で述べられました。「自分の目で、子どもにやさしいトイレを持つ子どもにやさしい幼稚園を見る機会が持てたこと、大変嬉しく思っています。このすばらしい幼稚園で教育が受けられること、きっと大勢の保護者の方々は、嬉しく思っていることでしょう。でも残念なことに、まだまだ大勢の子どもたちが、幼稚園に通うことが出来ず、十分な就学前教育が受けられないでいます。今後、モンゴル国政府やNGOで働く皆さんの努力で、その状況が少しでも改善されることを切に願っています。」

  その後、第22番幼稚園内にあるモデルトイレを視察されました。
清水大使はまず、トイレの中に入り、たくさんのタオルや歯ブラシが並んでいることに大変驚かれました。弊会から、1つの教室に50から60人も子どもがいる現在の状況で、個別のタオルを使用するという昔からの規定を守り続けることで、子どもの動線から外れたところにタオルを設置し、その結果、子どもが使用しないといった、問題を引き起こしていることを説明しました。
  私たちのモデルトイレでは、下の写真のように手洗い場の下にタオルを設置するか、もしくは、箱型の移動式のタオルハンガーを作り、必要に応じて移動させて使うか、という2つのアイデアを紹介していることを説明しました。


手洗い場の下に設置された個別タオル© Save the Children Japan


移動式のタオルハンガー© Save the Children Japan

  次に、床に張られた「矢印」に注目されました。弊会と一緒にモデルトイレ作りに関わったウランバートル市教育課の建築専門家から、子どもの動線に配慮したデザインを取り入れたこと、更にこの幼稚園では、子どもが忘れずに全ての作業を終えることができるように、排泄から手を拭いて外に出るまでの動線を床に描いたことを説明しました。


ウランバートル市教育課の建築専門家(奥右)と清水大使(手前左) © Save the Children Japan

  更にこの動線を配慮するコンセプトは、この幼稚園で、こんな広がりを見せていることも説明しました。下の写真をご覧ください。赤い線の前で、1人女の子は自分の番が来るのを待っています。「順番」という公共マナーも学習しています。今までは、大勢の子どもが一気に押しかけて、大変混雑していたトイレも、今では大変整然としています。


順番を待つ女の子© Save the Children Japan

  最後に、便座の高さが大変低いことにも驚かれました。2-3歳児用の便座は、高さが20cmしかありません。通常モンゴルでは、20cmの高さの子ども用便座は売られていません。そのため私たちは、通常どこにでも売られている26cmの子ども用の便座の下の部分を床に埋め込むことで対応したことを説明しました。


第22番幼稚園園長から説明を受ける清水大使© Save the Children Japan


高さ26cmの便座を埋め込む通常の方法© Save the Children Japan
 

便座を床に埋め込み高さ20cmに調整した便座© Save the Children Japan
(便座下の方を上の写真と比較してみてください。)

  この視察には、教育科学省やウランバートル市教育課の来賓の方々、そして、その他のモデルトイレを持つ幼稚園職員など約40名も同行し、19の新聞社やTV局からの取材もありました。

  次のブログでは、この視察で紹介された第22番幼稚園の「子どもにやさしい」幼稚園づくりの取組みについて、紹介したいと思います。
  今後も、引き続き、ご支援のほどよろしくお願いします。 


参加者一同© Save the Children Japan

―子どもにやさしい幼稚園推進プロジェクト―
対象地区の幼児(2歳~5歳)が、「子どもにやさしい」環境を整えた幼稚園において、養護、保護、教育、社会的しつけの要素を含む、包括的な権利基盤型のカリキュラムによる幼児教育を受けられるようになることを目指しています。
事業期間:2011年8月23日~2014年9月8日
事業分類:【教育支援】 
*本事業は、外務省NGO連携無償資金協力の助成と、皆様からのご支援を受けて実施しています。

 (報告:モンゴル事務所 柴田)

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