子ども虐待の予防・啓発の取り組みに向けた調査報告書の完成(2014.10.24)

「東日本大震災からの学び:災害後の子どもの育つ環境の変化と支援体制への影響に関する調査~子ども虐待の予防・啓発の取り組みに向けて~」の報告書がこの度完成致しました。本調査、報告会などの過程は、昨年の活動ブログをご覧ください(文末※以下参照)。



本調査は東日本大震災被災地における子ども・家庭を取り巻く環境の課題を包括的に把握するために2013年7月~2014年3月に実施されました。概要については、3月のプレスリリースの報告の通りです。


本調査の結果から、次のような考察を得ました。
「震災後3年目以降、被災地域における子どもの虐待・ネグレクトの早期予防を進めるために、即座に介入が必要な段階である『レッドゾーン』だけでなく、その一段階前の『グレーゾーン』に焦点を当てた対応が求められる。」


そして、以下を主な提言としてまとめました。
(1) グレーゾーンに焦点を置く支援・サービスの拡充・多様化へ
(2) 官民の積極的連携を軸に、関係機関/団体の協働体制の強化へ
(3) 「通告」だけでなく、判断に迷う事例の「相談」を促す、予防に効果的な啓発へ

本報告書は、本編144頁におよび、調査にご協力いただいた子ども支援関係者等の方々の示唆に富んだ多様な発言をできる限り忠実に盛り込むことに努めました。今後、「現地の視点」に主眼を置いた調査結果に基づく支援が、子どもたちに届けられるよう、行政・民間を問わず、多くの機関・関係者の方々にご一読いただければ幸いです。


セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、本調査結果と提言を広く社会へ発信し、『グレーゾーン』を含めた子ども虐待の早期予防に資する事業を展開していきます。本調査を受け、東北地方のみならず、日本国内の行政・諸機関と協力できる機会が生まれることを祈念しています。

調査の詳細については、以下からダウンロードすることができますのでご参照ください。
表紙 
報告書本体
表4-2(p.32-33間)
別添1-? (p.145)
別添1-? (p.146)
別添2(p.147)
裏表紙 
正誤表


■子ども虐待防止世界会議(ISPCAN)での発表

先月行われた子ども虐待防止世界会議では、「Children and Disasters: 子どもと災害」というテーマで開かれたセッションにおいて、本調査の結果の口答発表を行い、国内外の学会参加者へ発信しました。

本調査は、既に子ども家庭福祉制度が国・自治体レベルで確立している日本が、未曾有の大災害の後、子どもの養育環境と支援体制に及ぼされた変化に焦点を当てています。調査の結果と提言を国外へも広く発信していくことが、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの果たせる役割の一つであることを改めて確認する機会となりました。(口頭発表資料(英語))


※これまでの本調査に関する報告はこちらをご参照ください。
「震災後の子どもたちの虐待予防に向けて~被災地の方に聞きました~(2013.11.29)」
「震災後の子どもたちの虐待予防に向けて~日本子ども虐待防止学会にて発表~(2013.12.24)」

「【子ども支援関係者対象】東日本大震災からの学び:「災害後の子どもの育つ環境の変化と支援体制への影響に関する調査」に関する報告会のお知らせ(2014.02.07)」

「東日本大震災からの学び:「災害後の子どもの育つ環境の変化と支援体制への影響に関する調査」に関する報告会(2013.03.05)」


(報告:東京事務所 小島)
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