(公開日:2015.12.15)
地域で連携した防災 ~大塚地区防災訓練 & 柳北区ママサロン防災講座~
- 日本/東日本大震災/防災(災害リスク軽減)
宮城県東松島市では、市内全域に自主防災組織が設立されており、各地区で独自の防災訓練や防災講座が実施されています。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンにサポートのお声掛けがあった2地区での防災イベントについて報告します。
■大塚地区防災訓練(2015年11月8日)■
大塚地区では、全市一斉に行う東松島市総合防災訓練 (6月)に加えて、毎年11月に地区独自の防災訓練も実施しています。
10時に「地震発生」、10時3分に「大津波警報発令」と、地区内で放送され、高台へと全員車両での避難訓練です。あいにくの雨でしたが、車のない人は近所の人と一緒に、それぞれ非常持ち出し袋や日用品を車に積み込んで、集まって来ました。6月の訓練の時には、自主防災会の役員さんが誘導して車を停めましたが、今回は誘導なしでも整然と端から順に車が停まっていきます。車26台で計80名が参加しました。
地区の担当者が避難してきた人たちに名前などを聞いて記録します。
10時30分に、「大津波警報解除」。高台から各家庭に帰り、車を置いて、次に地区センターに集合です。防災研修として、自主防災会の会長さんと話し合った結果、「なまずの学校」を初めての方法で挑戦することになりました。「なまずの学校」は、災害時に起こりうるトラブルを手持ちのアイテムカードで解決するというゲームですが。今回は、アイテムカードの代わりに、各自が持って来た非常持ち出し袋と地区の備蓄倉庫にある物で問題を解決します。
ファシリテーターは、地区の子ども会代表のお母さんです。5月に総合防災訓練研修会に参加した自主防災会の会長さんから進め方を習得済みです。
準備してきた非常持ち出し袋の中身は、さすが! いろいろ必要な物、役に立つ物が入っています。
非常持ち出し袋の中にある物で足りない時は、備蓄倉庫に入っている物から探しました。机の上に並べたヘルメット、カセットコンロや軍手の他に、毛布、ブルーシート、リヤカーや投光機まであります。
子どもと大人が一緒になったグループで、もしもの場合に備えて、知恵を出し合って考えました。それでも、足りない物がありました。例えば、バールやショベルがあると、下敷きになっている人を助けるのに役立ちます。非常持ち出し袋に油性マーカーとガムテープを入れておくと、避難先を書いて家の中に貼っておいたりするのに便利です。
各家庭で、そして地域で、災害に備えてさらに充実した準備をするための気付きがあった防災研修でした。
■ママサロン防災講座@柳北区(10月8日)■
柳北区の区長さん兼自主防災会会長さんは、東松島市に2名だけの女性の区長さんのうちの1人で、育成会のお母さんたちと共に、地区でさまざまな活動を行っています。昨年の総合防災訓練 では、毎年行っている炊き出し訓練に子どもたちも参加してもらいたいとセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンにお声がかかり、支援しました。今回は、毎月開催しているママサロンで防災講座をしたいので、「何かアイデアは?」と連絡がありました。対象は、乳幼児をもつお母さんたちです。
10月8日、10時に地区センター集合。区長さんたちが企画した「防災ピクニック」では、車通りが少ない裏道・近道を使って、避難場所である三陸道の避難階段まで歩きました。避難経路、避難場所、階段の入り口の鍵の開け方を確認しました。
地区センターに戻って、ワークショップ「非常持ち出し袋の準備をしよう」と「レジ袋とタオルで作るおむつ」を実施。これは、非常持ち出し袋を準備していない人がいるかもしれないと、区長さんとの事前打ち合わせで決めました。
机の上に並べた物から、3日分を想定して、次々に非常持ち出し袋に入れていきます。「えー、難しい。これじゃ全然足りないよー」と言いながら、リュックはパンパンに。いざ、子どもを抱っこして、リュックを背負ってみると「重ーい!これは無理~!」という声が。。。
避難階段はけっこう急で、非常持ち出し袋は意外と重い。小さな子どもと一緒に避難することは、たいへんということを体験したお母さんたちでした。各家庭で、災害への備えについて、改めて話し合うきっかけになったようでした。また、この日は、強風のためか、お母さん3名と子ども4名という少ない参加者でしたが、後日「参加したかった。。。ぜひもう1回してください!」という声があり、これからも柳北区でママサロン防災講座を継続していくそうです。
東松島市では全市一斉に実施する総合防災訓練に加えて、各地区でも防災訓練や防災講座が行われています。地域と学校が連携した総合防災訓練を経験したことで、これまで大人中心だった各地区独自の訓練にも子どもも参加する形で行いたいという地区から、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに支援のお声掛けをいただいています。
地域で子どもも大人も参加する防災訓練を行うことで、子どもの命が守られ、同時に地域の防災力が向上するように、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンはこれからも地域の人たちと共に活動していきます。応援よろしくお願いします。
(報告:東京事務所 太田まさこ・仙台事務所 菅原絵美)