ガザの子どもたちに安全・安心な学習環境を

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、昨年4月から今年の5月まで日本人現地駐在員を派遣し、ガザの子どもたちの保護・教育支援事業を実施しました。

この事業では、被害を受けた教育施設を整備するだけではなく、今後、災害等が発生した場合に子どもたちへの負の影響を低減できるよう、子どもたちを支える周りの大人たちの能力向上や意識啓発、教育施設や地域の緊急事態や災害への備えや対応の改善などにも取り組みました。

この事業の参加者である教員たちが、彼女たちの活動や経験を語ってくれました(動画もご覧ください)。



「私には自信がありませんでした」

メルバット先生はガザにある中学校で理科を教える先生です。彼女の学校があるベイトラヒア地区はイスラエルとの境界に近いこともあって、2014年の紛争時には、繰り返し空爆の対象となりました。彼女の学校も、避難所として利用されたり、一部損傷したりしたことで、停戦後もしばらくの間、学校を再開することができませんでした。メルバット先生は、部屋に籠りがちになり、災害やその被害に立ち向かうために何もしなかったそうですが、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの事業に参加したことを通して、自分にも何かができると自信を持つようになったと言います。

この事業で実施した研修に参加した彼女は、まず研修で学んだことを学校の同僚に教えました。また、将来起きるかもしれない事態によりよい備えができるように作成する学校防災・災害リスク軽減計画を策定する上でもイニシアチブを発揮しました。

「UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の教育局のトップも私たちの活動にとても興味をもってくれたようで、活動について教えて欲しいと聞かれたりもしました。他の学校も私たちの学校の防災・災害リスク軽減計画を取り入れています。中には避難訓練のやり方まで真似している学校もあるんです。私の学校では生徒が1,500人もいるのですが、全ての子どもたちが3分半で避難することができたんです。」

メルバット先生は学校だけでなく、自宅でも学んだことを実践しています。

「家族と一緒に計画を作って、実際に8人の子どもと避難訓練をやってみたんです」

メルバット先生は学校内だけでなく、彼女の住んでいる地域においても、防災・災害リスク軽減計画や不発弾の回避に関する意識啓発に取り組んでいます。企画した啓発キャンペーンに対して地域行政から活動資金等の支援を受け、生徒たちと一緒にポスターを作ったり、地域で壁画を描いたりしました。

「この啓発キャンペーンはとてもうまくいきました。続けていくことが大切だから、他にも活動を企画して、活動支援申請書を書いてパレスチナの政府のコンペティションに参加しています。今は審査結果を待っているところです。申請書に書いた多くのことは学校の防災・災害リスク軽減研修と子どものための心理的応急処置(PFA for Children)から学んだことです。」

「私にとってつらい時期だったけれど、この事業に参加することはとっても重要なことでした。自分自身が変わったと感じられますし。ちょっと前には、住んでいるアパートの灰色の壁を、明るくて、生き生きした色に塗り替えたんです。」

海外事業部 佐藤収


本事業は皆さまからのご支援と、ジャパン・プラットフォームからの助成により実施しました。
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