【防災事業】いざという時のために!広がる、防災のための教育教材・機材

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは2014年5月~2016年7月、北ジャカルタ市の貧困層が暮らすチリンチン地域で、防災教育を実施しました。この事業では約2年で、対象校である小学校内での活動だけではなく、行政・地域を巻き込んだ防災計画の作成や災害時対応の体制づくりに向けた働きかけ、災害時における「子どものための心理的応急処置」や消火活動、応急手当を含む防災訓練、そして地域をあげての避難訓練などに意欲的に取り組みました。

今回は、この事業の対象校および地域組織に提供された、防災教育の教材や災害避難時用の関連機材についてご紹介します。

1.普段から、防災について考えるために
防災については、学校内外での避難訓練などで集中的に学ぶことも大切ですが、いざという時に持っている知識を実践に移すためには、日常生活の中でも防災に関する情報に触れ、考える機会を持つことが有効です。

本事業では、子どもたちを対象とする防災教育教材として、防災知識やメッセージがイラストでわかりやすく説明されたカレンダーを作成しました。2015年には2,500部、2016年には2,000部を、対象となる小学校合計22校、ならびに町内会・隣組に相当する住民組織や社会的サービスを担う行政機関支局をはじめとする地域の組織に配布しました。


配布されたカレンダー(一部抜粋)。左の頁は非常時に備えて各家庭がとるべき対策や非常用持ち出し袋の
中身をイラストで紹介している。右の頁では、所構わずごみを投棄すると排水路等の詰まりや環境汚染が起きて、
水害時のさまざまなリスクが拡大することを伝えている。

その他、子どもたちが楽しみながら防災について学べるよう、対象校に以下のものも配布しました。

●ココナツぽっくり
現地で古くから親しまれている、缶下駄に似た遊具。足を乗せる部分が、缶の代わりに半分に割ったココナツでできています。対象校では課外活動の際、地面に四角くルートを描き、ココナツぽっくりに乗って移動した子どもたちが角の部分に到着すると、教師や係の子どもが災害時の安全について話したり、防災に関連するクイズを出したりして、遊びながら学んでいます。

●防災すごろく、および防災教育用けんけん遊びシート
災害時の危険や防災に関連づけられた指示に従ったり、クイズに答えたりしながら、ゴールに向かって進みます。

●防災がテーマのコミック漫画
洪水・高波/津波・火災・紛争の4つのテーマを内容として取り上げました。それぞれの災害の特徴や、災害時に取るべき行動をストーリー形式で紹介しています。なお、人々の生活を脅かし、避難を余儀なくすることから、インドネシアでは紛争も災害の一つと捉えられています。


防災すごろくで、遊びながら防災について学ぶ子どもたち


課外活動行事で防災をテーマにした絵を描く子どもたち


2.災害時避難用キットで万一に備える

防災教育教材に加えて、当事業では手動式サイレン(大小2タイプ)、トランシーバー、消火器、応急手当用具、避難ルートを示すサインボードなどを合わせて「災害時避難用キット」と呼んでおり、対象校及び周辺の地域に非常時の避難や防災に役立つ機材として提供しています。機材提供にあたっては、地域と行政機関に働きかけ、住民を巻き込んだ防災体制づくりが整った地域から配布を行い、地域住民への使用法の研修を実施しました。

学校・地域住民・行政機関が参加した、地域レベルの避難訓練では、住民たちが当事業より提供された手動式サイレンの合図に従って、避難所への移動を行いました。


洪水などの災害時、電源やバッテリーがなくても使用できる手動式サイレン。
大小2タイプが配布され、小型サイレンは子どもにも扱える大きさになっている。
サイレンの横に付いているレバーを回すと、音が鳴る仕組み。


北ジャカルタ市防災局およびチリンチン郡行政は、本事業が提供した手動式サイレンを、洪水時の早期警報に最適だと高く評価し、行政レベルでの導入を検討しています。

本事業は、皆様からのご寄付、および株式会社ファミリーマートのご支援により実施しました。

(インドネシア担当:石川 智香子)

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