アレッポ東部から避難してきた人々―飢えと疲労で極限状態に

シリア北西部を吹雪と積雪が襲い、 アレッポ東部から最近避難してきた子どもたちやその家族に、 さらなる悲惨な状況をもたらしています。


アレッポ東部から避難してきた子ども

ここ数日に、 着の身着のままでアレッポ郊外やイドリブに避難してきたおよそ2万6千人以上もの人々の多くが、 氷点下の気温の中、 暖房のない建物やテントで寝起きしています。 幼い子どもたちは、 その中でも極めて脆弱な状態にあります。 特に、 何カ月もの間、 包囲下の、 十分な食べ物のない地域から避難してきた子どもたちは、 ひどく衰弱し、 栄養不良に陥っています。

イドリブを拠点に活動するセーブ・ザ・チルドレンのパートナー団体のスタッフは、 次のように証言します。 「アレッポからのバスを降りると、 子どもたちは目の前にある果物や暖かい食事に興奮して、 バナナやリンゴを目がけて一目散に駆け出すので、 混乱の中で両親とはぐれてしまうケースがありました。 子どもたちだけでなく、 大人の顔にも栄養不良状態がはっきりと表れていて、 おそらく何ヶ月も果物など目することすらなかったのでしょう。 また、 子どもたちの顔や手足は、 過去数週間の避難を待つ間に、 暖をとるために家具などを燃やした炭で黒く汚れていました。 」

  食料の支給を受け取った子ども。 手もマフラーも炭で黒く汚れている

また、 何日もの間治療を受けるのを待っていた患者を運ぶ救急車や、 救援物資を運ぶトラックが雪に阻まれて、 支援活動を困難にしています。 アレッポ東部から避難してきた生後5ヶ月の女児は、 両足と片方の腕を骨折し、 お腹に傷を負った状態で10日間放置された後、 セーブ・ザ・チルドレンが支援する病院に運ばれてきました。 女児の両親は紛争の犠牲で亡くなり、 姉2人は他の病院に運ばれました。

ある医師は、 「この3日間で、 私たちが支援している病院に、 30人もの重傷を負った子どもたちが運び込まれました。 包囲された地域で適切な処置を行うことができなかった傷口からの感染が進み、 命を救うために肢体の切断を余儀なくされる場合もあります。 バスから降りてくる人々は、 飢えと疲労で極限状態にあります。 私は今まで、 たった1枚のビスケットのために、 人がここまで必死になれると想像すらできませんでした」と証言します。


アレッポ東部から避難する人々を乗せた移送バスが続々と到着

セーブ・ザ・チルドレンのシリア北西部事業を統括するニック・フィニーは、 次のように話します。 「私たちは、 人々がここまで避難できたことだけをもって、 成功とするべきではありません。 ここにいる人々は、 想像を絶するような壮絶な状況を経験した後に故郷を追われ、 そして現在は雪の中、 すでに以前からの避難民で埋め尽くされたテントや廃墟での寝泊りを余儀なくされています。 彼らは、 食べ物や住む場所、 医療的なケアと、 学校に戻るための長期的な支援、 そして、 これまでに経験してきた壮絶な体験からの回復が必要です。 子どもたちがこの冬を生き延びて回復できるよう、 国際社会からの支援が必要です。 そして、 このような悲劇が二度と起こらないよう、 保障する必要があります。 」

セーブ・ザ・チルドレンは、 シリア各地で展開されている包囲作戦の中止を求めます。 2016年が終わりを迎える中、 いまだ大勢の人々が、 厳しい冬の寒さに直面しながら、 十分な食料も燃料も医療的ケアもないまま、 包囲された地域に取り残されています。

セーブ・ザ・チルドレンは、 アレッポ東部から避難してくる子どもたちやその家族に対して、 食料や現金、 毛布、 緊急キットなどを配布しています。 さらに、 刻々と増加するニーズに応えられるよう、 医療施設や学校に、 必要な物品や備品の補充も開始しています。

<セーブ・ザ・チルドレンによるシリア危機支援>
2011年3月に始まったシリア危機。 この紛争の影響でシリア国内や周辺国で避難生活を送る子どもたちに対し、 セーブ・ザ・チルドレンは、 教育や衛生、 子ども保護など様々な面で支援を行っています。 2016年11月までに、 シリア国内、 レバノン、 ヨルダン、 イラク、 エジプトで5,327,632人(内、 子ども3,322,786人)に支援を届けました。

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