シリア危機勃発から8年 報告書『より良い明日へ:シリアの子どもたちの声』を発表-平和と安定、教育を求める子どもたち-

セーブ・ザ・チルドレンは、シリア危機から8年を迎えるにあたり、シリア国内のイドリブとアレッポ、ハサケ、ラッカに暮らす365人以上の子どもたちへの調査結果をまとめた報告書『より良い明日へ:シリアの子どもたちの声(A Better Tomorrow: Syria’s Children Have Their Say)*』を発表しました。その結果、8年にわたり紛争が続くシリアで、調査をした3人に1人の子どもが「いつも」または「頻繁に」、危険や精神的苦痛、孤独感を感じていることが明らかになりました。


さらに、調査対象の半数が、自身やコミュニティが直面する「非常に深刻」な課題として、紛争による暴力や、家族分離、自宅の破壊、生活の基盤となるインフラの崩壊、教育や保健医療といった基礎的な社会サービスへのアクセスの欠如をあげています。しかし、その一方で、大半の子どもたちが、平和と安定さえあれば、未来への希望と、より良い祖国をつくることに自身の役割があるという希望を持っていることも分かりました。

調査の中で子どもたちは、以下のように話していました。
  • ●コミュニティが直面する主な課題は、暴力と危険、居住環境の悪さ、基礎的な社会サービスの欠如である。
  • ●家族と離ればなれになることや、家族関係が壊れてしまうことを、特に心配している。加えて、多くの国内避難民がでていることから、調査対象の98%の子どもたちが、家族と一緒にいることが自身の幸せのために非常に重要だと話している。
  • ●学校の修繕・再開と教育の機会が得られることは、シリアの将来にとって不可欠である。シリアの子どもたちの3人に1人が学校に行っていない状況の中で、調査対象の子どもたちは、教育を受けていないことへの不安を繰り返し述べていた。
  • ●大多数の子どもたちは、将来への希望と、シリアをより良い国にすることに自分が何か役割を果たせるという希望を感じており、さらに、シリアのリーダーと国際社会に対しては、子どもたちの保護と、紛争を終わらせることを求めている。

3月15日に、シリア紛争は9年目に入ります。紛争の勃発以降、およそ400万人の子どもたちが生まれましたが、そのほとんどが紛争しか知りません*1。さらに、シリアの子どもたちの半数以上が人道支援を必要としており、3人に1人が学校に通えていません*2。多くの子どもたちは、基礎的な社会サービスがほとんど利用できなくなっており、生活に必要なインフラの多くのが破壊された地域で生活しています。さらに、少なくとも250万人の子どもたちが国内避難となっています*3。

セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長ヘレ・トーニング=シュミットは次の通り訴えます。
「シリアの多くの子どもたちは紛争しか知らず、そして、本来子どもたちが決して目にしたり、経験すべきでない状況のなかで成長しています。 今回の調査の中で、子どもたちは、家族と離ればなれになった後に危険と孤独を感じるようになったと話しており、凄惨な戦闘の中で、シリアの子どもたちに対して重大な違反行為を行った当事者たちは、国際社会からその責任を問われるべきです。

3月12日から14日にかけて開催される『シリア及び地域の将来の支援に関する第3回ブリュッセル会合』には、国際社会のリーダーが集まります。私たちはそのリーダーたちに対して、シリアの子どもたちの声に耳を傾けるように呼びかけています。8年間にわたる紛争を経験しているにも関わらず、シリアの子どもたちは未来に希望を抱き、より良い未来を創造すると決心しています。さらに、子どもたちは平和と安定、教育を求めています。こうした子どもたちの求めが実現するかは、国際社会次第です」
* 報告書全文(英語)はこちら https://campaigns.savethechildren.net/sites/campaigns.savethechildren.net/files/FINAL%20Syria%20Anniversary%20report%20AW%20small.pdf

*1 https://www.unicef.org/press-releases/half-syrias-children-have-grown-only-seeing-violence-conflict-nears-eight-year-mark
*2 https://hno-syria.org/#key-figures 
*3 https://www.unhcr.org/sy/internally-displaced-people
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