ウガンダ 南スーダン難民支援 子どもたちの健やかな成長のために

2016年夏に南スーダン国内で発生した武力衝突以降、多くの人々が近隣国に難民として逃れています。南スーダン国内の情勢は今も落ち着いておらず、現在もウガンダに居住する80万人以上の難民は、帰還の見通しが立たない状態で避難生活を送っています。


栄養カウンセラーと栄養ボランティアから、母乳育児についての指導を受ける母親

セーブ・ザ・チルドレンは、2016年より、虐待やネグレクトなど、特に脆弱な子どもたちに対する個別支援、子どもたちが安心・安全に過ごすことができる「こどもひろば」の活動支援、困難なく初等教育に進むための就学前教育支援、そして健やかな発達のための保健・栄養の支援を実施してきました。今日は、栄養支援の活動についてご紹介します。

母親と子どもの「最初の1000日間」を支える
栄養支援は、主に、難民居住区内にある「母と子のためのスペース」と呼ばれる、母親たちが清潔な環境で安心して授乳したり、栄養カウンセラーに相談したりすることができる場所で行われています。

母親が妊娠してから子どもが生まれて2歳になるまでの「最初の1000日間」は、子どもの成長と発育に最も影響するとも言える重要な期間です。しかし、避難生活下では摂取できる栄養も十分でないことが多く、子どもの成長への影響が心配されます。

そのため、セーブ・ザ・チルドレンは、妊婦や母親のカウンセリングを行ったり、子どもの栄養についてアセスメントを行い、介入が必要な場合は保健施設につなぐなどしています。また、母乳育児や乳幼児の食事についての指導や、家が遠く、「母と子のためのスペース」まで来ることができない妊婦、母子に対しては家庭訪問も行っています。


調理デモンストレーションでは、馴染みがあり手に入りやすい食材を使います

特に母親たちに人気があるのが、栄養価の高い食事を実際に作ってみる「調理実習」です。居住区での食生活は、手に入る食材が限られているため、ビタミンや鉄分などの微量栄養素、良質なタンパク質などが不足しがちです。

そのため、安価で入手できる身近な食材で、より栄養価の高い食事を作るための調理実習を行っています。また、栄養状態には衛生状態も関係します。例えば、下痢になるなどして胃腸が弱ってしまっては、栄養分をきちんと摂取することもできなくなるため、調理の前や食事の前には手をしっかり洗うなど、衛生面での指導もしっかりと行います。


難民居住区内では、家庭菜園でさまざまな野菜を育てている家もあります(写真左:駐在員)

難民居住区の中を歩くと、小さな家庭菜園で豆や葉野菜を育てている家も見られます。季節によっても異なりますが、褐色の大地に緑が映え、とても美しい光景です。調理実習では、「母と子のためのスペース」のそばに家庭菜園を作り、そこで採れた野菜を使うなどして、調理法を教えるほかに、家庭菜園づくりを勧めています。

母親たちが楽しみながら子育てをできるように
9月のある日、アジュマニ県のある難民居住区の「母と子のためのスペース」を訪問しました。このスペースには、常に数人の母親と乳幼児が出入りしているそうで、入り口でスタッフに「手を洗ってね」と言われ、丁寧に石鹸で手を洗ってから入ります。


壁には乳幼児の成長過程や食事、母乳育児などについてのポスターが貼られています

部屋の壁には、母乳育児や乳幼児の食事内容についてわかりやすくイラストで描かれたポスターが貼られています。床にはカラフルなマットレスが敷かれていて、4人の母親たちがそこに座り、授乳しながらおしゃべりをしていました。全員が、このスペースに来て1時間ほど過ごすそうです。

その中の2人に話を聞くと、「子どもの健康状態について、些細なことでも相談できる人がいるのは心強い」、「この子の他にも子どもがいるので、以前は長い時間家を空けるなんてことはできなかったけれど、今は夫が子どもの面倒を見ているからと送り出してくれるようになった」と、それぞれうれしそうに話しました。

セーブ・ザ・チルドレンは、今後も継続して、南スーダンから避難して来た母親たちが、楽しみながら子どもたちの健康を守ることができるよう、栄養支援活動を行っていきます。

本事業は、皆さまからのご寄付と、ジャパン・プラットフォーム、サラヤ株式会社からのご支援により実施しています。

(海外事業部 福田直美)
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