専務理事・事務局長より年頭のご挨拶

旧年中はセーブ・ザ・チルドレンの活動にあたたかいご協力を賜り、心より御礼申し上げます。皆さまのご支援により、昨年1年間も、日本をはじめ世界中の子どもたちに支援を届けることができました。

セーブ・ザ・チルドレンの活動は、第一次世界大戦後の荒廃した社会で、食料不足に苦しむ子どもたちの支援から始まりました。それから100年が経った現在、子どもたちを取り巻く状況はどのように変化を遂げたのでしょうか。

セーブ・ザ・チルドレンの調査によると、現在、5人に1人の子ども-およそ4億2,000万人の子どもたちが紛争下で生活しています。その人数は減少するどころか、過去3年で、3,000万人も増加しています。シリア紛争は、8年以上続き、同国では、210万人の子どもたちが学校に通うことができずにいます。イエメンの子どもたちは、学校への攻撃や、食料不足、感染症の蔓延に苦しんでいます。アジアでもロヒンギャの子どもたち40万人が故郷を追われています。

そして、地球規模で相次ぐ自然災害によっても、多くの子どもたちが影響を受けています。私は、昨年、台風19号により大きな被害に見舞われた宮城県丸森町と、11月末に洪水被害にあったインド北部ビハール州を訪問し、かつてない規模で猛威を振るう自然災害によって影響を受ける子どもたちの状況を目の当たりにしました。

昨年1年間を考えただけでも、紛争や自然災害、貧困、気候危機など、日本を含む世界各地で、子どもたちを取り巻く課題の根本解決への道筋は決して容易ではないことは明らかです。

こうした、さまざまな課題が複雑に絡み合う中、2019年は、海外では長期化する危機の中を生きるシリアやイエメン、ロヒンギャの子どもたちへの支援を継続できました。また、モザンビークやインドにおける豪雨・洪水の被災地で緊急支援を実施したほか、各地で、教育、保健・栄養、子どもの保護、そして防災の支援を届けました。

日本国内では、8月に発生した九州北部での大雨や、台風18号、19号の影響を受けた子どもたちへの緊急支援を実施したほか、貧困や虐待といった日本の子どもを取り巻く課題にも取り組みました。

皆さまのご協力により国内外の子どもたちへ支援を届けることができたことに、改めて感謝申し上げます。

私たちは、生きる・育つ・守られる・参加する「子どもの権利」を、子どもの持つ当然の権利として主張し、子どもの人権が保障されるよう、子どもたちの声を聴きながら、子どもたちの課題に寄り添いながら世界各地で子ども支援活動を進めていきます。

2020年も、「子どもを誰ひとり取り残さない」との決意を胸に、皆さまとともに、世界中で子ども支援に全力で取り組んでまいります。
今後とも皆さまの変わらぬご支援をお願い申し上げます。

2020年1月吉日
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
専務理事・事務局長 三好 集


インド北部ビハール州・子どもたちと取り組む防災(災害リスク軽減)事業地にて
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