(公開日:2020.03.08)
3月8日国際女性デー 写真で見る「女性たちの紛争経験」
- アドボカシー
3月8日は国際女性デーです。この日に寄せて、セーブ・ザ・チルドレンは、受賞歴もある3人の著名な女性写真家リンジー・アダリオ氏とアレッサンドラ・サンギネッティ氏、エスター・ムババジ氏とともに、世界の最も過酷な紛争地域を訪問し、紛争下で困難に直面している若い女性や少女の話を聞き、フィルムに収めました。
「女性たちの紛争経験」というタイトルで発表された彼女たちのストーリーや写真は、紛争下に生きる少女たち一人ひとりの経験を浮き彫りにしています。
また、今回の写真プロジェクトの一環として、彼女たちは作詩をしました。詩のテーマは、「紛争を経験したことのない子どもに、あなたならどのように紛争を説明しますか」。
【ハナさん(14歳)/パレスチナ】
ガザで暮らす14歳のハナさんは、一回の空爆で母親と4人の弟たちを失いました。一番年下の弟は、まだ2歳半でした。彼女は空爆により2時間も土砂の下敷きになり、病院で目覚めたのは1週間後でした。ハナさんは、その時初めて、家族5人を失ったことを知ったのです。
I am a Palestinian girl I hear the news of our cause
I breathe in the beautiful scent of my family
I see the real suffering
I taste the flavour of freedom
I feel our forgotten pain
I imagine an amazing life
I fear a real catastrophe
I remember my mother and brothers, the light of my eyes
I miss a blissful life
私はパレスチナの少女
パレスチナの大義について聞き
家族の素晴らしい香りを胸に吸い込む
本当の苦しみを見て
自由の味を味わう
忘れ去られた私たちの痛みを感じ
すばらしい生活を想像する
破滅的なことが現実に起こることを恐れ
お母さん、弟たち、私の一番大切な人たちを思い出す
私はとても幸せだった日々をなつかしく思う
【ゴルミナさん(12歳)/アフガニスタン】
アフガニスタンに暮らす12歳のゴルミナさんは、紛争により自宅から避難を余儀なくされました。「ある日学校に武装グループが来ました。男子たちは逃げましたが、彼らは私たちや父親たちを殴りました。そして、娘(女子)を学校に通わせていたといって私の父親をひどく殴りました。私たちに女性とって教育はとても重要です。女性が先生となり少女たちに勉強を教え、さらに多くの少女が教師になることができるでしょう。私たち全員が教育を受けることができれば、平和になると思います。」
I heard the sounds of bombs and bullets
I smelled bad and bitter smells
It tastes very bitter and bad
I see dead bodies and the people crying
I was feeling I may lose myself and my family
I was hoping for a better, happy life
I was afraid of bullets and conflict
I remember the wars and the death bodies
爆弾と弾丸の音が聞こえました
いやな、苦い臭いがしました
とても苦くていやな味がしました
死体や人々が泣くのを見ました
自分も家族も死んでしまうと感じていて
より良い幸せな生活がしたいと願いました
弾丸や紛争が恐ろしく
戦争や死体などを思い出します
【リディアさん(16歳)/コンゴ民主共和国】
リディアさんは、コンゴ民主共和国に暮らす16歳の少女です。ある日学校から帰宅すると、母親がいないことに気がつきました。母親を探しているうちに、兵士2人から襲われレイプされました。彼女はそのことを思い出すたびに、「痛みと悲しみ」にとらわれ「罪悪感」を感じると言います。レイプの結果彼女は妊娠し、ウガンダに逃れました。そして今は6ヶ月になる息子ビントゥーさんを育てています。
I heard in the Congo people who were dying – so many.
I smelt the good food my mama used to prepare and it was sweet.
I saw many dead people in the Congo.
I felt very many things.
I hope that God will help me in everything.
I feared when the soldiers in the Congo were shooting at people.
All I remember is seeing dead people in the Con-go.
I miss my parents.
コンゴでは多くの人が死んでいると聞きました―本当に多くの。
お母さんの作ってくれる美味しい食事の甘い匂いを思い出します。
コンゴでたくさんの死んだ人たちを見ました。
とても多くのことを感じたのです。
神様がすべて助けてくださることを願っています。
コンゴでは兵士が人々を撃ち、私はおびえました。
私が覚えているのは、コンゴで死んだ人たちを見たことだけ。
両親が恋しいです。
【紛争の現状】
2億人以上の少女が紛争下に暮らしており、彼女たちは特に紛争による脅威にさらされていますi。少年との格差は紛争により拡大し、性暴力にさらされる危険性は高く、児童婚を強いられ、保健医療や教育へのアクセスをはじめとする基本的な権利が奪われるなどの被害にあっています。
紛争地では、学校に通えない少女は男子の2倍以上にのぼり、5人に1人の難民の女性が性暴力を受けたことがありますii。児童婚が最も多い10ヶ国のうち9ヶ国が紛争による影響を受けた国ですiii。現在、紛争下における子どもたちに対する犯罪行為は、調査や記録が開始されて以降最も多発しています。
犯罪行為数の上昇は、セーブ・ザ・チルドレンが今年2月に発表した報告書『子どもに対する戦争を止める2020:ジェンダーと紛争』で明らかにされています。子どもたちは今、これまで以上に、殺害され、重傷を負わされ、武装グループに利用され、性的に虐待されています。そして、子どもたちの通う学校も攻撃を受けています。
i https://www.savethechildren.org.uk/content/dam/gb/reports/child-protection/stop_the_war_on_children_gender_matters.pdf - 415 million children are in con-flict zones, half of which are girls.
ii https://www.unocha.org/sites/unocha/files/GHO2019.pdf - Crises exacerbate gender in-equalities. Girls in conflict settings are 2.5 times more likely to be out of school than boys. 1 in 5 female refugees estimated to have experience sexual violence
iii https://www.ohchr.org/Documents/Issues/Children/HumanitarianSituations/GirlsNotBrides.pdf - Nine of the 10 countries with the highest prevalence rate of child, early and forced marriage are classified as fragile or conflict affected
【写真家】
リンジー・アダリオ氏:戦争写真家。タリバンの元に暮らす女性たちを初めて報道してから20年後の今、アフガニスタンに戻り、武装グループから逃れ、大切な人々を失い、学校が攻撃されるのを目の当たりにした少女たちと面会。
アレッサンドラ・サンギネッティ氏:世界を代表する国際的な写真家グループであるマグナム・フォトのメンバー。事実上封鎖された状態で100万人を超える子どもたちが暮らすパレスチナ自治区ガザ地区を訪問。ガザ地区の子どもたちの多くが空爆により友人や親族が殺されるのを目にしている。
エスター・ムババジ氏:ドキュメンタリー写真家。ウガンダの難民居住区を訪問し、コンゴ民主共和国東部での紛争から避難してきた少女たちと面会。コンゴ民主共和国は女性にとって最も危険な国の1つであり、性暴力に合う確率が世界で最も高い*。
*https://www.savethechildren.org.uk/content/dam/gb/reports/child-protection/stop_the_war_on_children_gender_matters.pdf 277 cases of sexual violence in 2018 allgirls, the second highest in the world.
「女性たちの紛争経験」というタイトルで発表された彼女たちのストーリーや写真は、紛争下に生きる少女たち一人ひとりの経験を浮き彫りにしています。
また、今回の写真プロジェクトの一環として、彼女たちは作詩をしました。詩のテーマは、「紛争を経験したことのない子どもに、あなたならどのように紛争を説明しますか」。
【ハナさん(14歳)/パレスチナ】
ガザで暮らす14歳のハナさんは、一回の空爆で母親と4人の弟たちを失いました。一番年下の弟は、まだ2歳半でした。彼女は空爆により2時間も土砂の下敷きになり、病院で目覚めたのは1週間後でした。ハナさんは、その時初めて、家族5人を失ったことを知ったのです。
I am a Palestinian girl I hear the news of our cause
I breathe in the beautiful scent of my family
I see the real suffering
I taste the flavour of freedom
I feel our forgotten pain
I imagine an amazing life
I fear a real catastrophe
I remember my mother and brothers, the light of my eyes
I miss a blissful life
私はパレスチナの少女
パレスチナの大義について聞き
家族の素晴らしい香りを胸に吸い込む
本当の苦しみを見て
自由の味を味わう
忘れ去られた私たちの痛みを感じ
すばらしい生活を想像する
破滅的なことが現実に起こることを恐れ
お母さん、弟たち、私の一番大切な人たちを思い出す
私はとても幸せだった日々をなつかしく思う
【ゴルミナさん(12歳)/アフガニスタン】
アフガニスタンに暮らす12歳のゴルミナさんは、紛争により自宅から避難を余儀なくされました。「ある日学校に武装グループが来ました。男子たちは逃げましたが、彼らは私たちや父親たちを殴りました。そして、娘(女子)を学校に通わせていたといって私の父親をひどく殴りました。私たちに女性とって教育はとても重要です。女性が先生となり少女たちに勉強を教え、さらに多くの少女が教師になることができるでしょう。私たち全員が教育を受けることができれば、平和になると思います。」
I heard the sounds of bombs and bullets
I smelled bad and bitter smells
It tastes very bitter and bad
I see dead bodies and the people crying
I was feeling I may lose myself and my family
I was hoping for a better, happy life
I was afraid of bullets and conflict
I remember the wars and the death bodies
爆弾と弾丸の音が聞こえました
いやな、苦い臭いがしました
とても苦くていやな味がしました
死体や人々が泣くのを見ました
自分も家族も死んでしまうと感じていて
より良い幸せな生活がしたいと願いました
弾丸や紛争が恐ろしく
戦争や死体などを思い出します
【リディアさん(16歳)/コンゴ民主共和国】
リディアさんは、コンゴ民主共和国に暮らす16歳の少女です。ある日学校から帰宅すると、母親がいないことに気がつきました。母親を探しているうちに、兵士2人から襲われレイプされました。彼女はそのことを思い出すたびに、「痛みと悲しみ」にとらわれ「罪悪感」を感じると言います。レイプの結果彼女は妊娠し、ウガンダに逃れました。そして今は6ヶ月になる息子ビントゥーさんを育てています。
I heard in the Congo people who were dying – so many.
I smelt the good food my mama used to prepare and it was sweet.
I saw many dead people in the Congo.
I felt very many things.
I hope that God will help me in everything.
I feared when the soldiers in the Congo were shooting at people.
All I remember is seeing dead people in the Con-go.
I miss my parents.
コンゴでは多くの人が死んでいると聞きました―本当に多くの。
お母さんの作ってくれる美味しい食事の甘い匂いを思い出します。
コンゴでたくさんの死んだ人たちを見ました。
とても多くのことを感じたのです。
神様がすべて助けてくださることを願っています。
コンゴでは兵士が人々を撃ち、私はおびえました。
私が覚えているのは、コンゴで死んだ人たちを見たことだけ。
両親が恋しいです。
【紛争の現状】
2億人以上の少女が紛争下に暮らしており、彼女たちは特に紛争による脅威にさらされていますi。少年との格差は紛争により拡大し、性暴力にさらされる危険性は高く、児童婚を強いられ、保健医療や教育へのアクセスをはじめとする基本的な権利が奪われるなどの被害にあっています。
紛争地では、学校に通えない少女は男子の2倍以上にのぼり、5人に1人の難民の女性が性暴力を受けたことがありますii。児童婚が最も多い10ヶ国のうち9ヶ国が紛争による影響を受けた国ですiii。現在、紛争下における子どもたちに対する犯罪行為は、調査や記録が開始されて以降最も多発しています。
犯罪行為数の上昇は、セーブ・ザ・チルドレンが今年2月に発表した報告書『子どもに対する戦争を止める2020:ジェンダーと紛争』で明らかにされています。子どもたちは今、これまで以上に、殺害され、重傷を負わされ、武装グループに利用され、性的に虐待されています。そして、子どもたちの通う学校も攻撃を受けています。
i https://www.savethechildren.org.uk/content/dam/gb/reports/child-protection/stop_the_war_on_children_gender_matters.pdf - 415 million children are in con-flict zones, half of which are girls.
ii https://www.unocha.org/sites/unocha/files/GHO2019.pdf - Crises exacerbate gender in-equalities. Girls in conflict settings are 2.5 times more likely to be out of school than boys. 1 in 5 female refugees estimated to have experience sexual violence
iii https://www.ohchr.org/Documents/Issues/Children/HumanitarianSituations/GirlsNotBrides.pdf - Nine of the 10 countries with the highest prevalence rate of child, early and forced marriage are classified as fragile or conflict affected
【写真家】
リンジー・アダリオ氏:戦争写真家。タリバンの元に暮らす女性たちを初めて報道してから20年後の今、アフガニスタンに戻り、武装グループから逃れ、大切な人々を失い、学校が攻撃されるのを目の当たりにした少女たちと面会。
アレッサンドラ・サンギネッティ氏:世界を代表する国際的な写真家グループであるマグナム・フォトのメンバー。事実上封鎖された状態で100万人を超える子どもたちが暮らすパレスチナ自治区ガザ地区を訪問。ガザ地区の子どもたちの多くが空爆により友人や親族が殺されるのを目にしている。
エスター・ムババジ氏:ドキュメンタリー写真家。ウガンダの難民居住区を訪問し、コンゴ民主共和国東部での紛争から避難してきた少女たちと面会。コンゴ民主共和国は女性にとって最も危険な国の1つであり、性暴力に合う確率が世界で最も高い*。
*https://www.savethechildren.org.uk/content/dam/gb/reports/child-protection/stop_the_war_on_children_gender_matters.pdf 277 cases of sexual violence in 2018 allgirls, the second highest in the world.