(公開日:2020.03.24)
イエメン紛争5年 子どもたちのメンタルヘルスに深刻な影響が明らかに
- プレスルーム
子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは、武力衝突が激化してから今月26日で5年が経過したイエメンで実施した調査*1から、紛争が子どもたちのメンタルヘルスへ深刻な影響を及ぼしていることを明らかにしています。調査結果から、半数以上の子どもが悲しみや精神的苦痛を感じており、10人に1人は常にそうした感情を頂いていると回答しています。さらに、5人に1人の子どもは常に怯えていると回答し、52%の子どもが親と離れている間は一度も安心・安全を感じられない、56%の子どもが1人で歩いていると安全を感じないと答えています。
今回の調査は、セーブ・ザ・チルドレンが、武力衝突が激化して以降初めて実施した大規模調査で、イエメン国内で合計1,250人以上の子ども(13歳~17歳)、親や養育者にインタビューを実施しました*2。
調査からは以下のことが明らかになりました。
・養育者38%は、子どもが悪夢を見ることが増えたと回答
・18%の子どもは常に気持ちが悲しい、51%の子どもはそうした気持ちなるときもあると回答
・養育者8%は、子どもの夜尿が増えたと回答
・16%の子どもは一度も、あるいはほとんどリラックスできないと回答
・36%の子どもは、悲しいときや動揺していても誰かと話したいと思ったことは無いと回答
インタビューに応えた子どもたちの多くは、恐怖や不安を感じたとき心拍数の増加や腹痛、手汗、震えの感覚などがあると答えています。
エヤドさん(14歳)は、北部のサアダ県出身で、空爆で爆弾の破片が目に当たり目が見えなくなりました。自作のバスケットゴールを使ってバスケットボールをしていると不安な気持ちに対処できると話します。
「(空爆のとき)家族全員で外に駆け出しました。みんな爆撃から命を守るために走りましたが、このとき姪1人の確認ができませんでした。この出来事から私は勉強する気になれず、いつも疲れていて、そして死んでいるようにも感じます。希望を失くしてしまったのかもしれません。もし空爆が無かったら、飛行機をみて『飛行機、飛行機が飛んでる!』と楽しく歌っていられたでしょう。でも、空爆の後は、飛行機がとても恐ろしいです。」
イエメンの子どもたちは、2017年12月以降、イエメンでは少なくとも2,047人の子どもたちが死傷しており、子どもたちが紛争により大きな代償を払っていることは明らかです。さらに、イエメン全土で210万人の急性栄養不良の子どもたちを含む1,030万人の子どもたちが食料不足に陥り、避難を強いられた子どもたちは200万人にのぼっています。複数の国際NGOや国連機関は、過去3年で、およそ120万人の子どもたちがコレラやジフテリア、デング熱に感染し発病したと考えています。
仮に、イエメンで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が確認された場合、すでに危機的な状態に拍車がかかることになります。5年にわたる紛争により保健医療サービスは限界を超えており、感染拡大を防ぐための活動も限りがあり、そして、支援スタッフの活動にも深刻な影響を及ぼすと考えられます。
サアダ県出身のアベドさん(10歳)は父親が勤務している病院が空爆に遭い兄弟2人を亡くしました。
「兄弟が死んでから人生が変わりました。彼らを思い出すと悲しくなるので気を紛らわせるために遊んだり、何か他のことをやります。イエメンの子どもたちは空爆で家族を亡くし深く悲しんできます。」
イエメンで起きていることが世界に伝えられなければ、すべての子どもたちは長期にわたりさまざまな影響に苦しむでしょう。紛争下に生きる子どもたちには、安心・安全に過ごしたり、さまざまなストレスからの回復を助ける場所が必要です。そうした場所がなければ、子どもたちの心身へ深刻な影響を及ぼすと考えられます。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長インゲル・アッシンは次の通り訴えます。
「子どもたちは恐怖を感じています。怖すぎて外で遊ぶこともできず、そして飛行機が上空を通過したり、爆撃が起こると夜尿を起こします。これがイエメンで5年におよぶ紛争が子どもたちのメンタルヘルスに及ぼす影響で、私たちはこうした状況をこれ以上許しておくことはできません。新型コロナウイルスの感染が世界的に広がるなか、イエメン国内でも感染が起こる可能性もあり、紛争当事者たちはかつてないほど紛争を終わらせる必要性に迫られています。
子どもたちの苦しみと凄惨な紛争を終わらせる唯一の持続可能な方法は政治的解決です。紛争当事者たちへ影響力を持つ政府は、その力を行使し彼らを交渉の場につかせるべきです。戦闘をしている勢力に武器を販売している人々は、この紛争の継続に加担していることになり、誰も知らなかったと主張することはできず、歴史がその行為を裁くでしょう。世界もそのことを分かっており、そして、分かっていながらもそうした行為を許しているのです。」
最新のデータによるとイエメン全土で、30万人に対して小児精神科医2人、メンタルヘルスの看護師1人しかおらず、紛争下の子どもたちを守るためには精神保健心理社会的支援へのさらなる資金拠出が求められています。
*1インタビュー対象者:子ども(13歳~17歳)629人、親や養育者人623人、インタビュー地域:アデン県、ラヒジュ県、タイズ県
*2 調査報告書『FIVE YEARS OF FEAR AND LOSS-The devastating impact of war on the mental health of Yemen’s children』全文(英語)はこちら /概要(日本語)はこちら
■セーブ・ザ・チルドレンおよび、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのイエメンでの活動についてはこちら /2018年度年次報告書
今回の調査は、セーブ・ザ・チルドレンが、武力衝突が激化して以降初めて実施した大規模調査で、イエメン国内で合計1,250人以上の子ども(13歳~17歳)、親や養育者にインタビューを実施しました*2。
調査からは以下のことが明らかになりました。
・養育者38%は、子どもが悪夢を見ることが増えたと回答
・18%の子どもは常に気持ちが悲しい、51%の子どもはそうした気持ちなるときもあると回答
・養育者8%は、子どもの夜尿が増えたと回答
・16%の子どもは一度も、あるいはほとんどリラックスできないと回答
・36%の子どもは、悲しいときや動揺していても誰かと話したいと思ったことは無いと回答
インタビューに応えた子どもたちの多くは、恐怖や不安を感じたとき心拍数の増加や腹痛、手汗、震えの感覚などがあると答えています。
エヤドさん(14歳)は、北部のサアダ県出身で、空爆で爆弾の破片が目に当たり目が見えなくなりました。自作のバスケットゴールを使ってバスケットボールをしていると不安な気持ちに対処できると話します。
「(空爆のとき)家族全員で外に駆け出しました。みんな爆撃から命を守るために走りましたが、このとき姪1人の確認ができませんでした。この出来事から私は勉強する気になれず、いつも疲れていて、そして死んでいるようにも感じます。希望を失くしてしまったのかもしれません。もし空爆が無かったら、飛行機をみて『飛行機、飛行機が飛んでる!』と楽しく歌っていられたでしょう。でも、空爆の後は、飛行機がとても恐ろしいです。」
イエメンの子どもたちは、2017年12月以降、イエメンでは少なくとも2,047人の子どもたちが死傷しており、子どもたちが紛争により大きな代償を払っていることは明らかです。さらに、イエメン全土で210万人の急性栄養不良の子どもたちを含む1,030万人の子どもたちが食料不足に陥り、避難を強いられた子どもたちは200万人にのぼっています。複数の国際NGOや国連機関は、過去3年で、およそ120万人の子どもたちがコレラやジフテリア、デング熱に感染し発病したと考えています。
仮に、イエメンで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が確認された場合、すでに危機的な状態に拍車がかかることになります。5年にわたる紛争により保健医療サービスは限界を超えており、感染拡大を防ぐための活動も限りがあり、そして、支援スタッフの活動にも深刻な影響を及ぼすと考えられます。
サアダ県出身のアベドさん(10歳)は父親が勤務している病院が空爆に遭い兄弟2人を亡くしました。
「兄弟が死んでから人生が変わりました。彼らを思い出すと悲しくなるので気を紛らわせるために遊んだり、何か他のことをやります。イエメンの子どもたちは空爆で家族を亡くし深く悲しんできます。」
イエメンで起きていることが世界に伝えられなければ、すべての子どもたちは長期にわたりさまざまな影響に苦しむでしょう。紛争下に生きる子どもたちには、安心・安全に過ごしたり、さまざまなストレスからの回復を助ける場所が必要です。そうした場所がなければ、子どもたちの心身へ深刻な影響を及ぼすと考えられます。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長インゲル・アッシンは次の通り訴えます。
「子どもたちは恐怖を感じています。怖すぎて外で遊ぶこともできず、そして飛行機が上空を通過したり、爆撃が起こると夜尿を起こします。これがイエメンで5年におよぶ紛争が子どもたちのメンタルヘルスに及ぼす影響で、私たちはこうした状況をこれ以上許しておくことはできません。新型コロナウイルスの感染が世界的に広がるなか、イエメン国内でも感染が起こる可能性もあり、紛争当事者たちはかつてないほど紛争を終わらせる必要性に迫られています。
子どもたちの苦しみと凄惨な紛争を終わらせる唯一の持続可能な方法は政治的解決です。紛争当事者たちへ影響力を持つ政府は、その力を行使し彼らを交渉の場につかせるべきです。戦闘をしている勢力に武器を販売している人々は、この紛争の継続に加担していることになり、誰も知らなかったと主張することはできず、歴史がその行為を裁くでしょう。世界もそのことを分かっており、そして、分かっていながらもそうした行為を許しているのです。」
最新のデータによるとイエメン全土で、30万人に対して小児精神科医2人、メンタルヘルスの看護師1人しかおらず、紛争下の子どもたちを守るためには精神保健心理社会的支援へのさらなる資金拠出が求められています。
*1インタビュー対象者:子ども(13歳~17歳)629人、親や養育者人623人、インタビュー地域:アデン県、ラヒジュ県、タイズ県
*2 調査報告書『FIVE YEARS OF FEAR AND LOSS-The devastating impact of war on the mental health of Yemen’s children』全文(英語)はこちら /概要(日本語)はこちら
■セーブ・ザ・チルドレンおよび、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのイエメンでの活動についてはこちら /2018年度年次報告書
プレスリリースのダウンロードはこちら
【本件に対する報道関係の方のお問い合わせ】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 広報 太田
TEL: 03-6859-0011 Mobile:080-2568-3144
E-mail: japan.press@savethechildren.org
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