(公開日:2020.08.05)
緊急追加支援 新型コロナウイルス感染症 1都3県のひとり親家庭の約2割が収入ゼロ 厳しい状況の長期化懸念「ひとり親家庭応援ボックス」緊急追加支援申込結果から
- 日本/国内災害
(申し込み結果PDFはこちら)
セーブ・ザ・チルドレンは、新型コロナウイルス感染症緊急子ども支援として、6月上旬に食料品や遊具を提供する「ひとり親家庭応援ボックス 緊急追加支援」を実施し、利用世帯が申し込み時に回答した生活状況に関する項目の結果を発表しました(回答件数1010世帯)。その結果、収入がゼロになったと回答した世帯が全体の約2割、収入が5割以上減少したと回答した世帯は、全体の約5割にのぼることが明らかとなりました。
この支援は、5月に東京都23区内で310世帯を対象に行った同支援の結果、非常に厳しい状況にあるひとり親家庭の現状が明らかとなったため、緊急追加支援として、地域・対象数を拡大して実施しました。
5月に行った初回の支援では、収入が5割以上減少したと回答した世帯は、全体の58.4%。対象を1010世帯に拡大した6月の緊急追加支援では46.8%と減少はしましたが、それでも依然として高い割合でした。また、収入がゼロになったと回答した世帯は、5月は全体のうち21.3%、6月は18.3%であり、同様に高い数値が見られました。
初回支援時と類似の結果に-緊急事態宣言解除後も続く収入減。応援ボックス利用世帯のうち、約2割が収入ゼロ、約5割が収入半減
6月上旬の緊急追加支援は、緊急事態宣言の解除後に実施し、また、対象地域や対象世帯数も拡大したにもかかわらず、ほぼ同様の傾向が見られました。コロナ禍による景気悪化の深刻さの一端が浮き彫りになった形です。
自由回答の中には、次のような長引く自粛などの影響により直面した困難に対し、中長期的な不安や懸念を訴える声が多くあり、ひとり親家庭のひっ迫した状況が長期化、恒常化していくことが強く懸念されます。
「5月末で退職になった。もともとの貯金もなく、求人も無くてこの先どうすれば良いのか」
「(休業状態で今後の見通しが立たず)精神的に不安定な状態が続き、今後生きる意欲がなくなるのが怖い」
「出来ることは限界までやってます、どうか助けて下さい」
応援ボックス利用世帯の9割が現金給付を要望
ひとり親家庭が必要とする支援も、初回支援の回答結果と同様の状況がみられました。最も多いのは現金給付を求める声で、約9割が必要と回答しています。
国もひとり親世帯臨時特別給付金を第2次補正予算に組み込み(第1子5万円、第2子以降3万円。さらに厳しい経済状況の家庭は追加で5万円)、各自治体でその支給が始まっています。しかし、困窮状態が深刻な状況にあるひとり親家庭からは、1回限りの給付ではなく毎月や定期的な給付が必要だという声もあります。
こうしたひとり親家庭が安定して生活資金を得るために、政府・行政には中長期的な視点で追加の現金給付を実施する必要性について議論することを求めます。
※必要とする支援に関して、5月・6月の結果をまとめたもの。
ひとり親家庭への継続的な支援の拡充を
6月になり学校が再開されたとはいえ、分散登校や簡易給食などで家庭の食の負担が継続している実態を伝える声もあります。また、長引く自粛期間で仕事を失った保護者が職を探そうにも、求人がない・ひとり親で転職活動が難しいという声もありました。
自由回答欄には切実な要望やひとり親家庭への偏見が気になるといった声も多数寄せられました。
「高校生の子どもにはなんの支援もありません。一番お金のかかる時なのに」
「自治体によって、ひとり親の支援がある所と無い所があるのがおかしい」
「ひとり親ということを周りに伝えることもしづらい」
「世間の目が痛い」
ひとり親家庭は2世帯に1世帯が相対的貧困下にあり※1、特に母子家庭は平均年収243万円、非正規雇用率4割を超えているなど※2、コロナ禍の以前から困難な状況に置かれていました。
今回の新型コロナウイルス感染症の流行が及ぼす影響に対し、行政などが行うひとり親家庭への支援策は十分とは言えず、もともと脆弱な状況におかれているひとり親家庭を一層窮状に追い込んだことは、セーブ・ザ・チルドレンを含む他団体の調査からも明らかです。
セーブ・ザ・チルドレンは、今回の申込結果を踏まえ、今回支援を実施した東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県を中心に、ひとり親家庭の深刻な経済状況に対する緊急支援を国や自治体へ求めるとともに、ひとり親家庭の経済的困難の抜本的な問題解決につながるような制度の改善や社会保障の拡充が講じられるよう、関係団体などと連携して国や関係省庁へ働きかけを行っていきます。
※1 厚生労働省 平成30年度国民生活基礎調査
※2 厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告