(公開日:2021.10.06)
「子どもは、平等に学校に必要なものがほしい」~中高生世代600人への「学ぶ権利」に関するヒアリング報告書をまとめました~
- 日本/子どもの貧困問題解決
国連子どもの権利条約の中には、「子どもの権利」として、学ぶ権利(教育を受ける権利)があります。また、子どもに関わるすべてのことについて、意見を表明し、きちんと聴かれる権利(意見を聴かれる権利)もあります。
しかし、実際には、経済的な理由で、教育や進路などに影響が出ていたり、困っている人たちもいます。特に今は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、その影響が広がっています。そして、子どもたちの意見が聴かれる機会は、なかなかありません。
セーブ・ザ・チルドレンは、2021年4月から7月にかけて、「コロナ×子どものまなぶ権利とおかね」をテーマに、中学・高校生世代のみなさんを対象に、アンケートやインタビューによるヒアリング(=意見を聴くこと)を行いました。3ヶ月間を通して、1都8県に住む600人を超える子ども・若者のみなさんから、本当にたくさんの意見を聴かせてもらいました。今回、中高生世代の意見をまとめた報告書と、みなさんの意見をもとにセーブ・ザ・チルドレンがつくった提言書を発表しました。
(※提言書とは・・・政府や自治体などへの意見・求めたいことをまとめたものです。)
ヒアリング調査結果報告書(くわしい内容、12ページ)はこちら
報告書には、短く読みやすくしたもの(4ページ)もあります。
また、短い報告書は、日本語・やさしい日本語のほか、スペイン語、中国語、英語でも読めます。
提言書は、やさしい日本語のものもあります。
みなさんの読みやすいものを手に取ってみてください。
このアンケート調査とインタビューによる聴き取りでは、次のようなことが明らかとなりました。(有効アンケート回答数606件、インタビュー参加者9人)
■ヒアリングから明らかになったこと
1.学校や塾などの学ぶ環境への影響について、約10人のうち6人の中高生世代が自分や周囲で「学校にかかるお金で困っている人がいると感じることがある」と答えました。
2.「困っている人がいる」と答えた中高生世代のうち、66.9%が「有料の塾や通信教育などで学ぶことができない」、63.6%が「制服を買う・そろえるのが大変」と答えています。
また、「オンライン・家庭学習に必要なもの(インターネット、パソコン、勉強できる場所など)がなく、オンライン・家庭学習ができない」(52.6%)、「進学先をあきらめたり、変えたりしないといけない」(51.8%)、「部活動・クラブ活動に必要なものが買えず、参加がむずかしい」(50.1%)もそれぞれ過半数をこえる回答となりました。
3.新型コロナウイルス感染拡大により、学校での学びへの影響について、「わからない、難しいと感じることが増えた」のは33%で、約3人に1人でした。その理由として、半数近くが「塾に通えなくなった」、「オンライン学習・家庭学習に必要なものをそろえられなかった」、「進路をあきらめたり変えたりしないといけなくなり、勉強のやる気が低下した」ことを挙げています。
4.大人や政府への要望として、約6割の人 たちが「学校に必要な教材は学校が用意する」、5割以上の人たちが「部活動・クラブ活動にお金がかからないようにする」、「給食費、通学時の昼食代を無料にする」と答えました。
5.「何かをしたくてもお金がかかるから あきらめたりする」(東京都・高校2年)、「学校の勉強だけではついていけず塾に通いたいが通えない」(東京都・高1)、「お金無いから授業料払えないし、お弁当も持っていけない時は誰かにわけてもらう」(東京都・高2)、「教材とかも自分で払っている(神奈川県・高3)」といった声も寄せられました。(ヒアリングからの抜粋)
セーブ・ザ・チルドレンは、こうした子どもたちの意見を受け、すべての子どもを対象とした教育の無償化を求め、政府や地方自治体などに向けて、以下の施策を提言しています。
■提言
1.高等学校等までの教育を無料にするためのロードマップ(計画案)をつくる
2.給食を無料にする/昼食代の補助をする
3.通学していない人もふくめ、さまざまな学びの支援をふやす
4.大学等進学にかかる立て替え(一度支払い、その後でお金が戻ってくる仕組み)・前払いをなくし、給付型奨学金(返す必要のない学びのためのお金)をふやす
5.中学・高等学校等ともに、進路にかかるサポート情報を最終学年の前からわかりやすく届ける
この報告書と提言書の内容について、感想や聞きたいことなどがありましたら、下記の【お問い合わせ】までご連絡ください。
また、10月末に、今回をもとにした「オンライン発表会&トークセッション」も開催します!アンケートとインタビューのくわしい内容について発表したり、専門家と一緒に子どもの学ぶ権利について考えたりする予定です。近日中に、セーブ・ザ・チルドレンのウェブサイトなどでイベントをご案内しますので、ぜひチェックしてみてください。
【お問い合わせ】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 国内事業部(担当:松山・北見)
〒101-0047東京都千代田区内神田2-8-4山田ビル4階
E-mail:japan.soap@savethechildren.org
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