(公開日:2021.12.09)
【活動報告】SWOCユースチームが日本の大学で学ぶシリア出身留学生との意見交換会を実施しました―Stop the War on Children (SWOC)ユースチームvol.9
- アドボカシー
2021年11月27日に、SWOCユースチーム※1は日本の大学で学ぶシリア出身の留学生とオンラインで意見交換会を実施しました。
シリア危機発生から10年が経った今も、シリアでは人口の76%が国内外での避難を余儀なくされています※2。シリアに暮らす子どもたちの半数は、紛争のある状態しか知りません。学校や教育施設は攻撃の対象とされ、これまでの教育施設への攻撃は約700回にのぼっています。3校に1校が損傷・破壊されているため、半数以上の子どもたちが教育を受けられていません※2。現在ではさらに、新型コロナウイルス感染症の影響で、学校に通えない子どもたちは急増しています。
ユース主導による意見交換会
今回の意見交換会は、SWOCユースのメンバーの1人が、自分の通う大学に所属するシリア人留学生に参加を呼びかけ実現したもので、企画や当日の運営などのすべてをユースが主導して行われました。
紛争下の子どもの教育を守るための政策提言や社会啓発活動を行うユースチームとして、実際に紛争の影響を受け、それらの経験を通して教育の重要性について考えている学生と話をすることは、紛争下の子どもたちの状況をより深く理解し活動の強化につなげられると考え、実施につながりました。
意見交換会は、まずシリア人留学生の体験談を聞き、その後ユースメンバーとのディスカッションを通して、教育の大切さやシリアの現状、そして日本のユースチームにできることについて考えるというプログラムで実施されました。
留学生の体験談では、シリアの教育が長期にわたる紛争の影響を受け、教育設備やシステムが十分ではないためシリア国内では教育の質が課題となっていること、また現在シリアに暮らす人々の70%が国外の親戚や知り合いからの支援を受けて生活しているため教育にお金をかけられない現状などの説明がありました。留学生自身も、シリア危機発生後にやむを得ず大学を離れトルコに行かざるを得ませんでした。現在はシリアの現状をより多くの人に伝えるために、日本で国際政治を学んでいます。
シリアの現状に対して私たちができること
ユースチームとのディスカッションでは、まず留学生からシリアで子どもたちやユースが教育を受けるためには、教育制度を根本的に変える必要があることが強調され、現在シリアの学校の多くは、国連が定める学校としての安全基準を満たしておらず、施設や教師の給与制度が整っていないことが大きな問題だとの説明がありました。
この状況を変えるためには、インフラ整備など、各省庁やその他のセクターが多方面からアプローチする必要があり、これらの改革を通して教育設備を整えたり、教員への適切な支援を行ったりすることが重要です。さらに、国際社会がシリア政府に対し政策への働きかけを行い、教育分野での改革を求めることをこれまで以上に強化していくことが不可欠だと述べていました。
最後に、今後シリアの子どもたちの教育のために、シリアの状況をより多くの人たちに伝えていく必要があること、また政策の策定や実施の推進に向け、シリアおよび日本の両政府への働きかけを行うべきであることが留学生とユースの双方から意見として出されました。
シリアの状況を多くの人々に伝えていくためには、ユースが活用できるメディアやSNSなども用い、まずシリアに関心を持ってもらうことが必要で、それらの活動が日本やシリアの政府を動かす大きなきっかけになることも強調されました。紛争が長期化し、日本での報道が減りつつあるなか、シリアの課題と子どもたちの教育を守るため、日本国内でユースにできる方法で現状を伝え、人々の関心を呼び起こし、心を動かすことの重要性を改めて認識しました。
意見交換会に参加したユースのコメント
意見交換会に参加したSWOCユースからは、イベント後、次のようなコメントがありました。
「日本でシリアの情報を広めることが必要だと改めて感じた」
「若い世代の人にシリアの状況を伝えることが大事だと感じる。同じ年代の子どもたちが安全な教育を受けられていないが、ほとんどの日本の子ども
たちは、そんなことが起きていると知らない。それを若い世代に伝えないと、状況は変えられないと思う」
「シリアの状況を日本の報道からのみで知ることには限界がある。だから、現状を知る人の声を聞き、それを政府に届けることが大事。若い人が声をあげられる機会が少ない日本でも、SNSなどを通して情報を広め、若い世代全体にアプローチすることができる」
「今日聞いた話を友だちや知り合いに広めたい。日本でシリアの情報を少しでも広め、近くの人に伝えることが大切」
SWOCユースチームは、紛争下の子どもの教育を守る「学校保護宣言」に日本政府が賛同することを求めています。
今回の意見交換会では、シリアの子どもたちがいまだ安全な環境で学習を続けられていないこと、そして、それを変えるためには国際社会の働きかけが求められていることを改めて認識する機会となりました。
これからも、日本の「学校保護宣言」への賛同を含め、政府に向けた政策提言活動や、日本社会とユースに向けた社会啓発活動により一層力をいれて取り組んでいきます。
(執筆:アドボカシー室インターン/SWOCユースメンバー 大竹くるみ)
※1 セーブ・ザ・チルドレンは、2019年より、紛争下の子どもたちを守ることを目的とした「Stop The War On Children(SWOC)紛争下の子どもを守ろう」キャンペーンをグローバルに展開しています。SWOCユースチームとは、同キャンペーンを国内で推進するため、2019年11月に発足したユースチームです。
※2 「セーブ・ザ・チルドレン ニュースレター No.78 -March 2021-」より
シリア危機発生から10年が経った今も、シリアでは人口の76%が国内外での避難を余儀なくされています※2。シリアに暮らす子どもたちの半数は、紛争のある状態しか知りません。学校や教育施設は攻撃の対象とされ、これまでの教育施設への攻撃は約700回にのぼっています。3校に1校が損傷・破壊されているため、半数以上の子どもたちが教育を受けられていません※2。現在ではさらに、新型コロナウイルス感染症の影響で、学校に通えない子どもたちは急増しています。
ユース主導による意見交換会
今回の意見交換会は、SWOCユースのメンバーの1人が、自分の通う大学に所属するシリア人留学生に参加を呼びかけ実現したもので、企画や当日の運営などのすべてをユースが主導して行われました。
紛争下の子どもの教育を守るための政策提言や社会啓発活動を行うユースチームとして、実際に紛争の影響を受け、それらの経験を通して教育の重要性について考えている学生と話をすることは、紛争下の子どもたちの状況をより深く理解し活動の強化につなげられると考え、実施につながりました。
意見交換会は、まずシリア人留学生の体験談を聞き、その後ユースメンバーとのディスカッションを通して、教育の大切さやシリアの現状、そして日本のユースチームにできることについて考えるというプログラムで実施されました。
留学生の体験談では、シリアの教育が長期にわたる紛争の影響を受け、教育設備やシステムが十分ではないためシリア国内では教育の質が課題となっていること、また現在シリアに暮らす人々の70%が国外の親戚や知り合いからの支援を受けて生活しているため教育にお金をかけられない現状などの説明がありました。留学生自身も、シリア危機発生後にやむを得ず大学を離れトルコに行かざるを得ませんでした。現在はシリアの現状をより多くの人に伝えるために、日本で国際政治を学んでいます。
シリアの現状に対して私たちができること
ユースチームとのディスカッションでは、まず留学生からシリアで子どもたちやユースが教育を受けるためには、教育制度を根本的に変える必要があることが強調され、現在シリアの学校の多くは、国連が定める学校としての安全基準を満たしておらず、施設や教師の給与制度が整っていないことが大きな問題だとの説明がありました。
この状況を変えるためには、インフラ整備など、各省庁やその他のセクターが多方面からアプローチする必要があり、これらの改革を通して教育設備を整えたり、教員への適切な支援を行ったりすることが重要です。さらに、国際社会がシリア政府に対し政策への働きかけを行い、教育分野での改革を求めることをこれまで以上に強化していくことが不可欠だと述べていました。
最後に、今後シリアの子どもたちの教育のために、シリアの状況をより多くの人たちに伝えていく必要があること、また政策の策定や実施の推進に向け、シリアおよび日本の両政府への働きかけを行うべきであることが留学生とユースの双方から意見として出されました。
シリアの状況を多くの人々に伝えていくためには、ユースが活用できるメディアやSNSなども用い、まずシリアに関心を持ってもらうことが必要で、それらの活動が日本やシリアの政府を動かす大きなきっかけになることも強調されました。紛争が長期化し、日本での報道が減りつつあるなか、シリアの課題と子どもたちの教育を守るため、日本国内でユースにできる方法で現状を伝え、人々の関心を呼び起こし、心を動かすことの重要性を改めて認識しました。
意見交換会に参加したユースのコメント
意見交換会に参加したSWOCユースからは、イベント後、次のようなコメントがありました。
「日本でシリアの情報を広めることが必要だと改めて感じた」
「若い世代の人にシリアの状況を伝えることが大事だと感じる。同じ年代の子どもたちが安全な教育を受けられていないが、ほとんどの日本の子ども
たちは、そんなことが起きていると知らない。それを若い世代に伝えないと、状況は変えられないと思う」
「シリアの状況を日本の報道からのみで知ることには限界がある。だから、現状を知る人の声を聞き、それを政府に届けることが大事。若い人が声をあげられる機会が少ない日本でも、SNSなどを通して情報を広め、若い世代全体にアプローチすることができる」
「今日聞いた話を友だちや知り合いに広めたい。日本でシリアの情報を少しでも広め、近くの人に伝えることが大切」
SWOCユースチームは、紛争下の子どもの教育を守る「学校保護宣言」に日本政府が賛同することを求めています。
今回の意見交換会では、シリアの子どもたちがいまだ安全な環境で学習を続けられていないこと、そして、それを変えるためには国際社会の働きかけが求められていることを改めて認識する機会となりました。
これからも、日本の「学校保護宣言」への賛同を含め、政府に向けた政策提言活動や、日本社会とユースに向けた社会啓発活動により一層力をいれて取り組んでいきます。
(執筆:アドボカシー室インターン/SWOCユースメンバー 大竹くるみ)
※1 セーブ・ザ・チルドレンは、2019年より、紛争下の子どもたちを守ることを目的とした「Stop The War On Children(SWOC)紛争下の子どもを守ろう」キャンペーンをグローバルに展開しています。SWOCユースチームとは、同キャンペーンを国内で推進するため、2019年11月に発足したユースチームです。
※2 「セーブ・ザ・チルドレン ニュースレター No.78 -March 2021-」より