(公開日:2021.12.13)
【パレスチナ自治区ガザ地区】武力衝突の影響を受けた地域での水・衛生支援と子どもたちの心理社会的支援
- ガザ
2021年5月10日から21日にかけて続いたイスラエル軍による空爆や砲撃により、パレスチナ自治区ガザ地区では67人の子どもを含む261人が死亡し、2,200人以上が負傷しました*1。
下水管設置工事の様子
遊びを通した心理社会的支援の様子
下水管設置工事の様子
その時の空爆や砲撃によって約290ヶ所の給水管や下水管、井戸、ポンプ場などを含む水・衛生施設が損傷を受け、131万人が水・衛生分野において支援を必要とする事態に陥りました。新型コロナウイルス感染症の拡大も懸念される中、多くの人たちが安全な水や衛生設備を利用できなくなり、現在も環境や健康上のリスクに晒されています*2。
セーブ・ザ・チルドレンは、とくに被害が大きかったガザ地区北部ベイト・ラヒアにおいて、2021年8月1日より下水管設置事業を実施し、水・衛生分野で支援を行っています。
ベイト・ラヒアでは、砲撃により損傷を受けた下水道のポンプ場が機能しなくなったことから下水が道路にあふれ出し、付近の住民1万人への深刻な健康被害が懸念され、喫緊に対応する必要がありました。
私たちは、現地の上下水道の管理を行っている沿岸自治体水道事業体と協議を重ね、損傷したポンプ場の再建ではなく、新たな下水管を設置することにしました。慢性的な電力不足が問題であるガザ地区において、以前のポンプ場とは異なり、電力が供給されなくても下水を適切に流すことができ、維持管理および修繕費用も低く抑えられることができます。
さらに、地下に下水管を設置することで、将来的に起こりうる空爆などから下水網を守ることができるという利点もあります。3,610メートルにわたる下水管の設置により、汚水や雨水が適切に排水されるようになり、この地域の住民1,667世帯が安全に安心して生活できるようになることを目指しています。
また、下水管設置事業と同時期に、セーブ・ザ・チルドレンはガザ地区北部とガザ地区市内で子どもの保護分野の支援も実施してきました。
同地区の子どもの多くは、何度も軍事衝突を目の当たりにしていること、また家族や友人の死を経験していることから、大きな不安や心理的苦痛を感じながら生活しています。5月の衝突により後遺症や長期にわたり障害が残るほど負傷した子どもは470人、親を亡くした子どもは241人います。また、5月以降に実施された調査によると、現在ガザ地区の子どもの91.4%が心的外傷を抱え、支援を必要としています*3。
私たちは、軍事衝突の影響で不安やストレスを抱える子どもたちが、自身の感情や経験を表現し、他人と共有するアクティビティや、ストレスを軽減するための遊びを提供するイベントを実施し、計1,225人の子どもたちが参加しました。
ファシリテーターを務めたスタッフのひとりは、「居心地の良い、安心して友だちと交流できる遊びの機会は、参加した子どもたちにとってとてもポジティブな経験になった」と話します。
セーブ・ザ・チルドレンは、とくに被害が大きかったガザ地区北部ベイト・ラヒアにおいて、2021年8月1日より下水管設置事業を実施し、水・衛生分野で支援を行っています。
ベイト・ラヒアでは、砲撃により損傷を受けた下水道のポンプ場が機能しなくなったことから下水が道路にあふれ出し、付近の住民1万人への深刻な健康被害が懸念され、喫緊に対応する必要がありました。
私たちは、現地の上下水道の管理を行っている沿岸自治体水道事業体と協議を重ね、損傷したポンプ場の再建ではなく、新たな下水管を設置することにしました。慢性的な電力不足が問題であるガザ地区において、以前のポンプ場とは異なり、電力が供給されなくても下水を適切に流すことができ、維持管理および修繕費用も低く抑えられることができます。
さらに、地下に下水管を設置することで、将来的に起こりうる空爆などから下水網を守ることができるという利点もあります。3,610メートルにわたる下水管の設置により、汚水や雨水が適切に排水されるようになり、この地域の住民1,667世帯が安全に安心して生活できるようになることを目指しています。
また、下水管設置事業と同時期に、セーブ・ザ・チルドレンはガザ地区北部とガザ地区市内で子どもの保護分野の支援も実施してきました。
同地区の子どもの多くは、何度も軍事衝突を目の当たりにしていること、また家族や友人の死を経験していることから、大きな不安や心理的苦痛を感じながら生活しています。5月の衝突により後遺症や長期にわたり障害が残るほど負傷した子どもは470人、親を亡くした子どもは241人います。また、5月以降に実施された調査によると、現在ガザ地区の子どもの91.4%が心的外傷を抱え、支援を必要としています*3。
私たちは、軍事衝突の影響で不安やストレスを抱える子どもたちが、自身の感情や経験を表現し、他人と共有するアクティビティや、ストレスを軽減するための遊びを提供するイベントを実施し、計1,225人の子どもたちが参加しました。
ファシリテーターを務めたスタッフのひとりは、「居心地の良い、安心して友だちと交流できる遊びの機会は、参加した子どもたちにとってとてもポジティブな経験になった」と話します。
遊びを通した心理社会的支援の様子
そのほか、家庭内暴力や性暴力、児童労働やネグレクトなどを経験したことのある子どもや、学習に困難を抱え中途退学のリスクが高い子ども171人に対し、一人ひとりのニーズに合った支援の提供や専門機関への付託を行うケースマネジメントを実施しました。
また、ガザ地区では停戦後も、不発弾などの爆発性戦争残存物(Explosive remnants of war:ERW)によって子どもが重傷を負う事故や死亡するケースが報告されています。このような事故を減らすため、セーブ・ザ・チルドレンは国連地雷対策サービス部と連携し、1,000人の子どもたちに対し、ゲームやアクティビティ、動画の視聴を通して爆発性戦争残存物のリスクについて学ぶセッションを実施しました。
爆発性戦争残存物のリスクについて学ぶ様子
また、ガザ地区では停戦後も、不発弾などの爆発性戦争残存物(Explosive remnants of war:ERW)によって子どもが重傷を負う事故や死亡するケースが報告されています。このような事故を減らすため、セーブ・ザ・チルドレンは国連地雷対策サービス部と連携し、1,000人の子どもたちに対し、ゲームやアクティビティ、動画の視聴を通して爆発性戦争残存物のリスクについて学ぶセッションを実施しました。
爆発性戦争残存物のリスクについて学ぶ様子
これらの活動を通して、ガザ地区の子どもたちや地域の人が安全で衛生的な環境で安心して健康に暮らすことができ、子ども一人ひとりが必要とする心理社会的支援を実施し、子どもたちの身体的、心理的、社会的な側面をはじめとする健やかな成長(well-being)の向上を目指します。
本事業は皆さまからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 ガザ事業担当 佐藤秀美)
*1 OCHA, “Overview November 2021”, 3 Nov 2021.
*2 OCHA, “Escalation of Hostilities and Unrest in the oPT FLASH APPEAL”, 27 May 2021, p.20.*3 Euro-Med Human Rights Monitor, “New Report: 91.4% of Gaza children suffer from PTSD after the Israeli attack”, 2 July 2021
本事業は皆さまからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 ガザ事業担当 佐藤秀美)
*1 OCHA, “Overview November 2021”, 3 Nov 2021.
*2 OCHA, “Escalation of Hostilities and Unrest in the oPT FLASH APPEAL”, 27 May 2021, p.20.*3 Euro-Med Human Rights Monitor, “New Report: 91.4% of Gaza children suffer from PTSD after the Israeli attack”, 2 July 2021