(公開日:2021.12.14)
【レバノン教育支援】子どもたちの学びの継続を目指して -第1期完了報告-
- シリア危機
セーブ・ザ・チルドレンは、シリア危機やレバノン経済危機、新型コロナウイルス感染症の拡大といった影響を受けるレバノン北部において、就学または学習継続が困難なシリア難民とホストコミュニティの子どもたちへ教育支援を実施してきました。2020年10月より実施してきた教育事業が2021年10月31日に終了しましたので、活動の報告をします。
授業で使用する教材や文具を手に取る子どもたちの様子
授業で使用する教材や文具を手に取る子どもたちの様子
約23万人のシリア難民が居住するレバノン北部では、難民とレバノンの人たちともに貧困率が高く、シリア難民の約90%が国際貧困ラインである1日1.9米ドル以下で生活をしています(2020年時点)。
そのため、多くの子どもが、教材費や交通費が払えないなどの理由で学校に通うことができていません。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う約1年間の学校閉鎖により、学習を継続できない状況におかれた子どもたちが増加しています。
また、学校の長期閉鎖や経済危機による貧困率の増加により、家庭内暴力や性暴力、児童労働、若年での妊娠が増加しており、学習機会の提供に加え、子どもたちの心理社会的な側面での健やかな成長が重要になっています。
セーブ・ザ・チルドレンが実施した今回の事業では、対象地で学校に通うことができていない子どもを特定し、復学と学習継続の支援を実施しました。
長い間学校に通えていない子どもたち166人(うち障害のある子ども28人)に基本的な読み書きや計算の授業を行い、公立学校や代替教育機関への編入のサポートをしました。また、公立学校に在籍しているものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う長期の学校閉鎖や経済状況悪化の影響で学校に通えず、学習の遅れがあり、中途退学のリスクが高い子どもたち486人(うち障害のある子ども55人)に補習授業を実施し、通学継続および進級の支援をしました。
スタッフが子どもたちに教材や文具を配布する様子
教員がオンライン授業を実施する様子
子どもが自宅で遠隔授業を受ける様子
社会情動的スキル向上のアクティビティの一環として子どもが描いた「幸せ」がテーマの絵
そのため、多くの子どもが、教材費や交通費が払えないなどの理由で学校に通うことができていません。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う約1年間の学校閉鎖により、学習を継続できない状況におかれた子どもたちが増加しています。
また、学校の長期閉鎖や経済危機による貧困率の増加により、家庭内暴力や性暴力、児童労働、若年での妊娠が増加しており、学習機会の提供に加え、子どもたちの心理社会的な側面での健やかな成長が重要になっています。
セーブ・ザ・チルドレンが実施した今回の事業では、対象地で学校に通うことができていない子どもを特定し、復学と学習継続の支援を実施しました。
長い間学校に通えていない子どもたち166人(うち障害のある子ども28人)に基本的な読み書きや計算の授業を行い、公立学校や代替教育機関への編入のサポートをしました。また、公立学校に在籍しているものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う長期の学校閉鎖や経済状況悪化の影響で学校に通えず、学習の遅れがあり、中途退学のリスクが高い子どもたち486人(うち障害のある子ども55人)に補習授業を実施し、通学継続および進級の支援をしました。
スタッフが子どもたちに教材や文具を配布する様子
新型コロナウイルス感染症の影響により、学習支援センターでの対面授業が実施できなくなったため、授業はすべて無料チャットアプリを主なプラットフォームとした遠隔授業方式で実施されました。
また、子どもたちにはオンライン授業の際に使用する教科書や学習プリント、文具が配布されました。教員は生徒の学習状況を把握するため、通話やテキストメッセージでフォローアップを実施し、必要に応じて戸別訪問を行いました。
また、子どもたちにはオンライン授業の際に使用する教科書や学習プリント、文具が配布されました。教員は生徒の学習状況を把握するため、通話やテキストメッセージでフォローアップを実施し、必要に応じて戸別訪問を行いました。
教員がオンライン授業を実施する様子
子どもが自宅で遠隔授業を受ける様子
さらに、経済危機や新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、心理社会的な困難を抱えやすい子どもたちのために、授業には「社会情動的スキル」(感情のコントロールや他者との協働といった非認知スキル)の学習の要素を取り入れることで、心理社会的健康の向上を目指しました。
遊びやゲームを学習に取り入れて楽しんで学びながら、子どもたちの自己認識や社会的意識、対人関係能力といった能力を育成する工夫をしました。そして、基本的な読み書きや計算の授業と補習授業を実施する過程で、暴力や虐待、搾取、ネグレクトといった子どもの保護の問題を抱える子どもたち67人を特定し、一人ひとりの子どもの状況が改善されるよう、個別支援や他の専門機関につなげる活動を実施しました。
遊びやゲームを学習に取り入れて楽しんで学びながら、子どもたちの自己認識や社会的意識、対人関係能力といった能力を育成する工夫をしました。そして、基本的な読み書きや計算の授業と補習授業を実施する過程で、暴力や虐待、搾取、ネグレクトといった子どもの保護の問題を抱える子どもたち67人を特定し、一人ひとりの子どもの状況が改善されるよう、個別支援や他の専門機関につなげる活動を実施しました。
社会情動的スキル向上のアクティビティの一環として子どもが描いた「幸せ」がテーマの絵
社会情動的スキル向上の要素を取り入れた、質の高い、インクルーシブな教育機会を子どもたちに提供するために、本事業の基本的な読み書きや計算の授業と補習授業を教える教員14人に対して能力強化研修を実施しました。
その結果、参加した教員の7割が研修前と後で教える技術・能力(授業のプランニングや遠隔授業の実施を含む)が向上したことを確認できました。そのほか、研修終了後も継続的に教員同士で学び合い、能力強化ができるよう、教員学習サークルの結成を行い、定期的なオンライン集会を開催しました。
また、この事業では、子どもたちが安心・安全に学びを継続できるよう、学習センターの衛生環境を改善するための活動も実施しました。水・衛生施設の修繕に加え、感染予防や衛生習慣を徹底した安全・安心・衛生的な学習支援センターの運営に関する研修を行い、教職員25人が参加しました。
また、自宅で学習をする子どもたちが安全な環境で学び続けられるよう、子どもたちの養育者を含む地域住民(女性538人、男性460人)に、感染予防に関する啓発活動を実施しました。参加者のひとりは、「この研修で学んだ情報は家族や友人、とくに地域の高齢者に共有していきたい」と話しています。
事業は10月末で終了しましたが、いまだ経済危機や新型コロナウイルス感染症の影響で教育の権利が侵害されている多くのレバノンの子どもたちへの支援を継続するため、2021年11月1日より第2期教育事業を北レバノン県で実施しています。
レバノンの脆弱な状況に置かれた子どもたちが、安心・安全な環境で質の高い教育を受け続けられるよう、引き続きセーブ・ザ・チルドレンは活動を実施していきます。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 レバノン教育事業担当 佐藤秀美)
その結果、参加した教員の7割が研修前と後で教える技術・能力(授業のプランニングや遠隔授業の実施を含む)が向上したことを確認できました。そのほか、研修終了後も継続的に教員同士で学び合い、能力強化ができるよう、教員学習サークルの結成を行い、定期的なオンライン集会を開催しました。
また、この事業では、子どもたちが安心・安全に学びを継続できるよう、学習センターの衛生環境を改善するための活動も実施しました。水・衛生施設の修繕に加え、感染予防や衛生習慣を徹底した安全・安心・衛生的な学習支援センターの運営に関する研修を行い、教職員25人が参加しました。
また、自宅で学習をする子どもたちが安全な環境で学び続けられるよう、子どもたちの養育者を含む地域住民(女性538人、男性460人)に、感染予防に関する啓発活動を実施しました。参加者のひとりは、「この研修で学んだ情報は家族や友人、とくに地域の高齢者に共有していきたい」と話しています。
事業は10月末で終了しましたが、いまだ経済危機や新型コロナウイルス感染症の影響で教育の権利が侵害されている多くのレバノンの子どもたちへの支援を継続するため、2021年11月1日より第2期教育事業を北レバノン県で実施しています。
レバノンの脆弱な状況に置かれた子どもたちが、安心・安全な環境で質の高い教育を受け続けられるよう、引き続きセーブ・ザ・チルドレンは活動を実施していきます。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 レバノン教育事業担当 佐藤秀美)