「栄養の力で人々を健康に、幸せにする」-東京栄養サミット5つのハイライト

2021年12月7日・8日、待望の東京栄養サミットがついに開催されました。新型コロナウイルス感染症の世界的流行により一年の延期を経ての開催となりましたが、「より良い復興」から持続可能な開発目標(SDGs)の17目標の達成まで、健康と社会のあらゆる側面における良質な栄養の重要性が強調されました。岸田首相は、「栄養は人々を健康に、幸せにする」というメッセージを世界に向けて発信しました。

急性栄養不良の治療食を手にする1歳半のアダンさん(スーダン)

2日間のサミットを通じて、各国政府、ドナー、国際機関、企業、市民社会が次々と資金、政策、プログラム、インパクトに関する多くのコミットメントを発表しました。サミットのハイライトを以下の5つのテーマに絞ってお伝えします。

1.多くのコミットメント発表
東京栄養サミットを一言で表すとすれば、それは「コミットメント」です。世界で多くの危機において資金投入が必要となる中、東京栄養サミットが270億ドル以上の資金コミットメントを確保できたことは、大変大きな成果です。また、66ヶ国、156のステークホルダーにより、680の明確な目標を含む331の栄養に関するコミットメントが発表されました。これらのコミットメントは、あらゆる形態の栄養不良という世界的な不公正を終わらせるために不可欠な資金を提供するものです。

これまでの知見と解決策の積み重ねにもかかわらず、栄養不良に陥る人の割合は未だ高く、危機的な状況にあります。今日も、何百万もの人々が飢饉の瀬戸際にいます。2020年には、1億4,900万人の子どもが発育阻害、4,500万人の子どもが消耗症を患っていました。そして現在、約30億人、つまり世界の3人に1人が、健康的で栄養のある食事を摂ることができていません。

東京栄養サミットで各国政府やその他ステークホルダーが発表したコミットメントは、こうした現状を変えるための第一歩となります。64ヶ国を含む212のステークホルダーが署名した「東京栄養宣言」は、栄養不良をなくすために必要とされる世界的な行動と協力の証です。私たちは共に、目標を達成することができ、また、しなければなりません。

2.アカウンタビリティの重要性
日本政府は、東京栄養サミットのパートナーそして対象として市民社会を巻き込み、計画の初期段階からサミットの基盤、構成、アプローチに意見を投じるさまざまな機会を提供し、サミットに対する強いリーダーシップを発揮してきました。その結果、市民社会のアクターは表舞台でも縁の下でも活躍し、サミットで発表されたコミットメントの4分の1以上は市民社会から出されたものでした。サミットには、国連機関や財団、企業も加わり、栄養のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)への統合、健康的で持続可能な食料システムの構築、紛争および脆弱な状況下における栄養不良対策への効果的な対応に関するアイデアや知見を共有しました。さらに特筆すべきことに、今回のサミットでは、新たな栄養アカウンタビリティ・フレームワーク(NAF)が創設されました。世界栄養報告(GNR)が監督するこの独立したプラットフォームは、コミットメントがSMART(具体的、測定可能、達成可能、適切、期限付き)であることを確認し、登録されたコミットメントが実際にどれだけ効果的に実施されたかを追跡する機能を持ちます。

3.セーブ・ザ・チルドレンのコミットメント
私たちはこれまで数年にわたり、各国政府に対して、東京栄養サミットで、「命を救うための変化」をもたらす資金的・政策的なコミットメントを行うよう求めてきました。同様に、私たちも栄養へのコミットメントを行動で示すため、セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルの事務局長インゲル・アッシンは、栄養不良への取り組みに約5億ドルの資金拠出を発表しました。この大胆な投資により、40ヶ国以上、1億500万人の子どもたちが栄養不良の予防と治療のための支援を受けられるように活動を展開していきます。また、1,400万人以上の子どもたちとその家族に、現金やバウチャー(食料や現金の引換券)による支援を含む生活支援が行き届くよう取り組みます。私たちはこれからも、最も貧しく脆弱な立場に置かれた子どもたちを支援し、彼らにふさわしい未来を築くために子どもたちと協働し、私たち自身およびコミットメントを行ったすべてのステークホルダーのアカウンタビリティを求めていきます。

4.若者たちを失望させない
国際会議などの政治的な機会において、若者の声が聴かれ、認められることは大変重要です。東京栄養サミットでは、SUN(Scaling Up Nutrition)市民社会ネットワークの栄養ユースリーダー9人が参加し、発信を行えたことを、私たちは歓迎します。彼らは、栄養不良がいかに子どもたちの生活に壊滅的な影響を与え、生存、学習、成長の可能性を制限し、貧困の悪循環に陥れているかについて、詳しく報告しました。特に、東京栄養サミットのコミットメントに対し、政府のアカウンタビリティを求め、地域、国、そして世界レベルで若者の声が確実に届くように働きかけるという彼ら自身のコミットメントが発表されたことはすばらしいことです。コミットメントの中には、各国における若者のネットワークの確立や、最も疎外された子どもたちが政策決定者と対話を持つためのフォーラムの設立などが含まれていました。私たちは、若者の声が反映され、拡大されるよう、これからも後押ししていきます。

5.パリの栄養サミットに向けて
次のサミット開催国はフランスで、2024年にパリで栄養サミットが開催される予定です。その時点で、SDGsの期限である2030年まであと6年となり、このサミットは栄養をめぐる国際的な協調行動のための最後の一押しとなることでしょう。私たちは、引き続きこの取り組みを支援し、協力していきます。
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