【シリア危機】激しい戦闘の続くシリア北東部グウェイラン刑務所から700人の少年たちの迅速な避難を

2022年1月24日、セーブ・ザ・チルドレンは、5日間にわたる激しい戦闘と内部から助けを求める少年の音声を確認し、シリア北東部のハサケ市内 にあるグウェイラン(Guweiran)刑務所から子どもたちを直ちに避難させるよう呼びかけました。1月20日に、脱獄の目的で準備された車両が刑務所周辺で爆発し、戦闘が起こりました。1月24日現在、暴力は続いており、複数の死傷者が報告されていますが、実態の把握にはいたっていません。

シリア民主軍(The Syrian Democratic Forces:SDF)は、1月23日に、刑務所内とその周辺で戦闘が続いているため、刑務所内の子どもたちに責任をとれないと述べています。暴力が発生する以前、約700人の少年がグウェイラン刑務所に収容されており、その多くは、2019年にISISからバグーズ(Baghouz)を奪還後、約3年間刑務所にいます。

セーブ・ザ・チルドレンや他団体が入手した音声によると、すでに複数の子どもたちの死傷者が出ているとされており、また、助けを求める少年の音も含まれていました。シリア民主軍は、子どもたちが人間の盾として使われており、刑務所内にいる戦闘員が子どもたちの命を守る責任があると声明を出しています。セーブ・ザ・チルドレンは、これらの声明内容を独自に確認することはできませんでしたが、ISIS関連の戦闘員は以前にも、子どもたちを人間の盾として利用したことがありました。

セーブ・ザ・チルドレンのシリア事業ディレクター ソニア・クシュは、子どもたちが犠牲になったり、負傷している凄惨な状況を受けて、次のように訴えます。
「グウェイラン刑務所で戦闘に関与するすべての人は、子どもたちを危害から守る責任があります。子どもたちが安全に退去できるよう、直ちにあらゆる対策を講じるよう要請します。

攻撃で負傷した少年たちは、必要な医療支援を受け、その経験から回復するためにメンタルヘルスの支援を受ける必要があります。そして、すべての子どもたちが回復し、安全にコミュニティに戻り、生活を再建するための支援が極めて重要です。

戦闘中に捕らえられた少年の多くは、3年間近くグウェイラン刑務所に収容されており、シリアやイラクだけでなく、その他数十ヶ国から来ています。

子どもたちに何か起こったときの責任は、子どもたちの国籍国政府にもあります。子どもたちの死傷のリスクは、これらの政府が子どもたちの帰国を拒否していることと直接関係しています。すべての外国籍の子どもたちは、これ以上待たされることなく、家族とともに本国へ帰還しなければなりません。国際社会は、子どもたちが死傷することを許してはなりません。」

セーブ・ザ・チルドレンは、2020年からグウェイラン刑務所の子どもたちを支援し、物資や食料を提供するとともに、子どもたち健やかな成長のために不可欠なレクリエーション施設の改修等を行っています。 
PAGE TOP

〒101-0047 東京都千代田区内神田2-8-4 山田ビル4F