(公開日:2022.04.26)
【中国 子どもの保護事業】社会全体で子どもたちが守られるように
- 中国
中国南西部にある貴州省の省都貴陽市は、国内各地からの移⺠や出稼ぎ労働者の家族が多い地域です。仕事の関係で親が家を離れている時間が長く、そのため子どもに十分に目が行き届かず、子どもたちは虐待やネグレクトといったリスクに晒されてきました。
地域の人々に対し、問題に思っていることについて聞き取りを行う子どもたち
また、こうした暴力から子どもたちを守るための地域における子ども保護サービスが不十分で、社会においても子どもの保護に関する意識が十分でないために、子どもに対する暴力などの問題が発生しても、それが迅速かつ適切に報告、対応されないことが問題となっていました。
このような状況において、セーブ・ザ・チルドレンは、2021年1月からの1年間、地域社会施設で子どもの活動に関わる職員などの能力強化を通した活動支援や、行政機関のソーシャルワーカーも含めた、子どもの保護に関わる関係者の能力強化、子どもの保護の問題が発生した時の通報システムの周知などを通し、社会全体で子どもを守る体制づくりに取り組みました。
活動計画作成ワークショップに参加する地域社会施設の職員
事業では6ヶ所の地域社会施設において、研修などを通じた職員の能力強化や子ども参加活動の促進を通して、子どもと保護者のための活動を支援しました。
施設職員に対しては、一⼈ひとりの子どものニーズに合った活動計画づくりや、子どもとの友好な関係づくり、子ども参加活動の促進に関する研修を実施しました。また、研修の一環として職員が、他施設で活動するソーシャルワーカーの業務に同⾏し、子どもの保護活動のコンセプトなどについても学ぶ機会をつくりました。この研修に参加した施設職員は、「子ども一⼈ひとりのニーズは異なっていて、それぞれに沿ったサービスを提供しなければならないと理解しました」と話しています。
各施設では、子どもたちが集うスペースの安全性を高めるための修復を行ったり、また、子どもたちが自己表現力やチームワークを高めることを目的とした、読み書き、スポーツ、祝祭日の⾏事などが実施されたりしました。
また、ジェンダー平等のための啓発活動や、保護者に対する前向きな子育てに関する講習なども実施されました。
さらに、子どもの保護に関する映像の上映、 保護者と子どもの双方向のコミュニケーションを促すゲーム、2021 年に改訂版が施⾏された子どもの保護法の紹介など、子どもの権利や子どもの保護に関するテーマでの啓発活動がさまざまな形で実施されました。これらの活動の多くは、各施設に設立された「子ども委員会」が主体となって計画、実施しました。
町に出て地域の大人に啓発活動を行う子どもたち
事業では、社会における子どもに対する暴力の予防や、報告・通報制度の周知、ケースマネジメントサービス¹の強化にも取り組みました。
まず、大⼈向けと子ども向けの通報手順や通報制度に関する 2 種類のリーフレットを作成し、学校や地域社会施設、行政機関の実施したイベントなどで配布しました。
このリーフレットには、法律上、誰に通報義務があるか、いつどのように通報すべきか、また、通報後に何がなされるのかなどについて、イラストを用いてわかりやすく紹介されています。
ホットライン(電話番号)と、地域の子ども保護サービス機関のオンライン地図にアクセスするためのQRコードも掲載しました。
さらに、通報義務や手順についてのオンライン講習モジュールを作成し、通報義務保有者である⾏政機関関係者、教師、警察、医療関係者などの理解向上に貢献しました。
子ども向けの通報手順・制度に関するリーフレット。
10ページからなり、折りたたむと冊子になるデザインです。子どもたちの描いた絵が採用されています。
地域の人々に対し、問題に思っていることについて聞き取りを行う子どもたち
また、こうした暴力から子どもたちを守るための地域における子ども保護サービスが不十分で、社会においても子どもの保護に関する意識が十分でないために、子どもに対する暴力などの問題が発生しても、それが迅速かつ適切に報告、対応されないことが問題となっていました。
このような状況において、セーブ・ザ・チルドレンは、2021年1月からの1年間、地域社会施設で子どもの活動に関わる職員などの能力強化を通した活動支援や、行政機関のソーシャルワーカーも含めた、子どもの保護に関わる関係者の能力強化、子どもの保護の問題が発生した時の通報システムの周知などを通し、社会全体で子どもを守る体制づくりに取り組みました。
活動計画作成ワークショップに参加する地域社会施設の職員
事業では6ヶ所の地域社会施設において、研修などを通じた職員の能力強化や子ども参加活動の促進を通して、子どもと保護者のための活動を支援しました。
施設職員に対しては、一⼈ひとりの子どものニーズに合った活動計画づくりや、子どもとの友好な関係づくり、子ども参加活動の促進に関する研修を実施しました。また、研修の一環として職員が、他施設で活動するソーシャルワーカーの業務に同⾏し、子どもの保護活動のコンセプトなどについても学ぶ機会をつくりました。この研修に参加した施設職員は、「子ども一⼈ひとりのニーズは異なっていて、それぞれに沿ったサービスを提供しなければならないと理解しました」と話しています。
各施設では、子どもたちが集うスペースの安全性を高めるための修復を行ったり、また、子どもたちが自己表現力やチームワークを高めることを目的とした、読み書き、スポーツ、祝祭日の⾏事などが実施されたりしました。
また、ジェンダー平等のための啓発活動や、保護者に対する前向きな子育てに関する講習なども実施されました。
さらに、子どもの保護に関する映像の上映、 保護者と子どもの双方向のコミュニケーションを促すゲーム、2021 年に改訂版が施⾏された子どもの保護法の紹介など、子どもの権利や子どもの保護に関するテーマでの啓発活動がさまざまな形で実施されました。これらの活動の多くは、各施設に設立された「子ども委員会」が主体となって計画、実施しました。
町に出て地域の大人に啓発活動を行う子どもたち
事業では、社会における子どもに対する暴力の予防や、報告・通報制度の周知、ケースマネジメントサービス¹の強化にも取り組みました。
まず、大⼈向けと子ども向けの通報手順や通報制度に関する 2 種類のリーフレットを作成し、学校や地域社会施設、行政機関の実施したイベントなどで配布しました。
このリーフレットには、法律上、誰に通報義務があるか、いつどのように通報すべきか、また、通報後に何がなされるのかなどについて、イラストを用いてわかりやすく紹介されています。
ホットライン(電話番号)と、地域の子ども保護サービス機関のオンライン地図にアクセスするためのQRコードも掲載しました。
さらに、通報義務や手順についてのオンライン講習モジュールを作成し、通報義務保有者である⾏政機関関係者、教師、警察、医療関係者などの理解向上に貢献しました。
子ども向けの通報手順・制度に関するリーフレット。
10ページからなり、折りたたむと冊子になるデザインです。子どもたちの描いた絵が採用されています。
そして、事業では、子どもの保護の概念、子どもの権利、子どもの保護制度、ケースマネジメントのステップなどを包括的に含む研修マニュアルや、ケースマネジメント研修用の教材を作成し、地域で活動するソーシャルワーカーの能力強化研修を実施しました。
ロールプレイやグループでのケースワーク演習なども取り入れた研修に参加したソーシャルワーカーからは、以下の声が寄せられました。
「私は、ケースワーカーとして働き始めてまだ 3ヶ月です。研修に参加する前は、私に専門的能⼒が不足していることで、支援対象者に負の影響を与えてしまうのではないかと不安に感じており、そのためコミュニケーションを避けてしまうことがありました。しかし、研修に参加して、知識と勇気を得ることができました。支援対象者に寄り添うプロセスにおいて、すぐに改善することはなくても、悪い結果となることはない、ということを学びました」
「研修を通して、ケース介⼊の際には、問題解決を急いではいけないということを学びました。急ぐことで、根底にある問題や真のニーズも⾒逃してしまうかもしれないのです。今後は、学んだことを生かして自身の能⼒を向上させ、より多くの⼈を支援していきたいです」
ロールプレイに参加するソーシャルワーカー
子どもたちが暴力から守られ、安心して生活することができるためには、社会全体が、子どもの権利や子どもの保護に関する知識と理解を高め、問題を予防し、そして問題が発生した際に適時に適切に対応がなされるようになることが大切です。
この事業を通して、知識やスキル、そして自信を得たソーシャルワーカーや地域社会施設の職員などが、今後も日々の活動を通して、地域の子どもたちとともに、子どもたちの今と未来が守られる社会をつくっていけるよう、セーブ・ザ・チルドレンは、事業終了後も中国において子どもの保護に関する活動を続けていきます。
施設において実施した活動の成果を発表する「子ども委員会」のメンバー
(海外事業部・福田直美)
¹虐待やネグレクトにとどまらず、学校に行くことができていなかったり、健康問題を抱えていたり、労働に従事しているなど、子どもたち一人ひとりが抱える問題に対し、必要な支援を計画し、個別の支援を提供したり、適切な支援が受けられるよう専門機関へつないだりして、その後も定期的に状況の確認を行う、一連のプロセスを指します。
ロールプレイやグループでのケースワーク演習なども取り入れた研修に参加したソーシャルワーカーからは、以下の声が寄せられました。
「私は、ケースワーカーとして働き始めてまだ 3ヶ月です。研修に参加する前は、私に専門的能⼒が不足していることで、支援対象者に負の影響を与えてしまうのではないかと不安に感じており、そのためコミュニケーションを避けてしまうことがありました。しかし、研修に参加して、知識と勇気を得ることができました。支援対象者に寄り添うプロセスにおいて、すぐに改善することはなくても、悪い結果となることはない、ということを学びました」
「研修を通して、ケース介⼊の際には、問題解決を急いではいけないということを学びました。急ぐことで、根底にある問題や真のニーズも⾒逃してしまうかもしれないのです。今後は、学んだことを生かして自身の能⼒を向上させ、より多くの⼈を支援していきたいです」
ロールプレイに参加するソーシャルワーカー
子どもたちが暴力から守られ、安心して生活することができるためには、社会全体が、子どもの権利や子どもの保護に関する知識と理解を高め、問題を予防し、そして問題が発生した際に適時に適切に対応がなされるようになることが大切です。
この事業を通して、知識やスキル、そして自信を得たソーシャルワーカーや地域社会施設の職員などが、今後も日々の活動を通して、地域の子どもたちとともに、子どもたちの今と未来が守られる社会をつくっていけるよう、セーブ・ザ・チルドレンは、事業終了後も中国において子どもの保護に関する活動を続けていきます。
施設において実施した活動の成果を発表する「子ども委員会」のメンバー
(海外事業部・福田直美)
¹虐待やネグレクトにとどまらず、学校に行くことができていなかったり、健康問題を抱えていたり、労働に従事しているなど、子どもたち一人ひとりが抱える問題に対し、必要な支援を計画し、個別の支援を提供したり、適切な支援が受けられるよう専門機関へつないだりして、その後も定期的に状況の確認を行う、一連のプロセスを指します。