(公開日:2022.04.22)
【国際保健】報告書を発表『ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に向けた保健システム強化』
- アドボカシー
2022年は、国際保健分野への資金調達のための会合が多く開催される、重要な年となります。新型コロナウイルス感染症がもたらした壊滅的な影響に対し、日本を含むドナー国は、十分な資金を国際保健イニシアティブの枠組みや、国際保健分野の支援に提供することが求められています。
セーブ・ザ・チルドレンは、4月21日に調査報告書『ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に向けた保健システム強化-女性、子ども、青少年のためのより良い基礎保健サービスに向けたドナー国と3Gsの支援(Strengthening Health Systems to Achieve Universal Health Coverage: A glance at donors’ and the 3Gs’ support for better essential services for women, children and adolescents)』を発表しました。報告書では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)1 の達成を支援する以下の3つの国際保健イニシアティブ(すべてアルファベットのGから始まることから3Gs)の保健システム強化への貢献を評価しています。
・Gaviワクチンアライアンス
・女性・子ども・青少年のためのグローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF)
・世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド:Global Fund)
さらに、主要ドナー5ヶ国(カナダ、ドイツ、日本、英国、米国)による3Gsへの貢献と、より広範な保健システム強化、政府開発援助(ODA)による保健医療分野への財政的・政策的支援について評価を行っています。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前から、多くの低・中所得国では、保健システムが脆弱なため、約半数の人々が基礎的な保健医療サービスを受けられない状況でした2 。新型コロナウイルス感染症は、こうした状況をさらに悪化させ、これまでの取り組みによる進捗を後退させました。特に不平等や差別の影響を最も受けている子どもや大人が、最大の障壁に直面しています。
質の高い保健医療サービスを誰もが受けられるようにし、新生児や子ども、母親の予防可能な死亡をなくし、世界的な感染症の流行に対する準備と対応を改善するために、強固で衡平で包摂的な保健システムの構築は前提条件となります。これはUHCの実現にも不可欠で、そのためには、かつてないレベルの行動と資金が必要とされています。
報告書の最終章では、ドナー国および3Gsに対し、以下を提言しています。
1. 資金調達
1)ドナー国は、今後の増資会合や各機会において、3Gsの拠出を維持し、理想的には増加させる必要がある。また3Gsとのパートナーシップや協調において、3Gsが保健システムへの投資を強化するよう働きかける必要がある。
2)ドナー国は、国民総所得(GNI)比0.7%というODAの国際目標を達成し、保健医療分野の二国間ODAを増やす必要がある。
2.保健システム強化への取り組み拡充
1)3Gsは、保健システム強化をより効果的に行う方法を特定する必要がある。
2)3Gsは、医療費の自己負担を減らすために、他の資金源からの資金調達をさらに強化する必要がある。
3)3Gsは、国レベルでの保健システム強化のための資金をより適切に調整すべきである。
3.3Gsと保健上の緊急事態の予防、準備、対応
1)ドナー国は、世界、地域、国、地方の各レベルでの感染症流行への対応において、3Gsを支援する必要がある。
2)3Gsは、ドナー国からの資金を活用し、世界中の保健システムを強化し、各国における保健上の緊急事態の予防、準備、対応能力を支援する必要がある。
3Gsには、各国が強固で回復力のある保健システムを構築できるよう、より一層の役割を果たすことが期待されています。保健システムへの支援は、今もなお進行中の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に対応し、基礎的な保健医療サービスの継続的な提供を行い、将来の感染症流行に対する備えを強化するためにも役立ちます。そのためには、統合的な取り組みを強化する必要があります。
今回の報告書は、特に3Gsに焦点を置いているものの、保健システム強化を通じてUHCを達成するためには、より幅広い取り組みが必要であるとセーブ・ザ・チルドレンは考えています。すべての保健医療分野における働きかけは、国の保健システムを統合的に強化するための支援として実施されることが重要です。
■報告書全文(英語)はこちら
1 すべての人が適切な保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられる状態。
2 世界保健機関(WHO)は、2017年に保健医療サービスを受けられたのは、世界人口の半分未満だったと推定しています。Primary Health Care on the Road to Universal Health Coverage, 2019 Global Monitoring Report.
セーブ・ザ・チルドレンは、4月21日に調査報告書『ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に向けた保健システム強化-女性、子ども、青少年のためのより良い基礎保健サービスに向けたドナー国と3Gsの支援(Strengthening Health Systems to Achieve Universal Health Coverage: A glance at donors’ and the 3Gs’ support for better essential services for women, children and adolescents)』を発表しました。報告書では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)1 の達成を支援する以下の3つの国際保健イニシアティブ(すべてアルファベットのGから始まることから3Gs)の保健システム強化への貢献を評価しています。
・Gaviワクチンアライアンス
・女性・子ども・青少年のためのグローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF)
・世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド:Global Fund)
さらに、主要ドナー5ヶ国(カナダ、ドイツ、日本、英国、米国)による3Gsへの貢献と、より広範な保健システム強化、政府開発援助(ODA)による保健医療分野への財政的・政策的支援について評価を行っています。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前から、多くの低・中所得国では、保健システムが脆弱なため、約半数の人々が基礎的な保健医療サービスを受けられない状況でした2 。新型コロナウイルス感染症は、こうした状況をさらに悪化させ、これまでの取り組みによる進捗を後退させました。特に不平等や差別の影響を最も受けている子どもや大人が、最大の障壁に直面しています。
質の高い保健医療サービスを誰もが受けられるようにし、新生児や子ども、母親の予防可能な死亡をなくし、世界的な感染症の流行に対する準備と対応を改善するために、強固で衡平で包摂的な保健システムの構築は前提条件となります。これはUHCの実現にも不可欠で、そのためには、かつてないレベルの行動と資金が必要とされています。
報告書の最終章では、ドナー国および3Gsに対し、以下を提言しています。
1. 資金調達
1)ドナー国は、今後の増資会合や各機会において、3Gsの拠出を維持し、理想的には増加させる必要がある。また3Gsとのパートナーシップや協調において、3Gsが保健システムへの投資を強化するよう働きかける必要がある。
2)ドナー国は、国民総所得(GNI)比0.7%というODAの国際目標を達成し、保健医療分野の二国間ODAを増やす必要がある。
2.保健システム強化への取り組み拡充
1)3Gsは、保健システム強化をより効果的に行う方法を特定する必要がある。
2)3Gsは、医療費の自己負担を減らすために、他の資金源からの資金調達をさらに強化する必要がある。
3)3Gsは、国レベルでの保健システム強化のための資金をより適切に調整すべきである。
3.3Gsと保健上の緊急事態の予防、準備、対応
1)ドナー国は、世界、地域、国、地方の各レベルでの感染症流行への対応において、3Gsを支援する必要がある。
2)3Gsは、ドナー国からの資金を活用し、世界中の保健システムを強化し、各国における保健上の緊急事態の予防、準備、対応能力を支援する必要がある。
3Gsには、各国が強固で回復力のある保健システムを構築できるよう、より一層の役割を果たすことが期待されています。保健システムへの支援は、今もなお進行中の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に対応し、基礎的な保健医療サービスの継続的な提供を行い、将来の感染症流行に対する備えを強化するためにも役立ちます。そのためには、統合的な取り組みを強化する必要があります。
今回の報告書は、特に3Gsに焦点を置いているものの、保健システム強化を通じてUHCを達成するためには、より幅広い取り組みが必要であるとセーブ・ザ・チルドレンは考えています。すべての保健医療分野における働きかけは、国の保健システムを統合的に強化するための支援として実施されることが重要です。
■報告書全文(英語)はこちら
1 すべての人が適切な保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられる状態。
2 世界保健機関(WHO)は、2017年に保健医療サービスを受けられたのは、世界人口の半分未満だったと推定しています。Primary Health Care on the Road to Universal Health Coverage, 2019 Global Monitoring Report.