【活動報告】大阪府吹田市で「人道行動における子どもの保護の最低基準」の研修を実施しました



2022年7月12日、セーブ・ザ・チルドレンは、大阪府吹田市の市役所職員を対象に、「これだけは知っておきたい災害時の子ども支援28の基本」研修を実施しました。同研修は、自然災害や紛争などの緊急下で、子どもを適切に守るために援助関係者が知っておくべき国際基準『人道行動における子どもの保護の最低基準¹(Minimum Standards for Child Protection in Humanitarian Action:CPMS)』を学ぶことを目的としています。
この研修は、2021年9月にセーブ・ザ・チルドレンと吹田市とで締結した「災害に強いまちづくりにおける連携協定」に基づき、実施されました。2022年1月の吹田市主催「防災・減災シンポジウム」でのセーブ・ザ・チルドレンのスタッフによる災害時の子ども支援の講演に続き、2回目の連携となります。

研修講師は、CPMSの日本語版翻訳メンバーでもある岡山大学の原田奈穂子教授と、CPMS研修のトレーナー経験もある吹田市役所危機管理室の有吉恭子室長の2人が担当し、セーブ・ザ・チルドレンはその補佐を務めました。

まず、有吉室長から吹田市職員が国際基準であるCPMSを学ぶことの必要性について、過去の災害対応のケースを通して説明がありました。

その後、原田教授より子どもを適切に守るために援助関係者が知っておくべき国際基準についての講義がありました。

研修には、吹田市危機管理室職員をはじめ他部署の災害時対応にあたる職員、また隣接する豊中市役所の職員など、37人が参加しました。



実際に避難所で発生したケースを基にしたグループワークでは、どのグループでも積極的に議論が行われ、危機管理に直接携わる職員だけでなく、一人ひとりの防災に対する意識の高さが感じられました。

研修後のアンケートでは、「災害時の支援で足りていないことが沢山あることに気づいた」、「市職員として災害対応をする際の基礎として活用していきたい」、「避難所となる園に、子どもの保護に関する基準を伝えていきたい」などの感想が寄せられ、多くの参加者にとって、災害対応における国際基準の活用や「子どもの保護」の重要性を認識する機会になったことがうかがえました。

また、次回研修への期待や、実際に子ども支援現場で働く関係者も巻き込んだ研修実施への要望なども寄せられていたことから、今後は吹田市の子ども支援者を対象にした研修の実施を予定しています。

今後もセーブ・ザ・チルドレンと吹田市は「災害に強いまちづくりにおける連携協定」に基づき、子ども・子育て支援や避難所対応にあたる職員向けの研修を継続的に実施していくとともに、吹田市の子どもたちの安心・安全をまもるための基盤づくりに向けて連携を強化していきます。


¹『人道行動における子どもの保護の最低基準(Minimum Standards for Child Protection in Humanitarian Action)』は、10の原則と28の基準からなり、紛争や自然災害発生時、暴力や搾取、虐待にあった子どもたちを適切に守るため、あるいはそのような被害を未然に防ぐために、援助関係者が最低限順守すべき国際的な基準が定められています。それぞれの基準には、緊急事態発生後の対処だけでなく、平時から準備すべき事項、また、具体的な数値等による成果指標や行動指標、目標も定められています。


(報告:国内事業部 中川千明)
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