(公開日:2023.01.05)
【レバノン教育支援事業】車いすを利用するアディブさんの体験-第3期
- シリア危機
セーブ・ザ・チルドレンは、レバノン北部において、シリア危機やレバノン経済危機、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、長期にわたって学校に通えない、また学習継続が困難なシリア難民とレバノン人の子どもたちへ教育支援を実施しています。
2023年3月で12年が経つシリア危機ですが、レバノンへ避難してきたシリア難民の子どもたちは、今もなおいくつもの難民居住地域を転々とする生活を送っていたり、家計が苦しく学校に通えなかったり、学習の遅れで学校に戻ることが困難になっていたりしています。
さらに、新型コロナウイルス感染症拡大や経済危機の影響で、レバノンの学校は約2年間閉鎖しており、その間、多くの子どもたちは学びの機会を失ったことから、学校に戻って学びを継続する支援の必要性がこれまで以上に高まっています。
2023年3月で12年が経つシリア危機ですが、レバノンへ避難してきたシリア難民の子どもたちは、今もなおいくつもの難民居住地域を転々とする生活を送っていたり、家計が苦しく学校に通えなかったり、学習の遅れで学校に戻ることが困難になっていたりしています。
さらに、新型コロナウイルス感染症拡大や経済危機の影響で、レバノンの学校は約2年間閉鎖しており、その間、多くの子どもたちは学びの機会を失ったことから、学校に戻って学びを継続する支援の必要性がこれまで以上に高まっています。
学習支援センターにおける補習授業の様子
このような状況を受け、セーブ・ザ・チルドレンは、現地のパートナー団体(Al-Fayhaa Association)と連携して2020年より、レバノン北部でシリア難民と脆弱性の高いレバノン人の子ども双方に対し、復学、学習継続支援を実施してきました。具体的には、学校に通えないシリア難民の子どもに基本的な読み書きと計算の授業を提供して公立学校への移行をサポートしています。
また、学校に在籍してはいるものの学習進度についていけないなどが原因で退学のリスクが高いシリア難民とレバノン人の子どもに補習授業を実施しています。
補習授業を受ける子どもたちの様子
また、学校に在籍してはいるものの学習進度についていけないなどが原因で退学のリスクが高いシリア難民とレバノン人の子どもに補習授業を実施しています。
補習授業を受ける子どもたちの様子
シリアから避難してきた両親のもと、レバノンで生まれた8歳のアディブさんは、この事業の補習授業を昨年の11月から受講しています。
アディブさんは、まだ幼い時に脳性麻痺の診断を受け、車いすを利用して生活しています。そのため、公立学校は、アディブさんの入学を認めませんでした。
アディブさんの両親はいくつもの学校をまわり、ようやく入学を認めてくれる学校を見つけました。しかし、教室には、車いすを使用するアディブさんが座るスペースがないため、教室の入り口付近で、車いすに乗ったまま授業を受けなければいけない状況でした。
自分だけ他の児童と違う対応をされることや、同級生と同じように授業を受けられないことが嫌で、アディブさんは頻繁に学校を休むようになりました。
家計が苦しく、他の学習手段もなく、またアディブさんを受け入れることができる他の学校もないため、アディブさんの両親はどうすることもできませんでした。
そのような中、アディブさんの母親は同じ地域に住む人からセーブ・ザ・チルドレンとAl-Fayhaa Associationの教育支援について聞き、アディブさんと一緒に直接学習支援センターを訪問し、補習授業を受講することになりました。
セーブ・ザ・チルドレンは、今までのアディブさんの経験や本人の意見を聞き、補習授業を実施する際は、移動の負担を減らすため1階の教室を使用し、段差にはスロープを設置しました。
また、授業中は車いすを廊下に置き、アディブさんはクラスメートと同じ椅子に座って授業を受けるといった工夫をしています。アディブさんは他の子どもたちと同じように勉強できることをうれしく感じており、今では出席率や授業への積極的な参加について教員から高い評価を得ています。
「私は将来この国で一番優秀な医者になって、同じような病気の子どもたちを治したい」とアディブさんは話しています。母親も、生き生きと学習支援センターに通い、将来に希望を持って勉強に励むアディブさんを見て、セーブ・ザ・チルドレンの補習授業に通うことができて本当に良かったと話しています。
長期化するレバノン経済危機やシリア危機、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、アディブさんのような脆弱な状況に置かれている多くの子どもたちは、学びの機会を失っています。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが安心して、質の高い教育を受けられるよう、支援を継続していきます。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 レバノン教育事業担当 佐藤秀美)
アディブさんは、まだ幼い時に脳性麻痺の診断を受け、車いすを利用して生活しています。そのため、公立学校は、アディブさんの入学を認めませんでした。
アディブさんの両親はいくつもの学校をまわり、ようやく入学を認めてくれる学校を見つけました。しかし、教室には、車いすを使用するアディブさんが座るスペースがないため、教室の入り口付近で、車いすに乗ったまま授業を受けなければいけない状況でした。
アディブさんと、アディブさんが描いた将来の夢である医者の絵
自分だけ他の児童と違う対応をされることや、同級生と同じように授業を受けられないことが嫌で、アディブさんは頻繁に学校を休むようになりました。
家計が苦しく、他の学習手段もなく、またアディブさんを受け入れることができる他の学校もないため、アディブさんの両親はどうすることもできませんでした。
そのような中、アディブさんの母親は同じ地域に住む人からセーブ・ザ・チルドレンとAl-Fayhaa Associationの教育支援について聞き、アディブさんと一緒に直接学習支援センターを訪問し、補習授業を受講することになりました。
セーブ・ザ・チルドレンは、今までのアディブさんの経験や本人の意見を聞き、補習授業を実施する際は、移動の負担を減らすため1階の教室を使用し、段差にはスロープを設置しました。
また、授業中は車いすを廊下に置き、アディブさんはクラスメートと同じ椅子に座って授業を受けるといった工夫をしています。アディブさんは他の子どもたちと同じように勉強できることをうれしく感じており、今では出席率や授業への積極的な参加について教員から高い評価を得ています。
「私は将来この国で一番優秀な医者になって、同じような病気の子どもたちを治したい」とアディブさんは話しています。母親も、生き生きと学習支援センターに通い、将来に希望を持って勉強に励むアディブさんを見て、セーブ・ザ・チルドレンの補習授業に通うことができて本当に良かったと話しています。
長期化するレバノン経済危機やシリア危機、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、アディブさんのような脆弱な状況に置かれている多くの子どもたちは、学びの機会を失っています。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが安心して、質の高い教育を受けられるよう、支援を継続していきます。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 レバノン教育事業担当 佐藤秀美)