【活動報告】国際教育協力拡充に向けた勉強会にてエチオピア現地視察が報告されました

2023年2月1日、セーブ・ザ・チルドレンは、「教育のためのグローバルパートナーシップ(Global Partnership for Education:GPE)」による『Friends of Education』勉強会の実施に協力・参加しました。


同勉強会は、国際教育協力の重要性を理解し、日本政府による教育支援拡充に向けた議論を行う勉強会です。国会議員や関連省庁の参加を得て議員会館で実施され、今回が第2回目の開催となりました。


今回の勉強会では、これまでの政府による国際教育協力の振り返りに加え、2023年1月に実施された、国会議員によるエチオピア視察報告が行われました。

鈴木憲和議員・鈴木貴子議員によるエチオピア視察
エチオピア視察では、2023 年 1 月 10 日から 13 日の日程で、セーブ・ザ・チルドレン アドボカシー部大野が、鈴木貴子衆議院議員と鈴木憲和衆議院議員とともに、「教育を後回しにはできない基金(Education Cannot Wait:ECW)」やGPEの支援を受けてプロジェクトが実施されている小学校などを訪問しました。




視察には、ECW、GPE に加え、ECW 事業の実施団体であるセーブ・ザ・チルドレン・エチオピア事務所などが参加しました。

現在、エチオピアでは300万人以上の子どもたちが学校に通っていないと言われています。今回エチオピアで訪問した ECW 支援の小学校は、首都アディスアベバから東に 600km ほど行った、ソマリ州とオロミヤ州の小学校 2 校です。

いずれもソマリ州都ジジガ市内から、車で約 1 時間ほどの距離にあります。ソマリ州とオロミヤ州の州境では 2019 年頃まで紛争が起こっており、多くの学校が破壊され、多くの人が国内で避難を余儀なくされました。その国内避難民と、国内避難民を受け入れる側のホストコミュニティの両方の子どもたちが一緒に通う小学校を訪問しました。

小学校では、ECW の支援により校舎が復旧され、トイレなどの水・衛生設備も整えられ、学校給食プログラムが実施されていました。鈴木憲和議員、鈴木貴子議員は、小学校で、子どもたちと一緒に授業を受けたり、給食を食べたりしながら、子どもたちや保護者の教育に対する思い、将来の夢などの直接の声に耳を傾けました。

家庭で十分な食事がとれない貧困状態にある子どもたちのために、保護者やコミュニティの人たちの支援も得て、毎日学校給食が提供されています。学校給食は大切な栄養源です。学校給食が毎日の唯一の食事だという子どももおり、学校支援を行うことにより果たされる、教育だけでない、学校の役割や重要性が議員に認識されました。


★鈴木貴子議員のコメント「(エチオピアの人たちから)教育の重要性、必要性、可能性、そして支援に対する国際社会への感謝が繰り返し述べられました」

★鈴木憲和議員のコメント「私の人生で、こんなにも私たちの普段の生活や教育のあり方がありがたく、同じ地球上に生きていることのあまりの違いに、胸が締め付けられる感覚を、リアリティを持って感じる 1日となりました」

勉強会では、参加議員から、現地の写真とともに現地の人たちや子どもたちの置かれた状況や彼らの声が紹介されたほか、GPEやECWへの拠出拡大などが提言されました。

「ECWは過酷な状況で支援を行っている。現場に行き、重要性に気づくことができた。行くまでは、ECWの詳細はよくわからない、と感じていたが、現場で『これは拠出しなければ』と痛感した」、「GPEはECWと補完的な役割を担っており、どちらかへの拠出だけでは整合性が取れない。教育を日本が支え、それが平和につながるのだというメッセージを示していくことが大切であり、GPEへの増額をしていくことが、日本の地位向上につながる」とのコメントが出されました。


衆議院予算委員会での質疑
同勉強会ではまた、エチオピア視察報告を受けた国会での動きも共有されました。エチオピアでの視察後、鈴木貴子議員より1月30日の衆議院予算委員会にて、GPEの増額やECWへの初拠出について質問がありました。

これに対し、岸田総理は、「従来から、我が国としまして、人間の安全保障の推進の観点からも、教育分野、重視をしてきました。そして、GPEやECWへの支援、前向きに取り組むべきだという話ですが、まさにその通りだと思っています」と、教育への支援を進めていく姿勢を示しました。

総理大臣が国会の場で前向きな姿勢を表明したことは、今後の支援拡充に向けた大きな前進であり、セーブ・ザ・チルドレンは歓迎しています。

これまでの国際教育協力の振り返り

今回の勉強会では、視察報告に先立ち、広島大学の石田洋子教授より、「日本の国際教育協力政策に対する評価の概要」と題して、教育協力政策の評価(第三者評価)の概要が共有されました。日本の国際教育協力のこれまでの歩みを振り返り、今後どのように進めていくべきかが議論されました。

教育協力政策の評価、エチオピア視察報告を受け、勉強会に参加した議員や外務省、専門家の方々から、教育支援の重要性や国際機関との連携の強化、日本の支援のあり方などについて活発な意見が出されました。

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