災害(さいがい)時(じ)の多様性(たようせい)についてかんがえるこのシリーズでは、これまで障害(しょうがい)のある人、外国人・外国にルーツがある人の災害時のことについてお伝えしました。

今回は災害時のジェンダーやセクシュアリティ（性(せい)のあり方）について3回にわけてお話しします。

《ジェンダーとは》

みなさんは「ジェンダー」という言葉を聞いたことがありますか。

「ジェンダー」とは、社会や文化のなかから生まれた「男らしさ」や「女らしさ」を意味(いみ)する言葉です。

みなさんのなかには、ジェンダーが災害に関係(かんけい)あるの？と思う人もいるかもしれませんが、実(じつ)はふかい関係があるといわれています。

ジェンダー格差(かくさ)（社会的・文化的につくられた、性別(せいべつ)にもとづく偏見(へんけん)・差別(さべつ)・不平等(ふびょうどう)のこと）の大きな国ほど、災害時の女性(じょせい)の被害(ひがい)が男性(だんせい)より大きくなるというデータがあります[1]。

たとえば、宗教的(しゅうきょうてき)に、日ごろから女性が1人で外出(がいしゅつ)することを制限(せいげん)されている国や地域(ちいき)では、災害時に1人で避難(ひなん)できないことがあります。

日本でも過去(かこ)の災害で、避難所(ひなんじょ)に生理(せいり)用品(ようひん)がとどかないことや、プライバシーのないところで着がえや授乳(じゅにゅう)をしなくてはならないといった問題(もんだい)がありました（避難所での過ごし方についてはこちら）。

また、なれない避難生活が体調(たいちょう)不良(ふりょう)につながることもあります。不眠(ふみん)、エコノミークラス症候群(しょうこうぐん)、トイレをがまんすることでなりやすいぼうこうえんなどは、男性よりも女性のほうがなりやすいとされ、避難所でこのような症状(しょうじょう)がでる女性も少なくありません。ほかにも、炊(た)き出しや掃除(そうじ)が女性のみにまかされることもありました。

《女性防災(ぼうさい)リーダー》

災害時のジェンダー格差かくさの原因げんいんのひとつには、災害の現場げんばに女性の防災リーダーが少ないということがあります。男性の防災リーダーだけでは、女性がどのようなときにこまってしまうのかを考えたり、想像そうぞうしたりすることがむずかしいことがあるからです。女性の声を聞いて防災にいかすためには、女性が防災活動に参加さんかする機会きかいをふやしていく必要ひつようがあります。

そのため、国や都道府県(とどうふけん)、全国(ぜんこく)の市町村(しちょうそん)では女性の防災リーダーをふやすことに力を入れています。

宮城県(みやぎけん)仙台市(せんだいし)にある町内会(ちょうないかい)では、仕事や家事でいそがしい女性が、少ない時間の中でもうまく防災訓練(くんれん)に参加できるように、夏祭りのプログラムの一つに防災訓練(くんれん)をとりいれています[2]。

《まとめ》

今回は、災害がおきたときに女性が直面(ちょくめん)する問題についてお話ししました。

しかし災害時に女性だけが弱い立場におかれるというわけではありません。

ぎゃくに、こまっている男性がいることに気がつけていないこともあるかもしれません。

また、男性か女性かという性別のわく組みにとらわれない考え方も必要(ひつよう)です。

次回(じかい)は、男性か女性かという性別のわく組みをこえて、多様な性の視点(してん)から災害時の多様性について考えてみます。LGBTQと言われる性的(せいてき)少数者(しょうすうしゃ)の支援(しえん)や、自治体(じちたい)や学校での理解(りかい)促進(そくしん)をしている認定(にんてい)NPO法人(ほうじん)ReBit(リビット)から聞いた話を紹介(しょうかい)します。

（つづきはこちら）

※このブログは2023年8月に作成(さくせい)しました。

防災(ぼうさい)に関(かん)する最新(さいしん)の情報(じょうほう)は内閣府(ないかくふ)のホームページをごらんください。

https://www.bousai.go.jp/

(国内事業部インターン 野田麻子)