【シリーズ第7回:災害時(さいがいじ)の多様性(たようせい)についてかんがえる】災害とジェンダー(2)

  このブログは災害さいがい多様性たようせいについてかんがえるシリーズです。

今回はジェンダーやセクシュアリティ(性のあり方)について(ぜん)3回のうちの(だい)2回目です。

前回は災害時に、女性がどのような立場におかれるかについてお話ししました。(前回の記事はこちら

今回は男性か女性かという性別(せいべつ)のわく組みをこえて、多様な性の視点(してん)から災害時の多様性について考えてみます。そこで、LGBTQ支援(しえん)や、自治体(じちたい)や学校での理解(りかい)促進(そくしん)をしている認定(にんてい)NPO法人(ほうじん)ReBit(リビット)話を聞きました。



LGBTQとは、性的せいてき少数者しょうすうしゃ総称そうしょうとしてつかわれる言葉で、Lはレズビアン(こころの性が女性で、女性を好きになる人)Gはゲイ(こころの性が男性で、男性を好きになる人)、Bはバイセクシュアル (こころの性がどうであるかにかかわらず、男性も女性も好きになる人)Tはトランスジェンダー(生まれたときのからだの性をもとにわりあてられた性と、こころの性がことなる人)Qはクエスチョニング(セクシュアリティ{性のあり方}を決めない人、決めたくない人)頭文字かしらもじから取っています。これ以外にも多様なセクシュアリティ(性のあり方)があります。

  


セーブ・ザ・チルドレン:

LGBTQの人は災害時にどのようなことでこまってしまうことがあるのでしょうか?


リビット:

 

 

LGBTQが災害時にこまってしまうポイントは、大きく5つあると思います。

 

1.家族関係

2.避難所(ひなんじょ)の男女分け

3.医療(いりょう)使(つか)いやすさ

4.避難所での(のぞ)まないカミングアウトやアウティング

5.セクシュアリティ(性のあり方)をふくめて相談(そうだん)できる場所(ばしょ)がない

 

まず1つ目が、家族関係です。

現在(げんざい)日本では同性(どうせい)カップルの結婚(けっこん)法的(ほうてき)にできないため、同性のパートナーやその子どもを家族だと証明(しょうめい)することができない人がいます。それにより、災害時に同じ世帯(せたい)として確認(かくにん)してもらえないことや、復興(ふっこう)支援(しえん)住宅(じゅうたく)への入居(にゅうきょ)をことわられてしまうことがあります。

一部(いちぶ)自治体(じちたい)には、同性カップルの結婚が法的にできないかわりに、自治体が独自(どくじ)LGBTQカップルに「結婚に相当(そうとう)する関係」をみとめるパートナーシップ制度(せいど)がありますが、すべての自治体にパートナーシップ制度があるわけではありません)

 

2つ目が、避難所の男女分けです。

たとえば避難所でのトイレ・お風呂についてです。LGBTQのなかには、共用(きょうよう)のトイレ・お風呂を使うことがむずしい人もいるので、こういった設備面(せつびめん)でこまってしまうことが多いです。

また物資(ぶっし)が男女別で(くば)られることもこまってしまうことがあります。たとえば女性用の生理(せいり)用品(ようひん)が配られるとき、生まれたときの体の性別が女性で、今は男性として生きているトランスジェンダーの方の中には、生理用品が必要(ひつよう)な方もいるため、「(見た目は男性なのに)なぜ生理用品が必要なのか」と聞かれてこまってしまうことがあります。

 

3つ目が、医療の利用しやすさについてです。

LGBTQは今の社会のなかでは差別(さべつ)(へん)(けん)をうけやすい状態(じょうたい)にあります。そのような社会状況(じょうきょう)もあり、精神(せいしん)疾患(しっかん)やメンタルヘルス(精神保健(ほけん))についてリスク(危険(きけん))が高いといわれており、毎日(まいにち)(くすり)()んでいる人もいます。またトランスジェンダーの人のなかには、治療(ちりょう)のために、定期的(ていきてき)に薬を飲んだり、注射(ちゅうしゃ)をうったりしている人もいます。しかし災害によってこういった医療ケアを利用(りよう)することがむずかしくなってしまって、心身(しんしん)のバランスをさらにくずしてしまうということがあります。

 

4つ目が、避難所での共同(きょうどう)生活のなかでおこる望まないカミングアウトやアウティングです。「望まないカミングアウト」とは、自分のセクシュアリティ(性のあり方)を本当は打ちあけたくないのに打ちあけなければならないことを言い、アウティングとは、自分のセクシュアリティについて、本当はまわりに知られたくないないのに、自分の同意(どうい)がないままほかの人に伝わってしまうことを言います。

たとえば過去(かこ)の災害では、LGBTQの方が避難所での共同生活で、見た目で自分のセクシュアリティを判断(はんだん)されてしまって、からかわれたり、誹謗(ひぼう)中傷(ちゅうしょう)(人のこころを(きず)つける悪口(わるぐち)やデマ)をうけて、避難所にいられなくなってしまったりということがありました。

 

5つ目が、セクシュアリティをふくめて相談できる場所がないということです。

たとえば、避難所の相談窓口(まどぐち)の相談(いん)がセクシュアリティについて理解(りかい)があるかどうか分からなくて相談しにくかったり、勇気(ゆうき)を出して相談してもセクシュアリティに理解がないとき、「それって今いうことじゃないよね」「そんなに大したことじゃないよね」というふうにとらえられたり、ハラスメントにあってしまったりすることもあります。

また、相談の内容によっては、カミングアウトしないと正確に伝えられないこと、相談できないこともあります。そのためカミングアウトしたくない場合、まわりの人に相談することができないこともあるのです。相談をできないことで傷や(なや)みが(ふか)まってしまうおそれがあります。




次回は、このようなLGBTQの人が直面ちょくめんする課題かだいかいけつするために、なにが大切たいせつかを聞いてみます。(つづきはこちら





このブログは20238月に作成(さくせい)しました。

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(国内事業部インターン 野田麻子)









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