【ロヒンギャ難民支援】2023年3月に発生した火災現場の再訪問

2023年3月に、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプで発生した火災により、約2,800世帯が住居を失い、子どもと大人合わせて約1万6,000人が被害を受けました。セーブ・ザ・チルドレンは、火災発生翌日から衣服の提供、シェルター再建などの緊急支援を行いました。火災から半年経ったロヒンギャ難民キャンプの状況を報告します。
(発災直後の様子は「【ロヒンギャ難民支援】火災後のキャンプ訪問」をご覧下さい。)


火災直後のキャンプの様子

火災直後は、写真のようにいくつもの丘が焼け、灰が残り、黒く焼け焦げた木や地面が広がっていました。火災直後からロヒンギャの人たちは自ら簡易住居を建て始め、暮らしを再開しました。しかし、簡易住居は竹を支柱にビニールのテントを周りに張り付けたつくりであるため、雨風をしのぐには十分ではありませんでした。現在ではセーブ・ザ・チルドレンや関係団体の支援によって、火災前のようなシェルターが再建されました。


                                  火災半年後の現在のキャンプの様子


また、火災では、セーブ・ザ・チルドレンが運営している「青少年と子どものためのひろば」2ヶ所と、個別支援が必要な子どもへ支援を行うための「ケースマネジメントセンター」も焼失しました。
(発災直後の様子は「【ロヒンギャ難民支援】火災の被害にあった子どもへのこころのケア」をご覧下さい。)



火災直後に跡地に設置した仮設の「青少年と子どものためのひろば」

火災翌日から、セーブ・ザ・チルドレン子どもの保護チームは休みなく復旧に取り組み、火災から4日後に仮設の「青少年と子どものためのひろば」を再開しました。火災半年後の現在、新たな建物とともに子どもたちが安心して過ごせる場所を提供し続けています。



現在の「青少年と子どものためのひろば」(写真左側の建物)と
「ケースマネジメントセンター」(写真右側の建物)

火災の被害から再建が進む一方で、100万人近くのロヒンギャ難民の置かれた状況は年々厳しくなっています。

今年2月と6月に世界食糧計画(WFP)が、資金難のため食料購入のための電子バウチャー(食料交換券)の支援額を縮小したこともあり、ロヒンギャ難民の食生活は、さらに深刻な状況に置かれています。ロヒンギャ難民は食料を手に入れる際、電子バウチャー(食料交換券)を渡し、店で必要な食材を購入しています。これにより、人々は多様な食材を選択し、摂取することができます。しかし、支援の縮小が影響して肉の購入のみならず、多くの世帯が、野菜や豆などの栄養価の高い食べ物を買うことができなくなっています。実際にキャンプを歩いていると、これまでよりも多くの栄養不良の子どもや妊産婦を目にすることが増えました。

食料だけでなくさまざまな支援が縮小傾向にあります。
このような状況のなか過去1年間、キャンプでの暴力の発生件数も顕著に増加しています。子どもや女性を含むロヒンギャ難民の人たちは、先が見えない将来への不安に加え、身の危険や不安をより強く感じるようになっています。


 火災半年後に子どもとスタッフが一緒に飾りつけをした
「青少年と子どものためのひろば」


セーブ・ザ・チルドレンは、引き続きロヒンギャ難民の命や生活を守るために不可欠な支援を続けていきます。そして、子どもたちが思い思いの子ども時代を過ごすことができるように支援を継続していきたいと考えています。


本緊急支援は、皆様からのご寄付と、ソニーグループ株式会社とセーブ・ザ・チルドレンが共同で運営する「子どものための災害時緊急・復興ファンド」からの拠出により実施しました。

(海外事業部 田部井梢)
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