報告書を発表『エチオピアにおけるグローバル・ファイナンシング・ファシリティの保健財政および保健分野の成果への貢献』

世界銀行と世界保健機関(WHOの報告によると、2021年時点で、最低限の必須保健医療サービスを受けることができない人数は、世界人口の約半数にも上りました。また、『世界子供白書2023』によると、2020年には、287,000人の女性が妊娠に関連する要因で命を落としたとされ、2021年には500万人の子どもが5歳に達する前に死亡したとされています。こうした死亡の多くは、予防可能な原因によるものです。子どもをはじめとする脆弱な立場に置かれた人々の予防可能な死亡を食い止めるには、性と生殖に関する健康、母子および青少年の健康および栄養(RMNCAH-N)サービスへのさらなる投資が必要です。また質の高い保健医療サービスを誰もが受けられるようにするための、衡平(偏りがないこと)、強靭、かつ包摂的な保健システムおよび保健財政を強化していく必要もあります。


保健システム強化のための持続可能なアプローチ


グローバルヘルスにおける断片化が進み、財政的な余力が限られ、保健医療に対する需要が高まっている現在、各国政府の自立を促進し、ドナーから拠出された金額以上の資金を引き出すための支援が必要とされています。

 

女性・子ども・青少年のためのグローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF」は、こうしたニーズに応える上で、先駆的な存在となっています。2015年に設立されて以来、GFFは当時の国連事務総長が掲げた「女性、子ども、青少年の健康のためのグローバル戦略」(2016-2030)を実施するための資金調達メカニズムとして、保健システムの強化を通じて、不平等に対処し、女性や子ども、青少年の保健医療へのアクセスの改善に取り組んできました。GFFは、GFFが支援を行う特に負担の大きな国々において、2030年までに380万人の妊産婦の死亡、1100万人の子どもの死亡、2,100万人の死産を防ぐことを目的としています。そのために各国と協力して保健システムを強化し、保健医療計画の優先事項に沿って資金を調整し、保健医療の改善のための政策、財政およびシステムを改革します。特に、GFFの国主導のパートナーシップのアプローチは、開発パートナー、市民社会組織、多国間機関および民間セクターを含むステークホルダーが連携して政府の優先事項に取り組むことで、各国政府が投資の効果を最大化できるよう支援することが可能です。


セーブ・ザ・チルドレンは、エチオピアを事例として、GFFのプロセス、成功例、課題などを明らかにするため、独立した評価を実施しました。報告書保健システム強化のための持続可能なアプローチエチオピアにおけるグローバル・ファイナンシング・ファシリティの保健財政および保健分野の成果への貢献(SustainableApproaches to Strengthen Existing Health Systems: The Global Financing Facility’s Contribution to Improving Health Financing and Health Outcomes in Ethiopiaでは、GFF、ドナー国政府、その他のグローバルヘルス・イニシアティブが、保健医療システムをさらに強化し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けて、今後何が必要かを論じています。

エチオピアにおいて、GFFの資金は、エチオピア連邦政府によって管理される基金に直接投入されています。国のシステムに合わせて活動することは、持続的な発展のために重要です。さらに、世界銀行の国際開発協会(IDA)などとのパートナーシップを通じて、GFFが1米ドル拠出するごとに、RMNCAH-Nなどの保健サービスに10米ドルの追加資金が動員されるというレバレッジ効果もあります。また、GFFが提供する技術支援は、政府の資金配分の決定や、計画・予算策定プロセスの改善に役立っています。

 

このように、エチオピアの調査により、GFFの国主導型モデルは、国内外における資金利用の効率性と有効性を高め、断片化、重複を減らし、援助支出の費用対効果を最大化することが明らかになりました。

 

GFFは、女性、新生児、子ども、青少年の予防可能な死亡を減らし、保健システム、特にプライマリーヘルスケア(PHC)を強化します。さらに将来の公衆衛生上の緊急事態に備え、対応するための各国の能力を向上させることにもつながります。

 

GFFモデルから得られた学び:援助効果の向上に向けて

 

GFFは、世界中でRMNCAH-Nの成果を向上させるために、多くの可能性を秘めています。UHCの達成に向けて、GFFのプロジェクトの成功を基礎とするだけでなく、グローバルヘルス・アーキテクチャーの有効性について重大な疑問が投げかけられている今、学びとグッドプラクティス(好事例)を共有する好機です。GFFのモデルは、以下の観点から、援助効果の向上に向けた価値ある支援と学びを提供してきました:



GFFが現在展開している「Deliver the Future(未来を届ける)」キャンペーンは、2023年末までに少なくとも8億米ドルの資金を確保することを目標としています。この資金により、GFFは追加の205億米ドルを動員することができ、インパクトを強化することが可能です。この追加資金で、GFFは現在のパートナーである27ヶ国に第2ラウンドの資金を提供し、さらに、新たに7ヶ国に支援を拡大することができます。これにより、GFFの活動範囲と支援規模の拡大、得られた利益の活用、これまでの教訓の反映が可能となり、GFFのモデルや好事例を他のグローバルヘルス・イニシアティブにも示す機会にもなります。

 

セーブ・ザ・チルドレンによるGFFのエチオピア調査報告書     

英語版はこちら

日本語版はこちら


 


PAGE TOP

〒101-0047 東京都千代田区内神田2-8-4 山田ビル4F