(公開日:2023.10.17)
【共同声明】イスラエルによるガザ地区への地上侵攻の可能性が高まる中、未曾有の人道的危機を回避するための緊急行動を要請:セーブ・ザ・チルドレンを含む12団体
- 提言・声明
セーブ・ザ・チルドレンを含む国際的に活動する複数の支援団体は、イスラエル政府が、パレスチナ・ガザ地区北部に暮らす100万人以上に対し、24時間以内の退避を求めたことを憂慮しています。
住民全体に対し、このような即時の移動を要求することは、避難を余儀なくされている人々の生命をさらなる危険に晒すもので、イスラエルはこの警告を直ちに撤回すべきです。またイスラエルは、住民たちの移動中の安全や、戦闘が続くガザ地区に残っている民間人の安全性について、いかなる保障も行っていません。
ガザ地区で活動する人道支援機関は、同地がかつてない規模の人道危機に直面していると警鐘を鳴らします。ガザ北部の住民が安全に留まれる十分な場所や施設はなく、イスラエルによるガザ地区中部と南部への繰り返される空爆によって、住民の安全は脅かされ続けています。
安全や帰還の保障もなく、保護された住民のニーズを満たすこともない強制的な移動は、国際人道法の重大な違反であり、戦争下であっても行ってはならない行為として禁止され、戦争犯罪として成文化されている強制移動に相当するものです。イスラエルは、国際法によって、対象地にいるすべての人々を、危害から確実に保護し、人道支援計画に同意し推進することや、十分な物資の供給を行う義務があります。
10月7日以降、ガザ地区とイスラエルの間で起こってる恐ろしい規模の暴力は、前例のない人道支援を必要としています。 2023年10月13日午前11時(米国東部標準時)現在、ガザ地区では1,799人以上が犠牲となり、イスラエルでは外国人を含む1,300人以上、ヨルダン川西岸地区では45人が命を落としました。亡くなった人たちの中には、数百人もの子どもたちも含まれています。地区全域が破壊され、がれきと化しているガザ地区では、すでに何十万人もの子どもたちや家族が避難生活を余儀なくされています。
現状に鑑みると、この最悪の事態は今後も続く可能性があることが危惧されています。私たちは、国際的に活動する人道支援団体として、国際社会が国際法を明確に遵守し、さらなる苦痛と人命が失われることを回避するために、民間人の保護に最優先で取り組むことを求めます。
私たちは各国首脳や代表に以下を求めます。
●イスラエル政府に対し、命令を直ちに撤回すること
●すべての当事者が敵対行為の即時停止に同意するよう要求すること
●民間人を標的とすることに加え、民間人が避難する治外法権の国連施設、学校、病院を標的とする人口密集地域での爆発性兵器の使用を停止するよう要求すること
●食料、水、医薬品などの命を守るために必要不可欠な物資の提供と、人道支援スタッフのガザ地区への入域を許可すること
●エジプト、ヨルダン川西岸、イスラエルのいずれかにいる、医療を必要とする子どもたちやその家族の医療避難を直ちに進めること
●自由を奪われたすべての人びと、とりわけ子どもたち、妊婦中の人、乳幼児を連れた親、ガザ地区で武装集団に拘束されている負傷者と病人の即時かつ無条件の解放を保障すること
●安全な場所を必要とし、安全な場所を求める家族のために、安全な通行を保障すること。そして、住民たちに選択肢とともに、それに関する適切な情報と、安全に避難するための十分な時間を提供すること
イスラエル政府は、国際人道法に基づき、攻撃によって避難を余儀なくされた民間人に安全なシェルターと人道支援を提供する義務を負っており、これは攻撃に先立って慎重に準備されるべきです。 ガザ地区の外に安全を求める誰もが、敵対行為が停止次第、居住地に戻る権利の保障という観点からも、直ちに帰還を許可されなければなりません。
そして、自宅から離れることができない、あるいは離れたくない家族は、国際人道法の下で、引き続き保護されるべきです。敵対行為の継続、通行不可能な道路、健康上の必要性、障害、帰還のめどがない移住への恐怖など、人々がこうした警告に耳を傾けられない理由は多々あり、多くの人々は他に行くところがないのが実情です。
私たちは、アントニオ・グテーレス国連事務総長と国連上級指導者に対し、国際法の尊重を確保し、被害を受けている人々と人道支援活動に従事するあらゆる専門家や組織との連帯を示すため、中東とイスラエルを緊急訪問することを求めます。
私たちは、各国首脳や代表をはじめとする国際社会のリーダーや、現場で活動しているすべての関係者に、何よりも、子どもたちやその家族の人命の保護を優先することを求めます。それができないのであれば、私たちの信念や歴史に拭うことのできない汚点を残すことになります。
【署名団体】
Inger Ashing, Chief Executive Officer, Save the Children International
Stephen Omollo, Chief Executive Officer, Plan International
Olivier Longue, Chief Executive Officer, Action Against Hunger- Spain
Mattias Brunander Secretary General, Diakonia
Manuel Patrouillard, Global Managing Director, Handicap International / Humanity & Inclusion
Joël Weiler, Chief Executive Officer, Médecins du Monde- France
Nicolás Dotta, Chief Executive Officer, Médecins du Monde- Spain
Morgane Rousseau, Chief Executive Officer, Médecins du Monde- Swiss
Tjada D’Oyen McKenna, Chief Executive Officer, Mercy Corps
Jan Egeland, Secretary General, Norwegian Refugee Council
Amitabh Behar, Executive Director, Oxfam International
Rob Williams, Chief Executive Officer, War Child UK
(日本語訳参照:国際NGOプラン・インターナショナル)
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