(公開日:2023.11.16)
【こども大綱】中間整理への意見書を提出しました
- アドボカシー
セーブ・ザ・チルドレンは、こども大綱が真に子どもの権利に根ざしたものとなり、また国および各自治体においても子どもの権利に則った子ども施策が着実に実施されることを求め、こども家庭庁が2023年9月29日に公表した「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等~こども大綱の策定に向けて~(中間整理)」に対する意見書を、こども家庭庁に提出しました。
中間整理は、「第2 こども施策に関する基本的な方針」において、子どもの権利条約および日本国憲法、子ども基本法の精神に則り、すべての子ども・若者が「身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる」社会の実現を掲げています。
そして、子ども・若者が権利の主体として尊重され、子ども・若者の今とこれからの最善の利益を図るとしています。また、子ども・若者や子育て当事者の意見を聴き、対話、ともに考えていくことを明確に打ち出しています。セーブ・ザ・チルドレンは、こうした基本方針が出されたことを歓迎します。
一方で、あらゆる事項や施策につき、子どもの権利に基づき子どもの最善の利益を確保するという観点や、特に子どもの貧困対策の視点からは、中間整理はいまだ内容が不十分または不適切である部分も見受けられます。
提出した意見書では 【1.中間整理全体を通した意見】、および【2.子どもの貧困問題に関する意見】について、以下の項目に関するポイントまとめました。
【1. 全体を通した意見】
- 安心安全な子ども参加の実現のため必要な取り組み
- 子ども参加を包括的かつ多面的に捉えるための指標の設定
- 地方自治体における子ども条例の制定のための国による支援
- 地方自治体における子ども参加推進のための人的・財政支援
- 子ども施策の推進における、国連・子どもの権利委員会の総括所見における勧告や一般的意見への対応
- 子どもの権利の啓発・人権教育
- 子どもに対する暴力の撤廃
- 困難な状況に置かれた子どもの権利保障
- 「子どもの権利とビジネス」への取り組み
【2. 子どもの貧困問題に関する意見】
- 子どもの貧困問題は国および自治体が解決すべき最優先課題の一つであることを明記
- こども施策の推進によって、子ども・若者が不利益を被ることのない表現を使用
- 経済的に困難な状況にある子ども・若者や子育て世帯による意見表明について明記
- 子どもの貧困の多様性、支援の届きにくい子ども・若者への支援を明記
- 労働条件・労働環境の改善、社会保障制度の充実を明記
- こども大綱に添付される、「指標・目標」において子どもの貧困率削減目標や指標を明記
- 教育の無償化および私費負担の軽減について明記
- 経済的に困難な状況にある妊産婦への経済的支援の強化を明記
- ひとり親への経済的な支援の強化や男女間の賃金格差の解消を明記
- 子どもの貧困対策の実施において国から地方自治体への財政的・人的支援を明記
それぞれのポイントに関する詳細な意見については、こちらの意見書をご覧ください。
セーブ・ザ・チルドレンは、こども大綱が子どもの権利条約に則ったものになり、子どもの権利を保障する社会への歩みが着実に進むことを期待します。
また、誰ひとり取り残されることなく、社会の隅々であらゆる子どもの声が聴かれ、十分に尊重され、かつその声が社会の中で反映されることを、引き続き求めていきます。