(公開日:2023.11.17)
【活動報告】教育を攻撃から守るための国際デー記念イベント「専門家とユースと考えよう ~教育を攻撃から守るために国際社会と私たちができること~」を実施しました
- アドボカシー
このイベントは、JICA、JNNE(教育協力NGOネットワーク)、開発コンサルタント協力企業共催の第3回教育協力ウィーク(9月7日~9月9日)のサイドイベントとして9月7日に実施されました。
画像?:「教育を攻撃から守るための国際デー」と国際社会の取り組み
当日は、ゲストスピーカーとして「教育を攻撃から守るための世界連合(Global Coalition to Protect Education from Attack, GCPEA)」政策提言顧問のアポリン・モントヤ氏、「教育を後回しにはできない基金(Education Cannot Wait, ECW)」助成金マネージャーの大島義幸氏を招き、ユースがインタビューを行う形式で、紛争下の教育の現状やそれに対する取り組みについて報告が行われました。
以下、各登壇者の発表内容など、イベントの一部を抜粋して紹介します。
GCPEA アポリン・モントヤ氏からの報告・コメント
まず、GCPEAの紹介や「学校保護宣言」が採択されるまでの経緯、紛争下の教育の現状について報告がありました。
その後、ユースからの「紛争下における継続した教育はなぜ大切なのか」という質問について、以下のようなメッセージがありました。
「紛争が続く状況では、質の高い教育を継続的に受けられるようにすることは極めて重要です。まず、長期的な視点から、教育は国が復興していくために不可欠な要素です。同時に、短期的にも、学校は紛争による混乱の中でも子どもたちに日常の感覚を与え、知識と将来の選択肢を提供します。
また、学校は、子どもたちにとって、その日の食事が食べられる唯一の場所であるかもしれません。危険が多い場所ではなく、安全な学校にいられるようにすることは、子どもたちに力を与え、彼らの安全を保障します。
政府は、地方自治体や学校運営者、教員、生徒、および地域コミュニティと連携し、紛争地域の教育施設のリスクを軽減するために、緊急時の対応計画を策定し、紛争中でも質の高い代替教育を提供し、紛争終結後には教育の再開と継続に力を尽くすべきです。」
画像?:学校保護宣言への支持の高まり
ECW 大島義幸氏からの報告・コメント
国際的な基金であるECWが紛争下の教育支援において最も大切だと考えていることや、教育に資金拠出する意義などについて、次のようなコメントがありました。
「アポリンさんも述べていたように、教育支援には短期的な視点だけでなく、長期的な視点も必要となります。そのため、紛争下の教育への支援を、“緊急支援”という枠組みだけで捉えず、自立性や持続性に目が向けられた“開発支援”につなげていかなければなりません。
そして、それらの支援の中で、地域の回復力(レジリエンス)を育み、現地の政府や人々の能力(キャパシティ)を強化することが重要です。また、こころのケア(MHPSS)やジェンダー、障害など困難な状況にある子どもたちもともに学ぶことができるインクルーシブ教育の促進といった取り組みを、全体の支援の中に組み込んでいくことも求められています。一時的な人道支援に留まらず、長期的な視点で教育支援を支えていくことが必要なのです。」
画像?:緊急支援から開発支援へのネクサス
イベントの終わりでは、文部科学大臣政務官・復興大臣政務官の山本左近衆議院議員より、ウガンダで行われている難民・ホストコミュニティの子どもたちへの教育事業を視察した経験や、教育は未来を変える力があるということ、また紛争下の教育において日本が求められている役割について、力強いメッセージがありました。
画像?:登壇者(一段目左からアポリン氏、大島氏、ユース菊地さん・千葉さん、山本左近衆議院議員)
「紛争下の教育」という問題は、日本に住んでいる私たちにとってはイメージをすることが難しく、自分たちには関係のない問題、または遠い問題だと考える人もいるかもしれません。
しかし、本来、教育は子どもたちの健全な成長に不可欠であり、学校は子どもたちに教育を提供する場として、なくてはならない場所です。そして何よりも、すべての子どもたちには教育を受ける権利があります。
今回のイベントには学生も多く参加しました。イベントを通し、参加者一人ひとりが紛争下での子どもたちの状況や、それらに対して行われている取り組みを知り、国際協力のキャリアを歩むための勉強をしたり、投票を通じて日本政府に働きかけたりするなど、自分にもできることについて真剣に考える機会となることを目指しました。
また、すでに教育協力に従事しているJICAやNGO関係者にとって、国際的な取り組みを知り、紛争下において質の高い教育を届けるために、各機関でどのような連携ができるかを知る機会となればと、考えます。
セーブ・ザ・チルドレンも、引き続き各地域で困難な状況にある子どもたちに質の高い教育を届け、関連機関と連携し、国際的な支援の拡充を日本政府に働きかけていきます。
*学校保護宣言やEducation Cannot Waitについては、教育を攻撃から守るための国際デーを記念した過去のイベントもご参照ください。
2022年:【活動報告】ユース向けオンラインイベント:9月9日教育を攻撃から守るための国際デー「私たちの学校を攻撃しないで~紛争下の子どもたちの声をつなごう」を実施しました
2021年:活動報告:9月11日に「教育を攻撃から守るための国際デー」にあわせ、参加型オンラインイベントを開催しました
2020年:活動報告:9月9日教育を攻撃から守るための国際デーに参加型オンラインイベントを開催しました
(アドボカシー部インターン 菊地翔)