(公開日:2024.02.22)
緊急下の子どものこころの応急手当「子どものための心理的応急処置」研修実施【能登半島地震 緊急子ども支援】
- 日本/国内災害
セーブ・ザ・チルドレンは2月20日、災害派遣精神医療チーム(DPAT)と連携し、石川県などが主催する、県内の放課後児童クラブ(学童保育)支援員を対象にした研修「子どものための心理的応急処置(PFA)」を、金沢市内で実施しました。対面とオンラインのハイブリッド形式で、あわせて約350人が参加し、災害時の子どものこころのケアについて理解を深めました。
子どものための心理的応急処置は、心理や精神保健の専門家でなくても、誰もが使える、緊急下の子どものこころの応急手当です。
研修では、災害派遣精神医療チーム(DPAT)としても活動している桜美林大学リベラルアーツ学群准教授の池田美樹氏が講師を務めました。
災害などの危機的な出来事に直面した子どもたちは、大人とは異なる反応や考えを示したり、特有のニーズが生じたりすることがあります。
池田氏は、災害発生後、時間が経過するにつれて被災者の心理的反応が変わることを説明。
徐々に心身の疲れが出て、不満やトラブルが起こりやすくなるとして、生活の中での支援の重要性を訴えました。
また、災害後の子どもによくみられる反応として、普段より養育者に甘えたり、わがままになるなど、より幼い行動に戻ったり、起きたできごとについて繰り返し話したり、遊びで表現するようなことがあることを共有しました。
その後、「準備」・「見る」・「聴く」・「つなぐ」というPFAの行動原則を説明したうえで、「つらい出来事について無理に話をしてもらう必要はなく、子どもが自分のタイミングで話したいときに聞くという関わり方をしていただきたいです」と補足しました。
セーブ・ザ・チルドレンが作成したPFAの行動原則に関する動画を見ながら、子どもに対応するうえでのポイントを参加者と一緒に考える時間もありました。
セーブ・ザ・チルドレンのスタッフからも、東日本大震災や熊本地震など過去の災害での緊急支援の経験から、子どもたちが遊びの中で災害に関わる行動や反応をとっていた事例を共有しました。
そうした行動を無理に止めずに、見守ることの重要性も強調し、「子どもは自分で日常を取り戻そうとしています。不安要素やストレスを取り除き、子どもが自分自身で回復していくのを促していくことが重要です」と話しました。
池田氏は、支援者も災害後に使命感をもって活動する中で、ストレスを経験する可能性があるとして、食事や十分な休憩をきちんととることや、仲間同士助け合い、自分自身でできることの限界を知る必要があると説明しました。「支援員がすべてを担うのではなく、問題の解決に役立つところにつないでいくことが大切です」と、伝えました。
参加した支援員は、災害下の子どもの状況などについて周りの参加者と話し合ったり、メモを取りながら、真剣な表情で研修を受けていました。
終了後は、「動画を見ながら、子どもに対応するときのポイントを考えるのが分かりやすかった」、「他の支援者にも内容を共有したい」といった感想が聞かれました。
主催団体の一つである公益財団法人いしかわ結婚・子育て支援財団理事長の細川悦子氏は、「今回の地震を受け、支援者自身にも子どもへの対応に不安な気持ちがあったようでしたが、そうした不安の解消につながったかと思います。支援の輪が広がり、子どもたちの笑顔や元気につながることを願います」と、話していました。
セーブ・ザ・チルドレンは、引き続き子どものためのPFA研修の実施や、地震の影響によりさまざまな状況にある子どもたちへ必要な支援を届けていくために、継続して活動を行っていきます。
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