【インドネシア】 スマトラ島で子どもたちと共に自然と共生する未来へ

インドネシア・スマトラ島のリアウ州は、豊かな自然と多様な生物種が共存する地域です。しかし、その貴重な生態系は、紙パルプやパーム油生産を目的とした大規模な農地開発などにより、森林の減少や、生物多様性の喪失、自然環境の悪化など、深刻な脅威にさらされています。そしてこの問題は、気候変動の影響も相まって、地域の子どもたちの生活や教育、さらには人権の面にまで直接的な影響を及ぼしており、児童労働、搾取、不就学児の増加といった事態の悪化が懸念されています。


プロジェクト対象地でもある、インドネシア・スマトラ島リアウ州クアンタンシンギ県にあるPangkalan Indarung村の様子

■BASAMOプロジェクト:地域コミュニティと子どもたちが手を取り合って
こうした事態に対処するため、セーブ・ザ・チルドレンは、国際的な環境保全団体であるWWF(世界自然保護基金)ジャパンとインドネシアと協力し、「BASAMO(バサモ)」(地方語のムラユ語で「一緒に」という意味)という共同プロジェクトを、2023年12月から約1年半の予定で、試験的に展開しています(詳しくは前回のブログ記事を参照)。

このプロジェクトでは、環境教育と子どもの保護、また持続可能な生計の構築を通じて、子どもたちとその家族の生活を支援すること、および地域の自然環境を保全することを目的としています。

これまでの取り組み:
子どもの権利に関する状況分析:地域の子どもたちの生活状況や、教育、暴力や搾取などに関する実態調査を通じて、具体的な課題の特定に向けた準備を開始しました。 




プロジェクト対象地の学校で、実態調査活動に参加している生徒たちの様子
(2024年3月)

環境教育:地域学校や行政当局と協議を重ね、「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development[ESD])」への理解を深め、その推進に向けた準備作業を実施しました。また、ESDの評価ツール開発にも取り組みました。 

 


プロジェクト対象地の学校の校長・教頭先生、および教職員を交えた会合の様子
(2024年3月)

持続可能な農業・生計向上:地域ステークホルダーとの会合を重ね、プロジェクトの目的や取り組みを共有しました。また、農民グループの特定や、今後の活動計画の策定、金融リテラシーの教育コンテンツの見直しなどを行いました。 



プロジェクト・キックオフ会合の様子(2023年12月)




 リアウ州クアンタンシンギ県の開発計画局の責任者との会合の様子(2024年1月)


 
リアウ州クアンタンシンギ県プランテーション局および社会開発局の責任者との会合の様子(2024年1月)


プロジェクト運営: WWFチームと地域コミュニティとの協力体制の強化、地域関係者を巻き込む運営体制の構築について、共通理解を深めました。

 
セーブ・ザ・チルドレンとWWFのプロジェクト・スタッフの集合写真(2023年12月)



インドネシアと日本との間で実施された、プロジェクト管理者オンライン会合の様子(2024年2月)

BASAMOプロジェクトの初期段階では、自治体、教育関係者、そしてコミュニティの協力を得て、プロジェクトの目的や取り組みに関する認識を深めるためのキックオフ会議を積極的に実施しました。

これら会議を通じて、地域社会における環境保全への意識が向上し、子どもたちの間にも環境問題に対する関心が芽生え始めることに大きな期待を寄せています。

今回のプロジェクトは試験的な位置づけにありますが、1年半のプロジェクト活動を通じて得られる成果や学びをもとに、2025年以降の支援活動をより戦略的で効果的なものにすることを目指しています。

インドネシアの豊かな生物多様性を守りつつ、持続可能な生計を支え、子どもたちの権利を保護するこの新しい取り組みに向けて、引き続き皆様からのあたたかいご関心とご支援をお願いいたします。


(海外事業部 アジア地域マネージャー 豊田光明)
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