(公開日:2024.04.16)
【実施報告】「継続的な給付に安心感がある」~「高校生活まなびサポート2023」の21人の利用者が決定しました~
- 日本/子どもの貧困問題解決
セーブ・ザ・チルドレンは、経済的かつ生活上困難な状況にある世帯の子どもが、高校などへの入学、高校就学時の生活やまなび*¹を経済的不安なく過ごし、自分らしい進路選択ができることを支えるため、2022年秋より継続型の給付金「セーブ・ザ・チルドレン子ども給付金 ~高校生活まなびサポート~」を宮城県石巻市で開始しました。
2023年度の募集は8月末から10月上旬にかけて行いました。中学3年生から高校生世代まで25件の申請があり、18世帯21人への給付を決定しました。中には、高校には在籍していないが支援団体を通してまなびにつながっていることで申請にいたる世帯や、生活状況などの理由で学校関係者や支援者を経由して申請にいたる世帯もありました。
子どもたちを支える「高校生活まなびサポート」。その使途はさまざまです。
保護者からは、給付金の利用使途として、「入学金に充てたい」、「育ち盛りの子に、もっと沢山食べさせたい」という声や、「教科書代や部活動にかかる費用」、「子どもが必要とする教材、自宅で必要な学用品」、「通学用の定期代」、「制服代」、「卒業アルバムの費用」、「塾の費用」、「毎月の学校の集金」などに使いたいといった声が寄せられました。
また、子ども自身が主体的に給付金の活用方法を考えて利用してほしいという思いから、給付金を何に活用したいか、子どもたちの希望を尋ねました。
子どもからは、「学校の交通費や教科書などに使いたい」、「習い事や将来の仕事のための勉強に使いたい」、「資格を取りたい」、「家全体の生活費や自分の食費・文房具を購入するのに利用したい」、「部活をやりたいので用具やユニフォーム、遠征費などに利用したい」、「学用品、制服代、修学旅行費用などに使いたい」、「自転車購入やバス代金に使いたい」といった声がありました。
そのほか、子どもからは「お母さんが大変だから習い事か通学費に使いたい」、「親の負担を減らすため、志望校に通うための交通費や、学校で使う物を買ったり、お昼代に使いたい」など、保護者の負担を案じる声などが上がっています。
給付決定後、私たちは、利用者の家庭を直接訪問したり、各家庭の事情で直接訪問が難しい場合は自宅以外の場所や電話で申請の背景や給付金が決まった時の様子、今後何に利用したいか、現在の生活状況などを聞いています。
聞き取りを行った保護者からは「高校に入ったらどれだけお金がかかるか不安に思っていたので、毎月もらえることで交通費などに充てられてありがたい」、「給付が決まって卒業時給付金*²が入ったことで、ジャージ代やかばん代、定期代などいろいろ支払うことができて感謝しかない」と安堵する声が寄せられました。
給付後の変化として、「(高校受験に向けて)初めて模試を受けることができた」、「これまで学校に所属せず自宅学習のみだったが、(給付後から)自治体の学習支援事業を積極的に活用し進学の意思を持つようになった」と、子どもの体験やまなびの機会、意欲が増したことを報告してくれる保護者や支援者もいました。
また、「(継続的に)入ってくるお金で安心感があるというか、(精神的に)余裕が持てている」という保護者の声や、「(給付金を受けられることが決まって)親が安心してそうな感じがした」、「ここからちゃんと生きられるじゃないですけど、ここから少しは心配しなくて過ごせるかなって、(決定を)聞いてとても安心感があった」という子どもの声があり、給付金が世帯全体の安心感につながっている様子がうかがえました。
中には、「とても良いサポートなのでもっとみんなに知ってもらいたい、学校に行っていないと情報が入ってこないことも多いのでそのような世帯にも知ってほしい」と、情報にたどり着けない、経済的に困難な同じ状況の世帯をおもんばかる保護者もいました。
今回の募集を経て、現時点の利用者は54人となりました。(2023年度募集終了時点)
セーブ・ザ・チルドレンの「子ども給付金 ~高校生活まなびサポート~」は継続型の給付金事業であり、最長で約3年半(世帯によって異なる)にわたり、子どもたちの生活やまなびを支えることができます。
子どもたちや各世帯に寄り添いつつ、子どもたちが経済状況や生活状況によらず、自分自身の希望する進路やまなびを選択できるようなサポートを続けていきます。
*¹学習や就学に限らず、課外活動、スポーツ・文化・芸術活動など広くとらえるため、「学び」ではなく「まなび」としています。
*²「高校生活まなびサポート」が独自に実施している一時金。卒業後の進路の準備金として中学卒業時に10万円、高校卒業時に15万円の支給を行う。
セーブ・ザ・チルドレンでは高校生活まなびサポート以外にも、子どもの貧困問題解決に向けさまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は随時こちらのページで更新しています。ご関心がある方はぜひご覧ください。
(国内事業部:椎名)