「自分で電力を作ったよ!!」ソニー・サイエンスプログラム(2012.02.09)

1月13日、石巻市立広渕小学校でソニー・サイエンスプログラム「つくって、わかる。発電・蓄電ワークショップ」が、6年生の授業として開催されました。ソニー・サイエンスプログラムは、実験などを通じて子どもたちに科学への好奇心や探究心を引き出すことを目的にソニーが50年以上実施している活動です。このたび、ソニー株式会社とセーブ・ザ・チルドレンの協働プロジェクト「RESTART JAPAN」の支援活動の一環として、発電や蓄電をテーマに“電気と暮らしとの深い関わり”を知ってもらうことを目的に、3回目の被災地でのワークショップが実現しました。
広渕小学校の6年生39名が参加した当日の様子をお届けします。

■振動型発電機(スティックジェネレーター)の組み立て
前半の授業では、それぞれの教室でソニー株式会社の矢島 正一 さん、新倉 英生 さんが講師となり、“どうして電気をつくらないといけないのか”の説明から始まりました。?身の回りには、いろいろな電気を使う機械製品があり、それらなしでは生活が成り立たない ?石油など火力発電に使う化石燃料には限りがある ?太陽光や風力発電など再生可能なエネルギーだと地球にやさしい ?電気を自分で作れると地球にやさしい、という4点のポイントを説明した後、実際に“磁石”と“コイル”を使って、振動型発電機“スティックジェネレーター”の組み立てを行いました。

スティックジェネレーターの説明。コイルと磁石があれば、電気を作ることができます。


スティックジェネレーターの組み立て。細かい作業だが、みんな真剣に作成中。

コイルを配線基板につなげるなど、少し細かい作業もありましたが、ソニースタッフに手伝ってもらいながらみんな無事に作ることができました。完成したスティックジェネレーターは、上下に振ることで明かりが点灯します。点灯した瞬間、子どもたちからは「ついた、ついた!!」「どうして明かりがつくの?不思議」といった、大きな歓声が上がりました。
 
明かりをつけるために、みんな必死に振っています。

スティックジェネレーターの明かりは、振ることでコイルの間に磁石が通り電気が発生することで点灯します。振らなければ、明かりは点灯しません。「明かりをつけるって、すごく疲れる」と、子どもたちは電気を安定して作り続けることの大変さを実感していました。

スティックジェネレーターは振り続けなければ、電気は流れず明かりは点灯し続けません。そこで常時明かりを点灯させるために、電気をためるコンデンサーという小さな部品をスティックジェネレーターに取り付けました。コンデンサーのおかげで電気をためることが可能になり、振ることを止めても明かりがしばらく点灯するようになりました。このシステムは蓄電池と同じ構造です。
 
ソニースタッフに教えてもらいながらコンデンサーを取り付けます。


電気をためたことで振らなくても点灯するようになりました。

■「スマートコミュニティ」を体験しよう
後半の授業では、場所を教室から家庭科室に移し、電気を自分たちで作ることもでき、環境にやさしい都市「スマートコミュニティ」を体験する実験を行いました。4つのグループに分かれ、グループ毎に電気をためるコンデンサーをみんなでつなぎ、一斉にスティックジェネレーターを振って電気をためます。そしてプラレールやロボットなどで作られた玩具の街を、自分たちでためた電気を使って動かす実験を行いました。

電気をためる工程では、どのグループが一番多くの電気をためることができるのか競争です。同じグループの友だちと協力して、一生懸命スティックジェネレーターを振って電気を作りました。子どもたちからは、「みんなと協力して一つのことができたから、楽しかった」「自分たちで作った電気で玩具の街が動いたなんて、信じられない」という声が聞かれました。

みんなのスティックコンデンサーを蓄電装置につないでいます。


グループのみんなと協力して、電気をためます。


うちわであおぐことで風力発電による電気を作ります。


蓄電した電気で玩具を動かします。

また子どもたちは、電気は太陽光、風、水、太陽熱、地熱、波力、バイオマス、雪氷熱、温度差・・・など、様々な源で作ることができることを学びました。特に、ブドウ糖を使って、普段飲むジュースからも発電ができることには、子どもたちも非常に驚いていました。「自分で電力を作ることができて楽しかった」「発電は手で回すだけではなく、様々な方法でできることを知って勉強になった」という声も聞かれ、電気と生活が密接に関わっていることを体得できた授業のようでした。
さらに、ソニー株式会社が最近発売した家庭用蓄電池のことも紹介され、授業で使用されていたテレビが蓄電池で動いていたことを知ると、驚いた表情をしていました。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、子どもたちが学校の通常の授業だけでは体験できないさまざまな実験や体験を提案し、新しい発見を通じて視野を広げてもらう取り組みを行っています。今後も様々な関係機関と協力し、子どもたちの将来につながる気付きを提供できるような取り組みを継続してまいります。
(報告:広報 三輪 喜則)

ソニー・サイエンスプログラムについて(発電・蓄電ワークショップ)
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