(公開日:2012.11.01)
あの小さかった稲の苗が、黄金色の稲に成長~石巻北高校・宮城県水産高校 合同稲刈り&試食会 (2012.11.1)
- 日本/東日本大震災/教育
「キリンSCJ『絆』奨学金」 は被災地の将来の発展を支える子どもたちの学びの機会を大切にしたいと願うキリングループと、世界中で子どもの権利が実現される社会を目指すセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下SCJ)が、岩手・宮城・福島県内の県立農業高校及び県立高校の農業関係科目を履修している高校生を対象に、協働で実施しているものです。2011年10月31日より奨学金給付を開始しました。
2012年10月11日に、「キリンSCJ『絆』奨学金」の受給生が在籍する石巻北高校と、被災の影響で現在は石巻北高校内にある仮設校舎で授業を行っている宮城県水産高校による「平成24年度交流会合同稲刈り」が、石巻北高総合学科食農系列3年生と宮城県水産高海洋総合科食品科学類型3年生の合計約60人が参加し、石巻北高校の水田で行われました。両校の交流会は同じ第1次産業である農業と水産業を学ぶ専門高校生同士の交流を行い、友好を深め、食について考える機会をつくることを目的として2011年度から行われています。今回、わたしたちSCJの職員とキリンビバレッジ株式会社様も、奨学金受給生達と交流し、農業高校の活動に対する理解を深めるために、5月31日の「合同田植え交流会」に引き続き参加させていただきました。
当日は、天気予報が雨の予報で稲刈りの実施が危ぶまれましたが、稲刈りをする時間帯には雨も止み、絶好の稲刈り日和となりました。田んぼでは、この夏は気温が平年よりも高かったため、収穫高も例年よりも多く収穫できました。
黄金色に実った400~の「つや姫」という品種の水田。立派に成長しました。
石巻北高校の皆さんにコツを教わりながら稲刈りをしました。
慣れた手つきで稲を刈っていきます。
稲は地面から約20~30cmのところを刈るのがコツです。石巻北高校の生徒さんは授業にも農業実習があり、鎌の使い方にも慣れているため、とても手早く稲を刈っていました。一方、宮城県水産高校の生徒さんは慣れない稲刈りに四苦八苦しながらも、石巻北高校の先生や生徒さんに稲刈りのコツを教わりながら、稲を刈っていました。
宮城県水産高校の皆さんの中には、稲刈りが初めてという生徒さんがほとんどです。
刈った稲を乾燥させるため、田んぼから運び出します。
刈り取った稲は天日干しで1ヵ月、稲の水分量が21%から16%になるまで、少しずつ乾燥させます。乾燥機を使用し、急速にお米を乾燥させてしまうとお米の味が落ちてしまうそうです。
稲刈りの終了後には、すでに違う田んぼで収穫してあった新米を使ったおにぎりの試食会が行われました。石巻北高校が米なら、宮城県水産高校からは魚ということで、「どんこ汁」と「かつおのたたき」がふるまわれ、さらにキリンビバレッジ株式会社様より、4種類の紅茶飲料を提供いただきました。とても豪華な昼食になりました。
本格的に藁を焼いて、かつおのたたきを作っていただきました。
稲刈りを体験し、試食会で新米を食べた生徒さん達は、「稲刈りは腰が疲れる。でも皆と協力して稲刈りができて楽しかった。」、「普段は機械で刈るが、授業の中で稲を手で刈ることはあったので、今日はそんなに難しくなかった。」、「違う高校の人同士で交流ができて、楽しかった。」、「皆と一緒に食べることができ、おにぎりが更に美味しく思えた。」と、話してくれました。
刈り取られた新米の一部は米粉にされ、授業の実習として小麦粉の代わりに米粉を入れた蒲鉾の「こめぼこ」に調理します。米粉を使った「米粉パン」は、石巻北高校が校内で開催している道の駅『と・ら・ま・い』で販売される予定です。
キリンSCJ『絆』奨学金」には、将来、農業を志す生徒の皆さんが学業に明るい未来を見出せること、東北地方に受け継がれてきた豊かな農業を未来につなげていく期待が込められています。SCJは、キリングループの支援により、農業を志す子どもたちへの支援を継続していきます。
(報告:広報 三輪 喜則)