スリランカ洪水緊急支援開始〜生まれてくる赤ちゃんに服を!!〜(2011.02.08)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、昨年末より集中豪雨に見舞われたスリランカの洪水被災地(バティカロア県、アンパラ県)において途絶していた教育活動の早期再開を支援するとともに、水位が下がったあとの被災地における急性栄養障害、衛生環境の悪化から子どもたちを守るための支援を開始しました。
「来月には、2人目の子どもが生まれるというのに、洪水で子牛を失い、石工の仕事もなくなってしまいました。不安ですが、なんとかして仕事を見つけ、無事に子どもが生まれることを願っています。乳幼児キットをもらえて、本当に嬉しいです。生まれてくる赤ちゃんにちゃんと洋服を着せてあげられるのがとても楽しみです。」
(C)Menaca Calyaneratne/Save the Children
本災害により、スリランカでは、およそ28万世帯、約100 万人が被災し、現在も約8万人が避難生活を余儀なくされています。激しい雨による洪水に伴い、土砂崩れといった二次災害や、水を感染源とする下痢やコレラ、腸チフスなどの病が発生する恐れもあります。また、被災した全地域で学校は閉鎖され避難キャンプとして使用されており、子どもたちの教育への影響も懸念されます。
セーブ・ザ・チルドレンは、スリランカにおいて35年以上の活動実績があり、2005年のスマトラ沖津波支援を皮切りに、内戦終結前の2008年からは日本人スタッフも駐在し東部において就学前教育の緊急支援、2009年からは北部の避難民キャンプ地で生活必需品の配布や教育支援を行ってきました。現在は、困窮する世帯への生計支援を行うとともに、子どもが安心して遊び学べる環境をつくり、彼らが未来への自信と希望を持ち続けられるよう活動を行っています。
<事業概要>
◆支援地 : スリランカ バティカロア県、アンパラ県
◆実施期間: 2011年1月28日〜2011年2月20日
◆事業予算: 約1,000万円(ジャパン・プラットフォームの助成による)
◆対象人数: 約15,000人(被災した子ども、乳幼児)
◆主な内容: 学校校舎の緊急修復、子どもたちへ文具、衣類の配布
乳幼児への栄養補助食品、乳幼児キット(おむつ・蚊帳・石鹸)、衣類の配布
<支援地域>
SCJが支援を行うのは、最も深刻な被害を受けた東部地域です。人口の7割が農民(ほとんどが1日2ドル以下の小作貧農)で、子ども達の栄養失調率も他州に比べて高い地域です。また、津波や長年にわたる内戦を経て、ようやく生活を取り戻しつつあった人々にとって、今回の災害は非常に大きな痛手となっています。
<活動分野>
ニーズ調査では、シェルターや緊急支援物資(NFRI)、食糧安全保障、農業・生計、学校教育の正常化、疫病の防止(衛生管理)などの必要性が挙げられています。シェルターやNFRI配布は様々な団体で大規模に行われている一方で、教育や栄養・衛生分野では十分な関心(&資金)が集まっていません。そこで、SCJでは教育および乳幼児の栄養と衛生に関する支援を行います。
1.教育支援
東部では、1,200の学校(全体の30%)が浸水や破損、または避難所として転用されたため、
多くの学校でいまだ授業再開できずにいます。また、教科書やノート、文具、制服などを洪水で失った子どもたちは、授業が再開されたとしても学校に戻れないことが多いのが現状です。
そこでSCJは、教育施設の応急修復と子ども達への文具や衣服の配布を行い、約12,500人の子ども達が学校に戻り、再び勉強できるように支援を行います。
2. 乳幼児の栄養や衛生に関する支援
被災後の地域では、物流の途絶による食料品の価格高騰や、生計手段を失った被災世帯の経済的困窮などから抵抗力のない幼い子どもたちが急性栄養失調にかかる恐れが高くなります。また、井戸の汚染による清潔な水の不足や、汚物散乱による衛生環境の悪化も懸念されます。そこで、最も支援を必要としている世帯の1-5歳児1,200名に1ヶ月分の高カロリー栄養補助食を、0-1歳児1,440名に乳幼児キット(おむつ、乳幼児用蚊帳、石鹸など)と衣服を配布し、乳幼児の栄養や衛生の維持・改善に努めます。