【EVERY ONE】3億5000万人の子どもたちが一生に一度も診てもらえず 〜ヘルスワーカーに関する報告書『全ての子どもに保健医療を届けるために』(No Child Out of Reach)を発表〜 (2011.09.20)
セーブ・ザ・チルドレンは、ヘルスワーカー(医者、看護婦、助産などの医療従事者)不足の問題と解決策についてまとめた最新の報告書『全ての子どもに保健医療を届けるために』(No Child Out of Reach)を発表し、世界で少なくとも3億5000万人に上る子どもが、一生のうち一度もヘルスワーカーに診てもらえない現状を変える必要性を訴えます。
アフリカやアジアなどの途上国におけるヘルスワーカー不足の影響は深刻で、多くの子どもたちが肺炎や下痢など、比較的容易に治療可能な病気にかかっても、ヘルスワーカーより適切な治療を受けられないことが原因で命を落としています。
世界中の疫病の4分の1がアフリカで蔓延しているにも関わらず、その地域に住む子どもたちがアクセスできるのは、世界のヘルスワーカーのわずか3%にすぎません。WHO (世界保健機関) によると、人口1,000人あたり2.3人のヘルスワーカーが必要だとされていますが、その水準を下回るナイジェリア、エチオピア、リベリアなどの国に住む子どもたちは、十分にヘルスワーカーが確保されている国と比較すると、5歳になる前に亡くなる危険性が約5倍にもなっています。
今回の報告書では、ヘルスワーカー育成への資金投入に比例して子どもの死亡率削減に成功したバングラデシュやネパールを例にあげながら、ヘルスワーカーの拡充は強い政治的意志と資金投入により実現可能であるとしています。
また、ヘルスワーカーに関する主要課題として、以下の5点を挙げています。
1. 低所得国における教育・研修不足:最貧国では、ヘルスワーカーになるために必要な教育を受けることができる人の数はわずかです。既存の医療訓練センターの多くは資源不足で、ヘルスワーカーに充分な訓練を行うことが困難になっています。
2. 低賃金と低インセンティブによる頭脳流出:低い賃金やインセンティブが原因で、ヘルスワーカーが貧しい国からより豊かな国に流出しています。その例として、リベリア人看護婦とモザンビーク人医師の81%が海外で働いています。
3. ヘルスワーカーの活用不足:既存のヘルスワーカーが最も必要とされている場所で活用されておらず、比較的豊かな都市部に集中し、農村部の子どもたちにはヘルスケアが届かない問題があります。
4. 先進国・途上国の保健医療に対する資金投入不足: 世界各国の保健医療への資金拠出が大幅に不足しています。2001年にアフリカ諸国が国家予算の15%を保健医療に投入すると約束しましたが、そのうちわずか8か国しか実現していません。
5. 保健医療に対する非効率な資金投入: 保健医療への資金拠出が一元化されておらず、ヘルスワーカーの採用および育成に関する長期的計画を立てるのが困難になっています。
ヘルスワーカーの拡充は、乳幼児および妊産婦の死亡率の削減、疾病の蔓延の防止などとも深く関連しており、国際社会をあげた取り組みが求められる緊急の課題です。
セーブ・ザ・チルドレンはニューヨークで開催中の国連総会において、世界が直面する350万人のヘルスワーカー不足の問題の解消に向けて、一刻も早く必要な資金を投入するよう訴えかけていきます。
* 報告書『全ての子どもに保健医療を届けるために』(No Child Out of Reach」の詳細は以下をご参照ください
英語全文:No Child Out of Reach報告書(英語全文).pdf
要旨和訳:No Child Out of Reach報告書(要旨和訳).pdf
(c) photo: rachel palmer/save the children
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