母の日レポート:母親になるのにベストな国ランキング (2010.05.06)

1位はノルウェー、日本は32位。

子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは、母の日を機に母親に注目することで、子どもについて考えるきっかけを作るため、毎年、母親になるのにベストな国ランキング「母親指標(Mother's Index)」を含む「State of  the  World's  Mothers」を発表しています。11回目となる今年は、160カ国を対象に母親と子どもの状態を分析しました。

ランキング.JPG日本は2006年の12位以来、年々順位を落としていましたが、今年は32位となり、昨年の34位からわずかながら順位が上がりました。これは、5歳未満の死亡率や子どもの就学に関する数値が相対的に良かったことと、女性の国政レベルでの政治への参加率が若干ですがアップしたことが寄与したと考えられます。しかしながら、女性議員の割合は、ルワンダ56%、スウェーデン46%、ノルウェー40%に対し、日本は11%にとどまります。

今年、総合ランキングで1位となったノルウェーは、政治への男女参加比率を一定の割合に定める「クオータ制」発祥国であり、上場企業役員の40%を女性にする「女性役員割当制度」の法制化や男女の賃金格差の幅が狭いといった特徴があります。ランキング上位国の多くでは、女性の社会参加と子どもの健康と教育は将来的に国や経済成長に貢献するものと期待され、国家レベルで守られています。

2010年4月27日に内閣府が発表した国民生活選好度調査によると、「自分が感じている幸福度」を10点満点とすると、デンマークが8.4点、日本は6.5点と発表されました。なお、調査結果には、国民の幸福感を高めるために政府に求めることとして、「安心して子どもを産み育てることのできる社会の実現」(64.9%)があげられています。

今後、日本でも国や自治体レベルでの子育て環境の改善が期待されます。

ランキング2.JPG

*1「母親指標((Mothers' Index)」
160ヶ国における母親の状態は、上記の母親と子どもの指標をベースに 比較しています。
*2 「女性指標(Women's Index)」主に下記指標の1〜8を中心に比較しています。
*3 「子ども指標(Children's Index)」主に下記指標の9〜15を中心に比較しています。

2010 Cover.jpgのサムネール画像
1. 産婦死亡のリスク 
2. 現代的避妊手法の使用 
3. 訓練を受けた医療従事者の立会の出産
4. 女性の平均余命
5. 女性の正規教育期間
6. 男女間の給与所得の比率 
7. 産休・育休制度 
8. 女性の国政レベルでの政治への参加 
9. 5歳未満の子どもの死亡率 
10. 5歳未満の子どもの栄養不良児率
11. 就学前教育就学率
12. 初等教育就学率
13. 初等教育就学の男女比
14.中等教育就学率
15. 安全な水の利用率

 

【2010年 母親指標 総括】
ランキングの上位国には、例年のように北欧の国が多くランクインし、下位の国にはサハラ砂漠以南のアフリカの国が目立ちます。上位国と下位国では、女性と子どもの健康面や教育、経済状況などすべての指標において著しい格差が浮き彫りとなっています。
特に、開発途上国では、専門的介助のない出産が女性と新生児の生命を危険な状態にさらしており、妊婦が安全な出産をし、新生児が健全に育つことができるようにすることが最重要課題なのです。しかしながら、開発途上国では妊婦や新生児をケアするヘルスワーカー(医療従事者)が非常に不足しているのが現状です。

【母親指標から見えるトップと最下位の比較】
◇妊婦の死亡率:アフガニスタン、シエラレオネの出産時の妊婦の死亡率は8人に一人に対し、アイルランドは47,600人に一人。
◇正規教育:ニジェールの一般的な女性は、正規教育を4年以下しか受けていないのに対し、オーストラリアやニュージーランドは20年以上の教育を受けている。
◇平均寿命:日本女性の平均寿命は86歳に対して、アフガニスタンは44歳。
◇5歳未満の子どもの死亡率:スウェーデン、フィンランド、アイスランドの5歳未満の死亡率は1000人のうち3人に対して、アフガニスタンは4人に一人。 
◇出産:エチオピアでは、出産時に医師や助産師などの専門技術を持った人の立会いはたった6%に対し、ノルウェーでは全ての出産に立ち会いがある。

母の日レポート2010ダイジェスト(英語版) executive-summary-2010.pd

日本語要訳 母の日レポート2010.pdf f

 【セーブ・ザ・チルドレンのグローバル・キャンペーン 「EVERY ONE 5歳の誕生日を子どもたちに」】
現在、年間約900万人の子どもたちが、5歳の誕生日を迎えることができずに命を落としています。その多くは、予防・治療可能な病気で亡くなっており、うち99%が開発途上国で起きています。セーブ・ザ・チルドレンは子どもの死亡率を2015年までに1990年の3分の1に削減することを目標とした、国連ミレニアム開発目標の達成への貢献を目指し、母子保健プログラムや子どもの健康と栄養プログラム等によって、毎年50万人の子どもたちの命を救うことを目標に活動を行います。

◇「EVERY ONE」キャンペーンサイト  http://www.savechildren.or.jp/everyone/index.html

◇キャンペーンオリジナルキャラクター「えぶりまん」がtwitterでつぶやき、世界の子どもたちを    応援します。   http://twitter.com/akachan5

 



 


 


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