G20 世界は貧困国を救えるのか?! (2010.06.28)
27日に発表されたG20首脳国宣言は、開発の格差是正と貧困削減に一定のコミットメントを示したものの、前日に発表されたG8の「妊産婦、新生児及び乳幼児の健康に関するムスコカ・イニシアティブ」(※)を促進する確固たる内容にはいたりませんでした。
セーブ・ザ・チルドレンは、G20が開発の格差について言及し、開発作業部会を設置したことを歓迎する一方、「ムスコカ・イニシアティブ」に対するコミットメントが示されなかったことを遺憾に思います。
G8が約束した5年間で50億ドルの拠出は、毎年亡くなる900万人の子どもと35万人の妊産婦の状況に劇的な改善をもたらすには及びません。しかし、このイニシアティブが、多くの開発途上国を苦しめる予防可能な病気と死の波をせき止めるためには世界が一致団結しなくてはならない、という認識を表明したことは評価できます。本年のG20において「ムスコカ・イニシアティブ」を推進することは、昨年のG20ピッツバーグ・サミットにおいて重点が置かれた食料安全保障問題をさらに掘り下げる絶好の機会だったにもかかわらず、G20参加国はそれを生かすことができませんでした。
母子保健への真剣な対応と実質的な拠出は、多くの命を救い、家族の健康を守ることにより地域の経済を活性化し、子どもの不要な死を防ぐ好循環を生み出します。
世界的課題の解決のためには、G20参加国が自国における母子保健の改善と共に国連ミレニアム開発目標の達成に向けて協調した行動を取ることが不可欠です。8つの開発目標のうち、子どもと妊産婦の死亡率改善に関する2つの目標が2015年の達成期限に向けて最も進捗が遅れています。全ての国々が、G8およびG20のリーダーシップのもと、9月の国連ミレニアム開発目標サミットに向けて画期的な行動計画にコミットする必要があります。
G20は約束の履行状況を毎年評価するための、透明性のある厳格な仕組みを早急に導入するべきです。厳格なアカウンタビリティの仕組み導入に30年以上もかかったG8とは違い、G20が迅速に行動を起こすことを期待します。
セーブ・ザ・チルドレンは、11月の韓国・ソウルにおけるG20に向けて、参加国が開発課題により積極的な役割を果たすよう働きかけていきます。
セーブ・ザ・チルドレンの母子の命を救うグローバルキャンペーン「EVERY ONE」と、ご支援についてはこちらをご参照ください。
(※)詳細は、外務省ホームページをご参照ください。