アフガニスタン開発の中心に子どもたちを  〜報告書「移行期におけるアフガニスタン:子どもたちを開発の中心に」を発表〜 (2011.11.08)

セーブ・ザ・チルドレンは、ボン合意から10年の節目を迎えるにあたり、

報告書「移行期におけるアフガニスタン:子どもたちを開発の中心に」.pdf (英文:Afghanistan in Transition: Putting Children at the Heart of Development)を発表し、アフガニスタン政府をはじめ国際社会がアフガニスタンの開発において、子どもたちや農村部の貧しい人々により焦点を合わせ、政策決定プロセスに彼らの意見を取り入れるべきであるとの見解を示しました。

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報告書では、タリバン政権崩壊から10年が経過し、アフガニスタンが数々の進展を遂げてきたと報告しています。その一例として、この期間に250万人におよぶ女子が就学し、3,500人以上の助産師が研修を受ける機会を得ました。また、破傷風やジフテリアなどの予防接種を受けられる子どもは全体の8に達しています。その一方で、未だ残る課題についても報告されています。約57%の女性が法定年齢に満たない16歳以下で結婚しているほか、首都カブールでは貧困により37,000人の子どもたちが路上生活を強いられています。多国籍軍からアフガニスタン政府への治安権限の委譲が進み、アフガニスタン政府の責任がより一層増す中、セーブ・ザ・チルドレンは報告書の中で、国際社会のアフガニスタン支援について以下の提言を行っています。

l  子どもにより焦点を合わせる

アフガニスタンでは若年層人口の割合が高い一方で、子どもたちの教育や保護へのニーズが満たされていないことが最重要課題となっています。セーブ・ザ・チルドレンの研究調査では、就学している男の子の全員が先生から体罰を受けたり自尊心を傷つけられた経験をもつと回答しました。これは到底受け入れられるものではなく、速やかに対処されるべき問題です。

l ニーズに基づいて資金を割り当てる

最も脆弱な人々にこそ資金が割てられるべきです。国際社会からの支援金は軍事的、政治的または戦略的関心に基づいて配分されるべきではありません。

l  基本的サービスに支援の焦点を当てる

女性教員、コミュニティーにおける教育者、およびヘルスワーカーへの研修は重要です。また、教育者および医療従事者への支援はコミュニティーの実情とより密着したものであるべきです。

アフガニスタンへの支援の大部分が国際治安支援部隊(ISAF)の指揮のもと、地方復興チーム(Provincial Reconstruction Teams) を通じて実施されています。2002年から2010年の8年間で国際社会は約900億ドルの支援を表明しましたが、そのうち資金拠出が確定しているのはわずか629億ドル、既に拠出されたのは516億ドルのみです。

地方復興チーム(PRT)は、アフガニスタン国民からの評価と賛同を得るため、道路や橋建設などの短期間で裨益効果がわかるプロジェクトに注力してきました。プロジェクトは国際社会の戦略的関心の対象である都市部で集中的に実施されてきましたが、アフガニスタン人がプロジェクト実施における一連のプロセスから頻繁に除外されてきました。これは、基本的サービスをコミュニティーの主導で進めるというアプローチが重視されていないことを意味します。

セーブ・ザ・チルドレンUS 事務局長のキャロライン・マイルズは、「私たちはアフガニスタンにおける35年の経験の中で、どのようなプロジェクトでも成功させるためにはアフガニスタンの人々が関わるべきであることを知っています。アフガニスタンの人々が自国の安定と平和を回復するためには、彼らが研修を受けて意欲的に働くこと、そして優先的に支援を必要とする子どもやその家族に支援を届けることが必要なのです。」と語ります。

またセーブ・ザ・チルドレンは、アフガニスタン政府が国際社会からの支援について適切な精査を実施し、説明責任と透明性を確保した上で各省庁に資金を分配するシステムの確立など、アフガニスタン政府のキャパシティ構築に取り組むことを国際社会に対し求めています。

セーブ・ザ・チルドレンは、アフガニスタンの貧しい州で保健医療や教育の改善に取り組む医師や教員を育成しており、コミュニティー密着型の開発と研修におけるリーダー的存在となっています。未だなお不安定な情勢が続くアフガニスタンですが、セーブ・ザ・チルドレンは子どもたちが安心して暮らせるよう引き続き支援を展開していきます。

報告書「移行期におけるアフガニスタン:子どもたちを開発の中心に」.pdf (英文のみ)

写真:男女混合クラスで授業を受けるグルサム10歳。カブール市近郊のデシャブにて。

(C)Mats Lignall/Save the Children

 


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