四川大地震から1年(2009.05.07)

【中国・四川大地震から1年】

絵本の読み聞かせに、嬉しそうな表情を見せる四川省安県の子どもたち
[絵本の読み聞かせに、嬉しそうな表情を見せる四川省安県の子どもたち]

4,600万人もが被災した四川大地震から5月12日で1年―。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)では、ジャパンプラットフォームの助成を受け、2008年12月から中国の四川省で被災者支援活動を行っています。2009年4月6日から20日にかけて被災地を訪問した今福ゆり子スタッフに話を聞きました。

【Q.現在SCJではどのような活動をしていますか?】

地震の影響で住み慣れた土地で暮らすことが困難となり、しばらくの間親元を離れて集団避難した経験を持つ子どもたちに対して主に心のケアを行っています。

具体的には、心と体をリラックスさせるための体操やダンス、詩を書いたり絵を描いたりするセッションを通して、感情を自由に表現することで震災や避難生活によるストレスを軽減してもらおう、というものです。

また、子どもを取り巻く大人に対しても、子どもの権利という概念を基軸に、心のケアに関する理解を深めてもらう研修を行い、子どもたちをサポートできる環境づくりを行っています。

(左)お絵かきセッション(右)絵本の読み聞かせに皆夢中
【Q.被災地の子どもたちの様子はどうでしたか?】
いまでも残る地震の爪痕今回主な活動を行ったのは、四川省安県の山間部にある茶坪(チャピン)という村です。村には地震による影響がいまだ残っている場所があり、復興までにはまだ時間がかかりそうです。

村の小学校は地震で倒壊したままのため、子どもたちは現在もプレハブ校舎で勉強をしています。学校には遊具はほとんどありませんが、休み時間になると子どもたちは外に出て、チョークでグラウンドに線や絵を描いたり、石でおはじきをしたりして楽しそうに遊んでいました。

一見日常と変わらず楽しそうな子どもたちですが、話を聞くと「地震のあとから頻繁に怖い夢を見る」「外を一人で出歩くのが怖い」という子どももいて、地震の爪痕の深さを改めて感じさせられました。

【Q.村の皆さんの様子はどうでしたか?】
子どもの親たちに話を聞く機会がありました。ある女性は、「地震の影響で子どもの父親が亡くなり、自分が家族の面倒を見ている」「子どもは夜になると怯えてしまう」など、大地震が家族に与えた影響を語ってくれました。

そのような中でも「震災の影響はあるが、子どもにはちゃんと教育を受けさせてあげたい」と子どもを思いやる強い気持ちとともに、「地震から1年たっても、あ なたたちのように村の外の人たちが自分たちを応援してくれるのはとても嬉しい」と涙を浮かべながら話してくれて、私たちの支援の意味を改めて考えさせられました。

【Q.研修参加者の反応は?】
教員、コミュニティ・リーダー、保護者、子ども、と対象別に研修を行いました。

特に子どもたち向けの研修では、体を動かしながら自由に感情を表現してもらうことが目的の一つでもあったため、中国語がわからない私もファシリテーターとして参加することになりました。言葉が通じない人が交じっていた方が、子どもたちが体を使って表現をしやすくなる、という専門家のアドバイスがあったためで す。

私の中国語の下手さに子どもたちが笑いながら逆に私に絵本を読み聞かせてくれたり、漢字を使った筆談で会話をしてみたり、抱きついて感情表現をしてくれたり、とても愛らしい子たちばかりでした!

「百合姐姐(ゆり姉さん)、次はいつ来るの?」「日本語を教えて」「記念にサインをちょうだい」など、笑顔いっぱいの子どもたちに、逆に私の方が心理ケアをされてしまった感じです(笑)。「大きくなったら今日出会った人たちのような仕事がしたい」といった感想も飛び出し、そんな子どもたちのためにも、ますます頑張ろうと思いました。

【Q.今後の取り組みについて教えてください。】
今回の研修で、参加者の皆さんから支援の継続を希望する声がたくさん出ました。今後も引き続き研修をはじめとした活動を行っていくとともに、SCJがいずれ撤退したあともコミュニティが継続して 子どもたちの心のケアに取り組んでいけるような基盤づくりを目指していく予定です。

【Q.最後にひと言─。】
四川大地震から1年。子どもたちは、被災から時間がたった今でも、自分たちのことを忘れずにサポートし続けている人たちがいるという事実を本当に喜んでいまし た。ともすれば記憶は風化されがちですが、被災地ではいまだ支援の手が必要とされています。今後とも皆様の温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたしま す。

子どもたちと今福スタッフ

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