"母親になるのにベストな国" ランキング発表(2011.05.06)
セーブ・ザ・チルドレンでは、母の日(5月8日)を機に母親に注目することで、子どもについて考えるきっかけを作るため、毎年「母の日レポート」(State of the World's Mothers)を発表し、"母親になるのにベストな国ランキング"(母親指標 Mother's Index)を公表しています。第12回目となる今年は、世界164ヵ国(43ヵ国の先進国および121ヵ国の開発途上国)における母親と子どもの状況を分析しました。 2011 Full_Repor英語.pdf
なぜセーブ・ザ・チルドレンは母親の状況に注目しているのでしょう?
State of the World's Mothers表紙
これまで75年以上の活動経験から、子どもたちの生活の質は、母親の健康と安全に密接に関連していることが分かっているからです。母親が教育を受け、経済的機会を与えられ、母子保健サービスを受けられるかどうかが母親とその子どもの命に関わってくるのです。
【2011年母親になるのに最も適した国(母親指標*1)】
今年のトップは昨年同様ノルウェー、最下位も変わらずアフガニスタンでした。日本は、昨年の32位より28位に順位が上がり、2007年以来やっと先進国中30位以内にランクインしました。(2005年14位、2006年12位、2007年29位、2008年31位、2009年34位)
母親指標は、女性指標と子ども指標のそれぞれのデータをもとに総合ランキングが出されます。女性指標と子ども指標の上位ランキングは下記の通りです。
【母親指標から見えてくる世界の状況】
母親ランキングでは、上位をヨーロッパ諸国およびオーストラリア・ニュージーランドが占め、下位をサハラ以南アフリカの国々が占めています。ほぼ全ての先進国は、どの指標でも高いスコアでランキング上位に入っていますが、ベスト10に入っている国々は、母親と子どもの健康、教育、経済指標で極めて高いスコアを記録しているのが特徴です。
ワースト10の国々はトップ10とは逆に、全ての指標で低いスコアを記録しています。また、ワースト10のうち8ヶ国が、サハラ以南アフリカの国々です。
これらの国々の母親と子どもの状況は大変ショッキングなものです。
・医療従事者の介添えを得ない出産が半数以上を占めます。
・平均で30人に1人の女性が妊娠に関連した原因で死亡しています。
・6人に1人の子どもが5歳の誕生日を迎える前に亡くなります。
・3人に1人の子どもが栄養不良で苦しんでいます。
・7人に1人の子どもが小学校に通っていません。
・男子5人に対し、女子は4人しか学校に通っていません。
・女性が受ける正規の教育は平均で6年以下です。
・女性の収入は男性の40%しかありません。
・10人中9人の女性が、一生のうちに子ども1人を亡くします。
トップのノルウェーと最下位のアフガニスタンの比較はさらに衝撃的なものです。
・ノルウェーでは全ての出産に医療従事者が立会いますが、アフガニスタンでは14%のみです。
・ノルウェーの典型的な女性は18年間の正規教育を受け、83歳まで生き、82%が現代的な避妊法を使い、5歳未満で子どもを亡くすのは175人に1人です。
・一方アフガニスタンでは、典型的な女性は5年以下の教育しか受けず、45歳になる前に亡くなります。現代的な避妊法を使用しているのは16%以下で、5人に1人の子どもが5歳になる前に亡くなります。アフガニスタンではほぼ全ての母親が、子どもの死を体験することになります。
母親指標のデータは、富める国と貧しい国の格差を浮き彫りにし、母親と子どもの保健に対する早急な取り組みの必要性を訴えています。
多くの国において、ワクチンや抗生物質、妊娠中のケアが必要としている人たちに届かず、妊産婦や子どもの死亡率が非常に高くなっています。この問題を解決するためには、妊娠や出産、一般的な病気の治療などを地域で担う助産師やヘルスワーカーをより多く育成することが必要です。
世界では350万人ものヘルスワーカーが不足しています。この母の日に、セーブ・ザ・チルドレンは改めて全ての母親が健康に子どもを育てられるよう、母子の健康を守るヘルスワーカーの育成を訴えます。
*1「母親指標((Mothers'Index)」
1. 産婦死亡のリスク
2. 現代的避妊手法の使用率
3. 訓練を受けた医療従事者の立会いの元での出産
4.女性の平均余命
5. 女性の正規教育期間
6. 男女間の給与所得の比率
7. 産休・育休制度
8. 国政レベルでの政治への参加
9. 5歳未満の子どもの死亡率
10. 5未満の子どもの栄養不良児率
11.就学前教育就学率
12.初等教育就学率
13.初等教育就学の男女比
14.中等教育就学率
15.安全な水の利用率
*2「女性指標(Women's Index)」
主に上記指標の1〜8を中心に比較しています。
*3「子ども指標(Children's Index)」
主に上記指標の9〜15を中心に比較しています。