【民主党(与党)に対する要望書】東日本大地震の被災地における子ども支援について(2011.03.25)

(以下、民主党(与党)に対する要望書の全文になります。)

東日本大地震の被災地における子ども支援について

 

セーブ・ザ・チルドレンは、第一世界大戦で被災した子ども達の支援を目的として1919年に設立された、子ども支援の国際NGOです。創始者のエグランティン・ジェブは、1924年に国際連盟第5回総会で採択されたジュネーブ子どもの権利宣言の草案を作成したことで知られています。

 

先ず、何よりも、子どもの最善の利益を最優先に考慮した支援計画の策定・実施をお願

いします。

そのために必要なのは、避難センター、市町村、県、そして国レベルで被災した子ども

の声を支援計画の策定に反映させることです。

また、今回の震災支援を、子ども・若者ビジョン実現の機会として捉えるべきと思いま

す。

宮城県では昨年度、子ども議会を県議会が中心となって実施しました。今後の復興計画

を策定する際には、ぜひ被災者である子どもの意見を聴いてあげてください。

 

1.短期(水、電気、ガスが復旧し、商業ベースでの物流が回復するまでの時期:4

末までの1カ月間)

(1)「子どもひろば」を運営できる経験者(幼稚園教諭、保育士、学童指導員、児童館職員、NPO職員等)が、食料と燃料(ガソリン、灯油)調達のために時間を取られており、雇用することが極めて困難となっています。

したがって、食料と燃料に関する物流の回復が急務です。

なお、現時点で県外からボランティアが大量に入ることは救援活動の妨げになると思います。県内にも自宅が被災せず、ボランティア活動に従事できる大学生は大量にいます。また、避難センターの子ども達自身がセンター運営に参加している事例もあります。

先ずは、地元の人的資源の活用を最優先にして、子ども達自身が自信と安心を取り戻せるような支援をお願いしたいと思います。

(2)困難な精神状態にある子ども達を支援するおとな(支援者)のメンタルサポート体制も不可欠です。

(3)子ども達にとって一日も早く被災前の生活に戻り、学校に通えるようになることが、精神的な安定のために不可欠です。また、避難センターでの集団生活で子ども達も疲れてきています。そのために、学校施設を避難センターに使っているところでは、4月の新学期開始に向かって、避難者の落ち着き先を早急に準備する必要があります。仮設住宅の建設、空いている公営住宅への優先的入居、企業所有の寮・社員クラブの借り上げ等を通じて、避難家族が一日も早く落ち着いて暮らせる環境を整備することが、子ども達のメンタルヘルスのためにも不可欠です。

(4)長期の避難所生活のストレスで通常の学校生活に復帰することが困難な子ども達が多数いるものと想定されます。これらの子ども達に対するメンタルケアが必要です。

 

2.中期(今後1年間)

(1)小中高等学校については、授業の遅れを取り戻すことが教師・生徒の最大の関心事です。食料調達や交通手段の確保で教師や父兄、そして子ども達が疲れてしまわないように、物流と交通手段の復旧を早急にお願いしたいと思います。

(2)生活が安定するにつれて、震災によるトラウマが表面化すると思います。セーブ・ザ・チルドレンは、子ども達が通常の学校生活に復帰できるように、学校をベースとし、地域社会との連携に基づいた子ども支援プログラムを用意しています。日本政府(文部科学省?)より、この子ども支援プログラムがスムーズに進むように被災地の教育委員会を通じて、各学校にこのプログラムの必要性をお知らせいただけませんでしょうか。

なお、この段階で児童心理学や臨床心理学などの勉強をして実習経験のある学生・大学院生のボランティア、保護者、教員を目指している大学生、教員免許を有しているが教職についていない者(県外を含む)を募ることは、被災した子どもとボランティア学生の両者にとって有益と思います。

(3)今回の地震・津波により、両親・保護者が死亡・被災し、授業料(その他教育関連費)が支払えなくなる子ども達(小・中・高校)が多数いると推定されます。彼らが教育が引き続き受けられるよう、財政面を含む必要な支援をお願いいたします。

 

3.長期(2年目〜10年目)

(1)このたびの被災者支援を通じて、従来の縦割り行政を越えた動きが生まれてきています。この動きを生かすような制度整備を進めるべきと思います。

そのためにも、ぜひ、被災地における子どもの声を行政に生かす子ども議会や子どもの権利条例作りを促進するような国政レベルでの枠組作りをお願いします。

 

(以上)

 


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